兵藤恵昭の日記 田舎町の歴史談義

博徒史、博徒の墓巡りに興味があります。博徒、アウトローの本を拾い読みした内容を書いています。

日経株価値下がりで大騒ぎ・・・・

2013年05月24日 | 経済
アベノミクスの円安で上昇を続けていた株価が一気に大幅値下がりをした。

待っていたように反リフレ派のエコノミストが騒ぎ始めた。円安、株安、債券安の到来だという。そんなに騒ぐ必要があるのか?本当に目立ち屋が多いことだ。ついこの間までは、白川総裁の金融政策を一方的にけなしており、金融政策が変われば、危機意識を言いだす。本当に困った人たちだ。

確かに、現在の株価は円安によるもので、バブルであることには間違いない。4月に黒田総裁による異次元緩和での株価上昇であるため、経済の実体は全く変わっていない。その意味ではバブルである。いつかはバブルはつぶれる。

しかし、黒田日銀総裁は結構粘り強い。また、政策的な影響力も持っている。そう簡単には、バブルはつぶさないだろう。金利上昇も現在の日銀の方向性が確認できないため、投資家の動揺によるものだ。金利上昇は追加緩和でかなり収まるはずだ。金利は金融政策で決定できるものではないが、現在の異次元金融政策である程度影響を与えることは可能である。

安倍政権は第3の矢の成長戦略検討をしている。出てきたのは政策をみると、女性職業能力の増大と医療等成長分野への期待だけだ。これでは長期的な日本経済の成長は期待出来ない。シャープの失敗でもわかるように、基本的な経済成長の考え方が間違っている。現在は、円安効果で韓国等アジア諸国に対して有利になっているだけである。日本の立ち位置は全く変化していない。これでは、一時的な景気回復はあっても長続きはしない。

インフレ期待で経済を立て直すことはできない。株価上昇で高額所得者が多少、高級品の個人消費に動いただけで終わるだろう。賃金の上昇はまだ2年以上先である。その前に期待感への依存した経済政策は幻滅感とともに終了するしかない。次に来るのは消費税引き上げによる輸入インフレを伴うたちの悪い景気後退である。

リフレ派の単純な金融政策で日本経済が回復するほど簡単ではない。異次元金融政策は短期的には有効だが、その副作用はかなり危険である。その点はしっかりと確認しておく必要がある。
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株価は上がり、債券市場も混乱収まらず。この先は・・・

2013年05月21日 | 金融
4月の異次元緩和から1カ月が経った。一時、収まった国債市場でまた金利の上昇が始まった。
これほど黒田日銀バズーカ砲で金融緩和のために大量の国債買い取りをしているのに、日銀の思惑と反対に金利は上昇気味だ。特に長期金利の上昇で、住宅ローン金利も上昇している。
政府、リフレ派の説明では投資家が国債から株式に移動しているためと言っている。
現在の株価の値上がりは海外の投資家が日本の株式を購入しており、日本の投資家はむしろ利益確保のため、株式の売り越しになっている。
日本の投資家はアベノミクスの行方に不安感を持っているようだ。積極的な財政政策でGDPは上昇、景気回復の動きはあるが、本来の企業収益の見通しはまだ不透明だ。
株式値上がりにより、株式の評価益が発生して、企業収益は上昇した。これはまだ未実現利益でしかない。
企業の設備投資につながるものではない。当面は自己資本積み増しのための内部留保に向かうしか方法がない。
インフレ率の上昇から企業の金利負担は確実に増加する。従って、政府の期待する賃金引き上げまで行くのはまだ遠い将来の話になるだろう。
国債市場での金利上昇は、先行きの金利上昇を見込んだ地方銀行がリスク回避のために、既存の国債の売却に向かったためである。地方銀行は長期国債を売り、短期国債を買う動きが活発化するだろう。
いくら、国債の金利が低いからと言って、株式や外債投資へのリスクより、ずっと国債の方がリスクが少ない。中小企業への融資拡大などは表面上は唱えても、収益確保のためには、本当のところは国債の安定性の方が確実であり、安定収益が確保できる。当分は円安での輸入価格の上昇による輸入インフレが発生するだろう。
そのうち、消費税引き上げで、前回の小泉政権同様に、賃金上昇のない、バブル気味の物価上昇と実感なき景気回復の結果、景気低迷に陥るのではないだろうか。

http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/marketdata05.html
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中坊公平元弁護士心不全で死亡。

2013年05月06日 | 経済
整理回収機構の元社長中坊氏が死亡した。

住専問題で不良債権処理に活躍した中公平氏が先日、心不全で死亡した。83歳だった。一時は平成の鬼平にたとえられ、マスコミを賑やかした。当時はバブル崩壊で金融機関の不動産融資が不良債権化して、金融危機に陥っていた。住専機構に多額の公的資金が投入され、この債権回収が国民の税金の無駄使い非難され、回収のための最後の手段として機構が設立された。全国の弁護士、検察、大蔵官僚が集まり、最強の国家権力による回収機関となる住管機構の創設である。そのトップに立ったのが中坊氏だ。豊田商事事件、豊島産業廃棄物事件、森永ヒ素ミルク訴訟など市民派弁護士として有名な中坊氏に登場であった。まさに正義の味方の代表であった。

しかし、10年前に、機構の社長当時の不良債権の回収方法が問題となり、検察から詐欺罪で起訴される寸前までいった。形式上は過度な回収行為をした部下に対する管理者としての責任をとる形で弁護士の廃業を発表した。この住管機構当時の回収は中坊社長直轄の社長案件として大口債権の回収が実施されていた。その意味でこれは実質、中坊社長自身の回収行為であり、直接的な責任は中坊氏にある。

