自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

『バラとゆびわ』 サッカレイ

2012-05-30 06:41:43 | ファンタジー
子どものための小説や、ファンタジーを読んでいて強く感じることがある。


自分の純粋な気持ちをストレートに伝えてもいいんだ、と言うこと。


穢れのない、きれいな心が物語の中にちりばめられているのです。


日常では、とても恥ずかしくて言えないような言葉も、登場人物たちがすらすらと言ってくれます。


そんなところも好きなんだろうな。


サッカレイと言う作家は、比較的裕福な幼児期を過ごしたようですが、精神に異常をきたした奥さんや娘さんの死など、苦労もたくさんあったようです。


「けれども、私は悲しみません。人を愛するということは、この地上の美しいもののなかでも、いちばんりっぱなものです。」


こんな言葉も、さらっと言えるなんて素敵です。


『バラとゆびわ』 サッカレイ


あとがきによると、このサッカレイと言う作家はディケンズと同じ時代の人で、佳き競争相手だったらしい。





『クリスマスキャロル』を書いたのを見て、サッカレイもクリスマスのお話である、この『バラとゆびわ』を書いたのだそうです。


「黒い杖」と呼ばれた魔法使いが、隣り合った国にそれぞれ生まれた子どもに、バラとゆびわを与えるところから始まります。


魔法に飽きてしまったこの女魔法使いは、「お前には不幸しかあげられないのだよ」とつぶやくのですが、この「不幸」の意味がやがて明らかになっていく。



ギグリオとロサルバと言う主人公の二人が、成長し幸福になっていく。


お決まりの展開と言えばそうなのですが、時折現れる黒杖がギグリオに道を示してくれるのです。


ボクたちの人生に、黒杖は存在しないのだけれども、心静かに耳を澄ませば、サインはいくらでも存在します。



人との出会いの中にも、もちろん物語の中にも。



100年も前の作品が、今を生きるボクの心を豊かにしてくれる。



一冊の本が、数日の間、ボクの黒い杖になってくれるのです。












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