兵藤恵昭の日記 田舎町の歴史談義

博徒史、博徒の墓巡りに興味があります。博徒、アウトローの本を拾い読みした内容を書いています。

株価急落、アベノミクス失望

2013年06月14日 | 経済
株価が4月の黒田日銀の異次元政策発表時の株価まで急落した。新聞は日銀の金融政策の限界、政府の成長政策の内容に対する投資家の失望感が原因と説明している。

今回の株価下落の原因は、世界的な緩和マネーの増加により海外投資家が日本の株式、円に投機的に投資したためであり、いわば金融相場でしかない。ヘッジファンドはかなり利益確保したはずだ。民主党から自民党の安倍内閣に代わっても、日本の経済に大きな変化は起きていない。変わったのは日銀の金融政策だけである。日銀の異次元緩和で円安になっただけである。金融政策で円安はある程度操作ができる。円安となれば、輸出産業の業績上昇が見込まれる。そのため景気回復感が出てきた。しかし、円安による利益予想の期待だけであり、まだ、利益が実現したわけではない。株価上昇も一部の投資家は別にして一般の投資家は株価が上っても、実際に懐が暖まったわけではない。

株価上昇の理由を高速取引による海外投資家の取引方法にその原因に挙げる人もいる。取引方法が株価上昇の原因になるはずがない。

テレビで経済評論家が理由を挙げて今回の株価急落を説明している。アベノミクスの今後の政策が大切だそうだ。

日本経済の回復は民主党の野田政権のころから回復基調にあった。震災による公共投資の投入でストックマネーは増加しており、金融緩和の政策変更がなくとも、経済は回復基調にあった。従って、何もしなくても、株価は1万2,000円程度になっていたはずである。これからはアメリカ経済も回復基調にあり、株価はある程度反転するだろう。しかし、世界の中央銀行は金融緩和競争で、意識的にバブルを作りやすい状態にある。金融政策がある程度景気対策に有効であるからだ。金融政策は一時的か回復薬としては役に立つが、長期的に有効性を持つことはできない。

経済基盤の回復、経済構造の改革が必要だ。それは簡単ではない。そのため、減税政策とか、財政政策が求められるがこれも一時的な薬にしかならない。最近の動きは経済界が政府におんぶにだっこの状態となっている。これでは、いつまでたっても経済界は自立できない。産業政策を官僚に任せてうまくいったためしがない。成長政策は産業界自身で見つけだすことしかできない。政府の出来ることはさらに規制緩和を拡大し、もっと、民間活力を引き出すすることだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日経株価値下がりで大騒ぎ・・・・

2013年05月24日 | 経済
アベノミクスの円安で上昇を続けていた株価が一気に大幅値下がりをした。

待っていたように反リフレ派のエコノミストが騒ぎ始めた。円安、株安、債券安の到来だという。そんなに騒ぐ必要があるのか?本当に目立ち屋が多いことだ。ついこの間までは、白川総裁の金融政策を一方的にけなしており、金融政策が変われば、危機意識を言いだす。本当に困った人たちだ。

確かに、現在の株価は円安によるもので、バブルであることには間違いない。4月に黒田総裁による異次元緩和での株価上昇であるため、経済の実体は全く変わっていない。その意味ではバブルである。いつかはバブルはつぶれる。

しかし、黒田日銀総裁は結構粘り強い。また、政策的な影響力も持っている。そう簡単には、バブルはつぶさないだろう。金利上昇も現在の日銀の方向性が確認できないため、投資家の動揺によるものだ。金利上昇は追加緩和でかなり収まるはずだ。金利は金融政策で決定できるものではないが、現在の異次元金融政策である程度影響を与えることは可能である。

安倍政権は第3の矢の成長戦略検討をしている。出てきたのは政策をみると、女性職業能力の増大と医療等成長分野への期待だけだ。これでは長期的な日本経済の成長は期待出来ない。シャープの失敗でもわかるように、基本的な経済成長の考え方が間違っている。現在は、円安効果で韓国等アジア諸国に対して有利になっているだけである。日本の立ち位置は全く変化していない。これでは、一時的な景気回復はあっても長続きはしない。

インフレ期待で経済を立て直すことはできない。株価上昇で高額所得者が多少、高級品の個人消費に動いただけで終わるだろう。賃金の上昇はまだ2年以上先である。その前に期待感への依存した経済政策は幻滅感とともに終了するしかない。次に来るのは消費税引き上げによる輸入インフレを伴うたちの悪い景気後退である。

