自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

2015グロース日記 「 ナイトハイク 」

2015-09-07 07:15:44 | グロースキャンプ
ナイトハイクは、グロースの名物。


暗闇の中を、子どもたちが一本のロープでつながって、約2.5~3キロ、森の中を無言で歩いていく。


そして樹齢800歳のみずならのご神木を目指す。


不安と緊張がボクたちにもあふれてくる実習。


何しろ、この森には、たくさんの動物たちが住んでいる。


時にはクマも。


子どもたちは、グループごとに出発する。





イントラがその後ろ、10メートルほど離れて歩く。


子どもたちは一本の懐中電灯だけが照らす道を、ひたすら無言で歩いていく。


ボクたちは、というと、はるか前方を行く子どもたちの持つ光を頼りに歩く。


これが、怖い。


道はくねくねしているため、光を頼りに歩いていると、ときおり、道を見失ってしまう。


みずならへのルートは二つ。


通称、「 右の道 」と 「 左の道 」。


どちらも、途中の沢の橋で合流する。


ボクは、チームキャプテンの千奈と一緒に、コッシ―チームと歩く。


途中で、子どもたちにはライトを消し、そこに5分ほどたたずむ、と言う実習がある。


まったく光のない闇の中で、森に住まう動物たちの動く気配を感じる。


全身を耳のようにしているその時間は、ボクにとっても緊張の時間。


自分が自然の一部になる感覚と、恐怖が入り混じる。


ボクはこの時間が好きだ。


否が応でも自分と向き合うことになる。


また歩き始める。


約40分ほど歩いて、ようやく 「 左の道 」 との合流地点の橋に着く。


その橋を渡り、坂を上ると道が突き当たる。


ここで、右に行かずに、うっかり左へと間違えてしまうことがある。


ボク自身も間違えたことがあるくらいに、間違いやすい場所。


何度も来ているリピーターも、暗闇の中では、道をなかなか覚えることはできない。


コッシ―チームは、無事に右の道を選択した。


と思ったら、ライトが戻ってくる。


ボクと千奈はあわてて、隠れる。


どうやら、リーダーが道を迷っているようだ。


しばらく、行ったり来たりしている。


そうこうしているうちに、千奈の携帯に電話が入った。


千奈があわてている。


「 カイから電話で、グループがいなくなったって言ってます。 」


カイは、イントラ。


初イントラのカイとなつみは、もともとわかりやすい 「 左の道 」 で出発させた。


一本道で、迷うはずもない。


ところが、5分間立ち止まる実習の間に、何を勘違いしたのかリーダーのMRAが、止まらずにそのまま歩いていってしまったらしい。


5分後に子どもたちのところに行くと、そこにはもういなかった。


二人は、あわてて追いかけたものの、見失ってしまったらしい。


コッシ―チームはようやく正しい道を選んだらしいい。


すぐに千奈にはグループについていかせて、ボクはいなくなった?わにごりらを探しに行くことにした。


橋を渡り、しばらく左からくる道を戻る。


歩きながら考える。


でも、どう考えても、一本道だから、迷子になるはずがない。


そうか、もしかすると合流地点で橋を渡らずに、右からくる道を言ってしまったのかもしれない。


息が切れる。


暗闇をボクは何度も走って探した。


しばらくすると、千奈からの電話。


どうやら、橋を渡った後、カイは、あの間違いやすい道を左に行ってしまったらしい。


わにゴリラは正しい道を歩いた。


グループがいなくなった、のではなく、つまり、自分たちが迷子になっていたってこと。


このことで、カイは、大いに反省し眼に涙を浮かべることになってしまうのだけれど、ともかく何事もなく、無事にMRAのチームはみずならに到着していた。


とにかく、よかった。


さて、みずならは800年の樹齢を終えて、今は大木を横たわらせている。


6月に下見に来たときには、まだ老木として健在だったけれども、ひと月の間に倒れてしまった。


ボクは、到着後、一人一人、その幹の上に乗せ、初めての子どもにも、リピーターにも、そこに起きた大自然の営みを目にさせた。


「 ここに、800歳になるミズナラがあった。君が乗っているのがその太い幹。


「 空に高くそびえ、枝は道を超えて向こうまで伸びていたんだ。


「 もう何年も前に、太い幹が雷で倒れてしまった。


「 ほら、向こうに倒れている太い幹が見えるか?


ボクが、ライトで照らすと、うっそうとした木々の間に幹が見え隠れしているのが見える。


「 倒れてしまったけれど、その幹から何本もの苗木が生えているのが見えるか?


「 このみずならは、もう倒れてしまったけれども、森は死なない。


「 こうやって、また再生していくんだ。


子どもたち一人一人に、ボクはこのことを伝えた。


誰もが皆、静かに耳を傾けていた。


ボクにとって、このみずならは特別なものだった。


グロースのシンボルだった。


100年後に、この場所にまた、みずならが天を目指して幹や枝を伸ばしているのだろうか。


誰かが、子どもたち連れて、この場所に、子どもたちが集ってきていたことを伝えてくれるだろうか。


帰り道は、わいわいとにぎやかにあるいた


忘れられない、ナイトハイクだった。



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