カイ
ひしお、ひしびしお、しおから
醢
【解字】形声 酉+(右+皿)。音符の(右+皿)ユウ=カイは、小さなかめの意味。肉をかめに入れ、酒・塩などでつけこんだ、しおからの意味を表す。
- しおから。ししびしお。肉をきざんで塩や酒などにつけたもの。
- ししびしおにする。人を殺して塩漬けにする刑。古代の刑罰のひとつ。
醯醢(けいかい)
酢と、ししびしお。
酢であえた塩魚。
醯=「酢」を、 醢=「醬」を表す。
”ひしお”とは、耳慣れない言葉ですが、H25-1で、肉醬(ししびしお)の訓読みで出題されています。
「ししひしお」でも正解では。 とぼんやり考えてしまいましたが、語呂が悪いですね。
醬 ひしお
- 古代の発酵調味料。大豆のちに小麦を材料とした。現在の味噌、醤油の原形。
- 魚。鳥の肉の塩漬。肉醬(ししびしお)。塩辛。
もともと中国から伝わった発酵調味料の ジャン(醬)は、大きく5つに分類されています。
- 穀醬 大豆、小麦などの穀物原料とした醬。味噌・醤油。
- 肉醬 塩辛の類の調味食品。肉醤・魚醤。
- 草醬 野菜を塩などに漬け込んだ保存食品。漬け物。
- 腐乳 豆腐を原料とした発酵調味食品。
- 豉 くき。大豆を原料とした発酵調味食品。納豆。
醬=豆をつぶしたもの(味噌・醤油)
豉=豆の形のあるもの(納豆)
と定義されているそうです。
この中で、海に囲まれた島国日本で発達した「魚醬うおびしお」について代表的なものを纏めました。
塩汁(しょっつる)は、醢汁 とも書き、「ひしお汁の転訛か」と広辞苑に載っています。
発酵食品 読み方 材料 特産地 塩汁・塩魚汁 しょっつる 鰰 ハタハタ 秋田 魚汁 いしる 鰯 イワシ 能登 玉筋魚 いかなご 玉筋魚 イカナゴ 香川 鯖腸 さばわた 鯖 サバ 山陰 烏賊腸 いかわた 烏賊 イカ 山形 海鼠腸 このわた 海鼠 ナマコ 伊勢湾 鱲子 からすみ 鯔 ボラ 長崎 醤蝦 あみ 醤蝦 アミ 霞ヶ浦
もうひとつ、発酵保存食として忘れてはならないのが、「馴れズシ」です。
蘊蓄となりますが、馴れズシは、馴鮨と書きます。馴鮨で有名なもの。
鮨は、”うおびしお”とも読みます。
一方、江戸前などの押しズシは、寿司と書きます。
わたしも初めて”鮨”と”寿司”の違いが解りました。
ちなみに駅弁で有名な富山の鱒ズシは、”押しズシ”なので、「鱒寿司」と表記されます。
・鮒鮨(フナ)近江
・泥鰌鮨(ドジョウ)滋賀
・釣瓶鮨(アユ)奈良
・万年鮨(イワナ)木曽
・鰰鮨(ハタハタ)秋田
海に面していない内陸部の地域では、淡水魚を材料にしています。
北海道の寒村である私の実家では、正月になると母が「飯鮨(いずし)」を作っていました。
入れる魚は、鰊が定番で、鮭や、𩸽(ホッケ)などもあったように思います。
「切り込み」=生魚を包丁で切り刻んで発酵(北海道)
も普通にお店で売っていました。(今でも)
最後に日本の伝統色を・・・・
#70533B 醬色 ひしおいろ