けいめいくとう
鶏鳴狗盗
【意 味】
つまらないことしかできない人のたとえ。また、つまらないことでも何かの役に立つことがあるというたとえ。
「鶏鳴」は鶏の鳴きまね、「狗盗」は犬のようにこっそり盗みをはたらくこと。人をあざむいたり、卑しいことしかできない者のたとえ。転じて、そんな人間でも何かの役に立つことがあるというたとえ。
【補 説】
「狗盗」は「こうとう」とも読む。また「鶏」は「雞」とも書く。
【故 事】
中国の戦国時代、秦の昭王に捕らえられた斉の孟嘗君が、犬のように盗みをはたらく食客と鶏の鳴きまねのうまい食客の働きで脱出し、無事逃げ帰ったという故事から。
【出 典】
『史記』<孟嘗君伝>
準一級でお馴染みの四字熟語です。
漢検学習では、せいぜい意味と出典である孟嘗君伝の故事とを関連づけて覚えることでしょうか。
最近読んだ本で久しぶりにこの「鶏鳴狗盗」にお目に掛かりました。
丸谷才一さんの新刊エッセーで孟嘗君伝と清少納言について書かれていたのです。
清少納言の百人一首、

夜をこめて鳥のそら音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ
ならわたしも知っていました。
でも、清少納言が孟嘗君びいきで「鶏鳴狗盗」の故事を踏まえた上で、行成への当意即妙な返歌だったことは恥ずかしながら知りませんでした。
清少納言は漢籍にも通じ、機知に富んだ素晴らしい歌人であったと思いもあらたに。
こうして孟嘗君と清少納言を一本の線として識るということが教養なのでしょうね。(わたしには無理)
くわしくはこちら↓
【百人一首講座】さま
http://www.rakuten.ne.jp/gold/ogurasansou/hyakunin/062.html