漢字を学び心を育む

2回目のチャレンジで漢検1級に合格。
現在、ペン習字に傾倒。
硬筆書写検定1級が欲しいです

醗酵保存食

2013-12-15 10:00:56 | ◇1級:読み(音読み)
 
多種類の 醯醢 を瓶に保存した。







カイ
ひしお、ひしびしお、しおから



【解字】形声 酉+(右+皿)。音符の(右+皿)ユウ=カイは、小さなかめの意味。肉をかめに入れ、酒・塩などでつけこんだ、しおからの意味を表す。

  1. しおから。ししびしお。肉をきざんで塩や酒などにつけたもの。
  2. ししびしおにする。人を殺して塩漬けにする刑。古代の刑罰のひとつ。


 醯醢(けいかい)
  酢と、ししびしお。
  酢であえた塩魚。

 醯=「酢」を、 醢=「醬」を表す。



”ひしお”とは、耳慣れない言葉ですが、H25-1で、肉醬(ししびしお)の訓読みで出題されています。
「ししひしお」でも正解では。 とぼんやり考えてしまいましたが、語呂が悪いですね。

  ひしお
  1. 古代の発酵調味料。大豆のちに小麦を材料とした。現在の味噌、醤油の原形。
  2. 魚。鳥の肉の塩漬。肉醬(ししびしお)。塩辛。

もともと中国から伝わった発酵調味料の ジャン(醬)は、大きく5つに分類されています。
  1. 穀醬 大豆、小麦などの穀物原料とした醬。味噌・醤油。
  2. 肉醬 塩辛の類の調味食品。肉醤・魚醤。
  3. 草醬 野菜を塩などに漬け込んだ保存食品。漬け物。
  4. 腐乳 豆腐を原料とした発酵調味食品。
  5. 豉  くき。大豆を原料とした発酵調味食品。納豆。
醬と豉に、どのような違いがあるかというと、

 醬=豆をつぶしたもの(味噌・醤油)
 豉=豆の形のあるもの(納豆)

と定義されているそうです。


この中で、海に囲まれた島国日本で発達した「魚醬うおびしお」について代表的なものを纏めました。
発酵食品読み方材料特産地
塩汁・塩魚汁しょっつる鰰 ハタハタ秋田
魚汁いしる鰯 イワシ能登
玉筋魚いかなご玉筋魚 イカナゴ香川
鯖腸さばわた鯖 サバ山陰
烏賊腸いかわた烏賊 イカ山形
海鼠腸このわた海鼠 ナマコ伊勢湾
鱲子からすみ鯔 ボラ長崎
醤蝦あみ醤蝦 アミ霞ヶ浦
塩汁(しょっつる)は、醢汁 とも書き、「ひしお汁の転訛か」と広辞苑に載っています。




もうひとつ、発酵保存食として忘れてはならないのが、「馴れズシ」です。
蘊蓄となりますが、馴れズシは、馴鮨と書きます。
鮨は、”うおびしお”とも読みます。
一方、江戸前などの押しズシは、寿司と書きます。
わたしも初めて”鮨”と”寿司”の違いが解りました。
ちなみに駅弁で有名な富山の鱒ズシは、”押しズシ”なので、「鱒寿司」と表記されます。
馴鮨で有名なもの。
 ・鮒鮨(フナ)近江
 ・泥鰌鮨(ドジョウ)滋賀
 ・釣瓶鮨(アユ)奈良
 ・万年鮨(イワナ)木曽
 ・鰰鮨(ハタハタ)秋田

海に面していない内陸部の地域では、淡水魚を材料にしています。



北海道の寒村である私の実家では、正月になると母が「飯鮨(いずし)」を作っていました。
入れる魚は、鰊が定番で、鮭や、𩸽(ホッケ)などもあったように思います。



「切り込み」=生魚を包丁で切り刻んで発酵(北海道)

も普通にお店で売っていました。(今でも)



最後に日本の伝統色を・・・・



#70533B 醬色ひしおいろ