リフレ派の単純な金融政策で日本経済が回復するほど簡単ではない。異次元金融政策は短期的には有効だが、その副作用はかなり危険である。その点はしっかりと確認しておく必要がある。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中坊公平元弁護士心不全で死亡。

2013年05月06日 | 経済
整理回収機構の元社長中坊氏が死亡した。

住専問題で不良債権処理に活躍した中公平氏が先日、心不全で死亡した。83歳だった。一時は平成の鬼平にたとえられ、マスコミを賑やかした。当時はバブル崩壊で金融機関の不動産融資が不良債権化して、金融危機に陥っていた。住専機構に多額の公的資金が投入され、この債権回収が国民の税金の無駄使い非難され、回収のための最後の手段として機構が設立された。全国の弁護士、検察、大蔵官僚が集まり、最強の国家権力による回収機関となる住管機構の創設である。そのトップに立ったのが中坊氏だ。豊田商事事件、豊島産業廃棄物事件、森永ヒ素ミルク訴訟など市民派弁護士として有名な中坊氏に登場であった。まさに正義の味方の代表であった。

しかし、10年前に、機構の社長当時の不良債権の回収方法が問題となり、検察から詐欺罪で起訴される寸前までいった。形式上は過度な回収行為をした部下に対する管理者としての責任をとる形で弁護士の廃業を発表した。この住管機構当時の回収は中坊社長直轄の社長案件として大口債権の回収が実施されていた。その意味でこれは実質、中坊社長自身の回収行為であり、直接的な責任は中坊氏にある。

当時、詐欺罪が立件が避けられない状況で、自己の刑事責任と弁護士の地位をはかりにかけて、最終、検察側と司法取引をしたというのが正直な実態であろう。事実、その回収行為に対して本人自身、詐欺の認識が十分あったものと思われる。当時の住管機構では税金投入を極力減らすために、積極的な回収が行なわれた。多くの回収担当者も回収額の最大化を目指し、回収目標のノルマに追われて、違法行為スレスレの回収行為も多く発生していた。

ここで中坊氏が弁護士の職を捨てざるを得なかった詐欺行為が疑われた今回の回収のケースを説明しょう。

(事件の概要)
中坊弁護士の今回の事件は、朝日住建が三井建設に売却した土地に絡んで行われた。旧住宅金融専門会社(以下「住専」と略称)から債権を引き継いだ住管機構 が抵当権を有していた土地と隣接する別の土地に抵当権を設定していた明治生命と横浜銀行に対し、実際には、朝日住建と買主との間で、両方の土地を一括して 43億円で売却することを合意しており、住管機構もそのことを熟知していたにもかかわらず、「約32億円で売却する」と虚偽の説明をし、その結果、錯誤に 陥った明治生命と横浜銀行に、それぞれ9億円を弁済するだけで抵当権を抹消させた。

そして、結果的に、土地の売却額が33億円となったが、住管機構は、明治生命と横浜銀行に支払った18億円との差額である15億円を回収した。
 
もともと、住管機構が抵当権を有していた土地は、明治生命と横浜銀行が抵当権を有していた土地の10分の1程度の面積であり、しかも、利用価値の低い傾 斜地であったにもかかわらず、住管機構は、明治生命と横浜銀行の2社の合計額よりも大きい金額を回収した。そして、住管機構は、朝日住建と一緒になって、 多額の回収を行うために、このようなスキームを考え、明治生命と横浜銀行の2社に対して積極的に虚偽の説明をしていた。
 
朝日住建の子会社の元社長を務めていた増田修造氏が、内部告発という形で、この件について、2002年10月に、東京地検特捜部に詐欺容疑で刑事告発し (刑事告発に至る経緯や事件の内容については、今西憲之『内部告発―権力者に弓を引いた三人の男たち』鹿砦社刊の第1章に詳しい)、それが受理されて捜査 が進められていたのである。
 
この内容からすれば、住管機構は、虚偽の事実を告知して、他の債権者を騙して、本来であれば得られなかったはずの多額の債権回収をして利益を上げているのであるから、詐欺罪が成立することは明らかである。

