シャ おきの-る
賖
【解字】形声 貝+余。音符の余は、のびるの意味。現金の支払いがのびる、かけで買うの意味を表す
- おぎの-る。かけで買う。現金を払わないで代価で借りて物を買う。
- とおい。はるか。
- ゆるやか(緩)。おそい
- おごる。おごり。= 奢
初めに断っておくが、賖はJIS漢字コード第4水準に該当し、漢検1級(JIS第2水準まで)では、配当外の漢字である。
先日、私が所属する漢字同好会で出題されたものである。「おぎのる」という動詞(言葉)を今まで聞いたことがなく、語源についてすこし興味があったので調べてみることにした。インターネットで検索しても驚くほど情報が少なく、現代社会においては殆ど使われていない言葉であると想像することができた。仕方がないので図書館に出向き辞書という辞書を片っ端から調べてみました。※辞書毎には纏めていません。
字義
掛けで買う。代価を後払いにして借りる。
地方
福岡/久留米/備前/備中 (筑前、博多では今もこの語を用いる。とある)
時代
室町時代、平安時代
熟語
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語源
語源については諸説ある。
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・オギノルは、貰、典とも書く。
・ヲソカリ、ノコセルの反。[名語記]
・金銭がない時、代わりの物をオキトトノフル義。[和句解]
・貸オキノル。[名義抄]
また、土佐日記には、
とある。
そして、同じく『土佐日記解』の上田秋成の補に、次の一文がある。
「おきのりの語は舟人の道を近きにとるとて、沖へ乗り出すはあやうき事なるをもて、物はつかはしてあたひをただちにとらぬにたとへ言う歟、舟人の詩より出でしなるべし」とある。
これは、なかなか興味深い説である。個人的には真の語源のような気がする。
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わたしは、農家の出身なので、親が「ツケで買う」という言葉を普通に使っていた。帳簿に付けておくの「ツケ」であろう。代金は米の収穫後でお願いしますというということだと思う。
九州の人は今でも、「おぎのり」でお願いしますと云うのだろうか。
次回は、