当時、詐欺罪が立件が避けられない状況で、自己の刑事責任と弁護士の地位をはかりにかけて、最終、検察側と司法取引をしたというのが正直な実態であろう。事実、その回収行為に対して本人自身、詐欺の認識が十分あったものと思われる。当時の住管機構では税金投入を極力減らすために、積極的な回収が行なわれた。多くの回収担当者も回収額の最大化を目指し、回収目標のノルマに追われて、違法行為スレスレの回収行為も多く発生していた。

ここで中坊氏が弁護士の職を捨てざるを得なかった詐欺行為が疑われた今回の回収のケースを説明しょう。

(事件の概要)
中坊弁護士の今回の事件は、朝日住建が三井建設に売却した土地に絡んで行われた。旧住宅金融専門会社(以下「住専」と略称)から債権を引き継いだ住管機構 が抵当権を有していた土地と隣接する別の土地に抵当権を設定していた明治生命と横浜銀行に対し、実際には、朝日住建と買主との間で、両方の土地を一括して 43億円で売却することを合意しており、住管機構もそのことを熟知していたにもかかわらず、「約32億円で売却する」と虚偽の説明をし、その結果、錯誤に 陥った明治生命と横浜銀行に、それぞれ9億円を弁済するだけで抵当権を抹消させた。

そして、結果的に、土地の売却額が33億円となったが、住管機構は、明治生命と横浜銀行に支払った18億円との差額である15億円を回収した。
 
もともと、住管機構が抵当権を有していた土地は、明治生命と横浜銀行が抵当権を有していた土地の10分の1程度の面積であり、しかも、利用価値の低い傾 斜地であったにもかかわらず、住管機構は、明治生命と横浜銀行の2社の合計額よりも大きい金額を回収した。そして、住管機構は、朝日住建と一緒になって、 多額の回収を行うために、このようなスキームを考え、明治生命と横浜銀行の2社に対して積極的に虚偽の説明をしていた。
 
朝日住建の子会社の元社長を務めていた増田修造氏が、内部告発という形で、この件について、2002年10月に、東京地検特捜部に詐欺容疑で刑事告発し (刑事告発に至る経緯や事件の内容については、今西憲之『内部告発―権力者に弓を引いた三人の男たち』鹿砦社刊の第1章に詳しい)、それが受理されて捜査 が進められていたのである。
 
この内容からすれば、住管機構は、虚偽の事実を告知して、他の債権者を騙して、本来であれば得られなかったはずの多額の債権回収をして利益を上げているのであるから、詐欺罪が成立することは明らかである。

そして、中坊弁護士は、住管機構の社長時代に、判断が難しい100件以上の債権については、「中坊直轄案件」として、回収方針などを自ら決断していたと され、本件はまさに「中坊直轄案件」であり、中坊弁護士自身が今回の回収の方針を了承していたとされる。そうであれば、中坊弁護士も詐欺の共犯ということ になり、中坊弁護士が緊急会見で述べた「部下が行きすぎた」がその監督責任を取るかのような説明は、全く事実に反していることになる。
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新たな違法貸金業者登場・・・

2013年05月03日 | 金融
NHKクローズアップ現代で高年齢者の年金担保の高利貸金業者が話題になっている。年金受給者の年金担保に、価値のない質草を入れて、融資をする新しいタイプの貸金業者である。質屋の場合は年利100%以上の金利が合法化されている。この点に着眼して、質屋の形態をとった新たな貸金業である。

年金を貸金の担保にすること自体違法だが、年金受給日に貸金の返済条件とすれば、返済原資は間違いない。年金を返済原資となれば、融資額も多額ではない。数万円から数十万円の融資額からスタートすることになる。クレジットのキャッシングと同じ扱いで、借りる方も金利負担をあまり感じなく、高利貸から借りている感覚もない。

事実、借りている本人も貸金業者に感謝している言葉も聞こえる。しかし、長期間融資を繰り返しておれば、金利負担は膨大なものになる。

番組の中での質問で、悪いのは借りた本人であり、貸金業者は悪くないとの言葉が利用者自身が述べている。考えてみれば、おかしな話だ。犯罪者・加害者より被害者の方が罪の意識を持っている。高年齢者は自己責任という考え方が強いためだろう。ゆえに相手が悪いのでなく、自分が悪いと考える。これは借りる個人の問題ではなく、高齢者への支援の制度に問題がある。

単に年金を担保にした融資を禁止するだけではなく、年金を担保にしても低利で融資をする融資制度を作るべきだ。現在の金融機関における預金金利はコンマ以下の金利状況で、100%の金利とはまさに犯罪そのものである。金融機関はもっと年金担保等の小口融資をしっかりと制度化すべきだろう。しかし、リスクと手間費用の面で、この分野に積極的に進出を考える金融機関は皆無である。そうならば、公的融資で対応せざるを得ない。

貸金業者の摘発ばかりを考えても、問題の解決にはたどり着かない。重要なのは高齢者のためのセーフティネットの構築が必要である。こういう弱者にはなかなか政治からも援助の手が差しのばされない。新自由主義的な考え方の強い現在の安倍政権には期待する方が無理かもしれない。第一に、次の選挙で票にもならない階層である。本当に、民主主義とは問題解決に時間のかかる制度である。
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