一級では許容しない漢字
1級配当漢字には、常用漢字に使われている字で構成されている形声文字が数多くありますが、常用漢字とは違い、旧字体しか許容されていない字が大部分を占めます。もともと常用漢字(当用漢字)が作られたのは、戦時中の漢字制限も理由の一つですが、義務教育によって日本国民の平均した学力のレベルアップが目的であったはずです。その後、旧字体が簡素化され常用漢字として標準化されました。中国の繁体字が簡体字に移行したような感覚だと思います。しかし、その裏返しで常用漢字以外の字の大部分については、旧字体でしか許容されていないということです。(※許容されている字もあります)
1級初期の漢字検定では、常用漢字を旧字体に書き改める問題が出題されていましたが、最近は出題されなくなりました。普段から私のように常用漢字に馴染んでる者にとっては、常用漢字と旧字体との微妙な違いに気付かないことがままあります。そこで、わたしの覚書としても一度まとめてみることにしました。
以下、間違えやすい字の 一部抜粋 です。
※機種によっては、表示されない字もありますが、ご容赦願います。
一級配当
常用
旧字
倆 瞞 蟎 裲 魎
両
兩
儺 儺 饉 攤 艱
難
難
儼
厳
嚴
剿 勦 樔
巣
巢
吶 訥 肭 蜹 衲
内
內
堊 啞 埡 惡 椏 噁 錏 鐚
亜
亞
嚬 顰 蘋 陟 騭
歩
步
嬪 噦 穢 擯 檳 殯 繽 鬢
賓
賓
嚀 濘 獰 檸
寧
寧
嚊 嬶 鼾
鼻
鼻
奢 赭 闍
者
者
嫋 蒻 嵶 搦 鶸
弱
弱
嫺 燗 癇 繝
間
閒
慊 歉 蒹 蠊 賺
兼
漿 鏘
将
將
滲 糝 蔘
参
參
瀝 癧 櫪 靂
歴
歷
燠 懊 襖 澳
奥
奧
猜 睛 倩 凊 蜻
青
靑
嗔 癲 巓 瞋
真
眞
懣 瞞 蹣
満
滿
漿
将
將
窿
隆
隆
芨 岌
及
慴 搨 摎 栩 榻 樛 櫂 歙 瀚 繆 蓼 褶 醪 鏐 驂 鶲
羽
羽
茣 蜈
呉
吳
耘 耙 耦 耡 耨 藉 誄
耒
崢 諍
争
爭
喙 掾 椽 碌 篆 籙 蠡
录
彔
怦 拌 絆 胖 苹 萍 袢 鮃
平
壎 燻 曛 醺 纁 黜 黝 黠 黯 黥 黴 黶 黷
黒
黑
膂
旅
旅
峭 悄 稍 筲 誚 趙 霄 鮹
肖
搤 縊 鎰 隘 鷁
益
益
昨年4月、今までの常用漢字(2級)に準1級・1級から降格した196字が追加され、あらたに新常用漢字2136字と制定されました。しかし、追加された196字の中に今まで常用漢字では許容されていなかった字が少なからずあります。ただ、これらの字は準1級・1級では簡略化された字でも許容字体として採用されていました。結果として常用漢字に許容字体が出来するという珍妙な例外が起きてしまいました。今までの許容字体として簡略化していた常用漢字との整合性を図るための措置だと思いますが、あくまで正字は旧字体で構成された準1級と1級から降格となった196字なのです。←なんだか分かりにくいですね。^^;
常用漢字表で追加された196字について、[ ]で許容している字を以下に示します。
※ただし、許容字体は漢字コードによって差異があるためここでは示しません。
◆改定常用漢字表で明示的に許容字体とされている差
餌 餅 遡 遜 謎
食偏 → 簡略形の食偏を許容する
しんにょう → 1点しんにょう を許容する
◆改定常用漢字表で明示されている明朝体のデザイン差
茨 牙 釜 隙 鍵 梗 叱 蔑
◆筆写の楷書字形と印刷文字字形の違いが,字体の違いに及ぶもの
淫 葛 僅 煎 詮 嘲 捗 溺 填 賭 剥 箸 蔽 頬 箋 嗅 喩
これらの許容については、情報機器のJIS漢字コードが大きく影響しています。