そして、中坊弁護士は、住管機構の社長時代に、判断が難しい100件以上の債権については、「中坊直轄案件」として、回収方針などを自ら決断していたと され、本件はまさに「中坊直轄案件」であり、中坊弁護士自身が今回の回収の方針を了承していたとされる。そうであれば、中坊弁護士も詐欺の共犯ということ になり、中坊弁護士が緊急会見で述べた「部下が行きすぎた」がその監督責任を取るかのような説明は、全く事実に反していることになる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今後の日銀審議委員の意見動向

2013年04月27日 | 経済
黒田日銀総裁は今後2年で物価上昇率2%に達すると自信を持って記者会見で発表した。
今回の政策審議会合で2%の物価上昇が難しいとの意見を出したのは、佐藤、木内委員の2名だった。
この2名の委員はもともと、積極派と言われていた人だ。就任当時には外債購入にも積極的に賛成をしていた。
いつの間にか慎重派になったのだろうか?それともほかに委員と違って、以前の白川日銀理論を支持した責任感から慎重意見を述べたのだろうか?出身母体である野村証券、モルガンスタンレーからすれば、もっと積極的になってもよい立場だ。それともエコノミストとしての良心に忠実に従い、自己の理論を展開したのかも知れない。他の委員に比べれば非常にまじめな人だ。
誰とは言わないが、自分の意見を言わず、組織防衛のサラリーマン根性から抜け出せない委員たちと比べれば評価できる人だ。政府の審議会委員の席を狙う天下り学者、エコノミストよりずっと評価できる。どちらにしても今後の日銀金融政策の方向性はこの二人が握っているのかも知れない。
総裁、副総裁3名はかなりデフレ対策に積極的であると思われる。中曾副総裁も黒田総裁の意見に精いっぱいついていく態度を取っている。宮尾委員は黒田総裁に意見にもともと賛成している。ほかの委員は会議の方向性を左右するほどの影響力はないようだ。唯一の女性委員である白井氏はパフォーマンスはあるが、政策会議をリードするほどの力はないように思われる。残りの審議委員は自己の意見を積極的に主張するタイプではない。全体の会議の流れに従うタイプだ。
従って、黒田総裁も、この二人の委員をどのように納得させることができるか、今後の日銀政策運営の力量として判断されるだろう。これから日銀政策会合の動向をみるのが楽しみだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アベノミクスの今後

2013年04月19日 | 経済
最近、浜田宏一の「アメリカは日本経済の復活を知っている。」吉川洋の「デフレーション」、岩田規久男の「日本銀行デフレの番人」の3冊の本を読んだ。現在、4冊目の野口悠紀雄の「金融緩和で日本は破綻する。」を読んでいる。

アベノミクスの金融政策に対する評価に対していろいろな見方が出ている。基本的には貨幣数量説に対する考え方の相違にそれぞれの考えの違いが出てきている。リフレ派、反リフレ派と言い、相手の経済理論への批判は激しいが根本はお互いに理解をしているのではないか?それほどそれぞれ大きな違いはないと私は思った、

相手の考えに対して激しく批判するときは、過去金融政策の分析をするときは、それぞれ明確に意見を述べている。しかし、今後の日本経済の将来の在り方になると、みんな急におとなしい意見になる。

日本経済デフレの原因をどこに求めるのか?ここには大きな違いがある。

リフレ派は極めて単純で、且つ分かりやすい考え方だ、すべて日本銀行の金融政策にその原因を求めている。それも一つの考え方であり、なるほどと思った。しかし、それですべてが解決できるほど物事は単純、簡単ではないのも事実だ。納得しながらも、疑問符はつく。

反リフレ派の原因の求め方は、一言でいえば、日本経済の特殊性、多様性などから、原因は簡単ではないと主張する。その理屈をいろいろな過去の歴史、経済数字など事例を挙げて説明している。結局は、原因と結果が混乱して複雑怪奇になり、最終的にはよく理解できない。読み終わっても、混乱が残るだけだ。私の頭の悪さに原因があるのかも知れないが・・・・

ある雑誌のコラム欄に「出来の良い経済学者は、勉強すればするほど物理学者に近づいていく。反対に出来の悪い経済学者は勉強すればするほど、社会学者に近づく。」と書いてあった。自然と社会に対する法則性、原理に対するの考え方の違いだろうだろう。物理学者はすべての減少は理論、原則で説明できるという。社会学者は簡単にはすべての現象は原理、法則性で説明できないという。経済学とは本当に厄介な学問だ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする