・そのセツナ( 刹那 )に「おじ様、お相手」と叫んで、 森鴎外「阿部一族」より抜粋
17,8年前、偶然見た ひろちさやさんの仏教コラムの中で数の単位について書いてあるのにすごく興味を抱いた。確かその中で 「”恒河沙(ごうがしゃ)”とは恒河(ガンジス川)の砂の数という意味。数の単位については江戸時代の文献『塵劫記』に詳しい。」というような事を書いてあったと思う。仏教での表現・比喩方法がすごくユニークだったので『塵劫記』が見たくて見たくてどうしようもなかった。その頃、一般人にはインターネットで検索して調べる方法など浸透していなく、古本屋を片っ端から探し回った結果、市の図書館でようやく見つける事ができた。
塵劫記 江戸初期の和算家吉田光由(1598-1672)の主著。
米俵算、ねずみ算、物の分配方法とか、土地の測量方法とか書いてあったと思う。
(少しがっかりした)
数の単位については、以下のとおりである。
10-23 浄 じょう 10-22 清 せい 10-21 空 くう 10-20 虚 きょ 10-19 六徳 りっとく 10-18 刹那 せつな 10-17 弾指 だんし 10-16 瞬息 しゅんそく 10-15 須臾 しゅゆ 10-14 逡巡 しゅんじゅん 10-13 糢糊 もこ 10-12 漠 ばく 10-11 渺 びょう 10-10 埃 あい 10-9 塵 じん 10-8 沙 しゃ 10-7 纎(繊) せん 10-6 微 び 10-5 忽 こつ 10-4 絲(糸) し 10-3 毫(毛) もう 10-2 厘 りん 10-1 分 ぶ 100 一 いち 101 十 じゅう 102 百 ひゃく 103 千 せん 104 万 まん 108 億 おく 1012 兆 ちょう 1016 京 けい 1020 垓 がい 1024 秭{禾予} じょ 1028 穣 じょう 1032 溝 こう 1036 澗 かん 1040 正 せい 1044 載 さい 1048 極 ごく 1056 恒河沙 ごうがしゃ 1064 阿僧祇 あそうぎ 1072 那由他 なゆた 1080 不可思議 ふかしぎ 1088 無量大数 むりょうたいすう
準1級で出てくる漢字で、仏教用語からくる ”時間の単位” の字があります。
これがなかなかおもしろい。
仏教時間単位 刹那 [せつな] =1/75秒 怛刹那 [たんせつな] =120刹那 臘縛 [ろうばく] =60怛刹那 須臾 [しゅゆ] =30臘縛 牟呼栗多(むこりった)=1/30日 2880s 臘縛 (ろうばく) =1/30牟呼栗多 96s 怛刹那 (たせつな) =1/60臘縛 1.6s 刹那 (せつな) =1/120怛刹那 0.013s 須臾 (しゅゆ) =1/30日 2880s 羅予 (らよ) =1/20須臾 144s 弾指 (たんじ) =1/20羅予 7.2s 瞬 (しゅん) =1/20弾指 0.36s 念 (ねん) =1/20瞬 0.018s 劫 [ごう] 大劫 [たいごう] =80劫 64転大劫[64てんたいごう]=64大劫 阿僧祗 [あそうぎ] =1059 三阿僧祗劫 =3×1059×劫
刹那 [せつな]
きわめて短い時間。瞬間。
仏教語での最小単位を意味し、75分の1秒を「一刹那」とする説や、指を一回弾く時間の65分の1を「一刹那」とする説などがある。
劫 [ごう]
天女が100年に一度降りてきて、羽衣で軽くひとこすりして、7km立方の石が摩滅してもまだ余りある時間。(磐石劫ばんじゃくこう)
あるいは、7km立方の箱に芥子を詰め、百年に一度、一粒取り出していき、すべて取り出してもまだ余りある時間。(芥子劫けしこう)
刹那はともかく、劫は考えるだけでも気が遠くなる。