モウ・ボウ
くら(い)、おろ(か)
矇
【解字】形声。目+蒙。音符の蒙(モウ)は、おおうの意味。目がおおわれている、盲目の意味を表します。
- 目が見えない。
- くらい(暗)。
・目が明らかでない。
・道理を分別する能力がない。
最初、違いに気付きませんでした。
日偏、目偏、月偏の違いに。
何も偏がつかない基本形の「蒙」は、”おおわれて暗い” という意味を表しています。
この、 ”おおわれて暗い” という様子を「蒙」に偏を付与することによって、
微妙に使い分けしています。
”太陽” がおおわれて暗いのか、
”目” がおおわれて暗いのか(道理に)、
”月” がおおわれて暗いのか(人体的にも)、
”雨” におおわれて暗いのかを。
たとえば、
モウマイ の漢字は、
蒙昧 曚昧 矇眛 濛昧 矇昧
と、おおわれて暗い様子にもいろいろな意味があります。
モウロウ は、
曚曨 朦朧 矇朧
と こちらも使い分けに迷うところです。
それぞれのシーンによって偏を使い分けしなければいけないのでしょうか。
自分なりにまとめてみました。
蒙 | おおわれて暗い。 | 蒙昧 | |
![]() | 曚 | くらい。 日の光がはっきり見えない。 | 曚昧 曚朧 |
![]() | 矇 | くらい。 目が見えない。 | 矇眛 矇朧 |
![]() | 朦 | おぼろ。 月がおおわれて暗い。 | 朦朧 |
![]() | 濛 | きり雨。 はっきり見えない。 | 濛昧 |
この他にも、「蒙」に偏が付く漢字が二つありますが、字義にあまり意味がない?
みたいなので今回は例外としました。ごめんなさい。
艨艟
檸檬
ということで、過去に漢検で出題されたものを調べてみました。
■四字熟語
無知[モウマイ]
蒙昧
■故事成語・諺
辛崎の松は花より[オボロ]にて 松尾芭蕉『鎌倉海道』
朧・朦
■文章題
弦月は我が幻境を照らして[モウロウ]たる好風景得も言われず 北村透谷『三日幻境』
朦朧・曚朧
「読み」問題は、簡単過ぎるのか、過去に出題されたことはないようです。
・四字熟語の蒙昧は、”決まりモノ”なので答えは唯一のものでしょう。
・松尾芭蕉の句については、「朧」が正解ですが、「朦」も正解にしているところにジレンマを感じます。
・北村透谷の作品においても、「朦朧」が正解ですが、辺りが暗くなるという意味で「曚朧」も正解のようですね。
ついでですが、
昧 も辺りがほの暗い時を表し、眛 は、目が暗いを表わしている。
昨年、常用漢字に追加になった、「曖昧」も、もしやと思って調べたところ、
「曖」の俗字で、「瞹」という字が存在していました。
曖昧
瞹昧