繁浩太郎の自動車と世の中ブログ(新)

モータージャーナリストとブランドコンサルタントの両方の眼で、自動車と社会をしっかりと見ていきます。

「天声人語 商品テストの願い」の内容について。

2016-09-03 17:17:14 | 日記

2016年9月3日の「天声人語」は間違っていないか?

「商品テストの願い」というお題で下記の内容が書いてあった。まずは、読んでいただきたい。

(天声人語)商品テストの願い

 石油ストーブがどこまで安全かを確かめるため、火がついたまま倒してみろ――。編集長の花森安治(はなもりやすじ)が言った。雑誌「暮(くら)しの手帖(てちょう)」が1954年から始めた「商品テスト」のひとこまである。天井まで火が上がり、砂をかけて消し止めた▼英国製を1位にし、「おすすめできるものは、国産六種の中にはありませんでした」と書いた。ソックス、フライパン、冷蔵庫……。業界からの反発も大きかったが、ひるまず続けた(酒井寛著『花森安治の仕事』)。NHK連続テレビ小説とと姉ちゃん」に出てくる雑誌のモデルである▼「すさまじい商品の洪水の中で、私たちが溺れかけようとしている」と、花森は60年代末に雑誌に書いた。企業に努力してもらい、ちゃんとした品質のものばかりが店に並ぶことこそ、テストの目的だった▼その頃からは随分よくなったはずだが、客の目をあざむくような振る舞いは今もなくならない。長引く三菱自動車の燃費不正問題ではきのう、3回目の立ち入り検査があった。多くの車種でカタログの値より燃費が悪いことが国土交通省の測定で明らかになっている▼おとといは、テレビ通販のフライパンの宣伝内容が大げさすぎたことが発表された。「ダイヤモンドの次に硬い」とうたい、金属製品で50万回こすっても傷がつかないかのような表示だったが、消費者庁のテストでは5千回で傷がついた▼花森の取り組みが始まって60年以上がたつ。テストがいらなくなる日は、まだまだ来ないようだ。



 

私は、今は定年になったが、カーメーカーで商品の造り手側の仕事をしていた。

雑誌「暮(くら)しの手帖(てちょう)」の「商品テスト」の件は、あるテレビ番組でも紹介されたりして、知っている。

当時のメーカーは、当然営利企業だから収益の事はあるけれども、主に世の中の人々の生活向上を思って、世の中の役に立つ商品をいち早く廉価に導入しようと頑張っていたと思う。

その結果、ストーブやその他の電化製品で確かに品質的に至らないトコはあったかも知れないが、それはその商品達が初のモノに近く、設計者がユーザーの使い方の隅々やハードの隅々まで考慮しきれていなかったからだ。

故意に、コストのために、品質を下げてたわけではないと思う。

 

例えば、差し障りの少ない範囲の事例でいうと、クルマのシートベルト・バックルのリリースボタンは赤色になっているが、当時この赤色が経年変化で色がとんでしまったのだ。ユーザーからの色がとぶというコンプレインが多く寄せられ、調べると紫外線でとぶとわかった。すぐ対応した。

今では、耐紫外線を考えてリリースボタンの赤色はとばない。

 

このように、品質が悪いことには間違いはないが、技術的に知らなかったり、至らなかったりでの不具合である。

決して、一年したら色がとんでも良いから・・コストダウンしておこうと思って造ったわけではない。

つまり、ユーザーのことをキチンと想って作っていた。

 

本文に出てくる、三菱自動車やフライパンの件は、やはり「故意」だと思う。

そこに大きな差がある。

 

今では、日本の商品ハードは世界に誇れる品質になっている。

これは、メーカーの努力の賜物というだけでなく、雑誌「暮(くら)しの手帖(てちょう)」の「商品テスト」のような、ユーザー目線の立場の方々の努力も大きかったと思う。

中国の方が、炊飯器を買って帰る時代になっているのだ。また、クルマの品質耐久性は必要以上と言っていいほど進化して、日本で廃車にしたクルマが、アフリカの新興国などで使われて喜ばれていると聞く。

 

しかし、「故意」の件は、テストというより、チェックで、それは行われなきゃいけないが、・・・寂しいことだ。

 

 

 

 

 


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