令和5年3月下旬のとある日、朝から気合いを入れて映画館に向かいました。「シン・仮面ライダー」を観るためです。
初代仮面ライダーのテレビ放送が始まった1971年(昭和46年)、私は10歳、小学5年生でした。事前に、「ぼくらマガジン」という雑誌で石ノ森章太郎先生の漫画の連載が始まり、テレビ版の特集も組まれていて、テレビ放送をとても楽しみにしていました。
そして始まった「仮面ライダー」、私はすっかり夢中になり、毎週テレビにかじりついて見ていました。
あれから52年、あの初代仮面ライダーを、庵野秀明さんが監督して映画を作るというのですから、期待しないわけには行きません。ワクワクドキドキしながら映画館に向かったわけです。
そして観終わった直後の感想は… 正直戸惑いました。決して面白くなかったわけではありません。私のように初代仮面ライダーを知っている人間でも、仮面ライダーを知らない世代の方々でも、十分楽しめる作品だと思います。ただ、私的には情報量が多すぎて、ストーリーについて行くのがやっと、という状態だったのです。また、原作版の要素がたくさん取り入れられていたのも、嬉しかった反面、戸惑いも感じたのです。
「これはもう一度観るしかない!」そう思い、約一ヶ月後の4月中旬、再度劇場に足を運びました。二度目の鑑賞では、ストーリーはわかっていたので、一度目よりも余裕を持って、じっくり楽しむことが出来ました。以下、個人的な勝手な感想です。
まず、本人の承諾もなく、勝手に本郷猛を改造した緑川博士ってすげぇーひどい奴だな、と思いました。「本郷くんは力を欲している、だから改造して力を与えた。我々にその力を貸してくれ」って、とんでもないエゴイストだなと…。そしてまた、本郷猛もろくに抗議することもなく、簡単に受け入れたのには、すごく違和感を感じました。
私的には、「本郷猛=藤岡弘、さん」で、熱血漢なイメージが強かったのですが、池松壮亮さん演じる本郷猛は、とても繊細で弱さを感じさせる設定で、原作版に通ずるような悲壮感も感じられ、感情移入でき、とても好感を持ちました。こんな本郷猛もありだな、と…
また、浜辺美波さん演じる緑川ルリ子が、ショッカーにより生み出された改造人間の一種であるという設定には、「シン・ウルトラマン」のゼットン同様ひっくり返りました。
庵野監督は、「エヴァンゲリオン」のミサトさんやアスカ、「シン・ウルトラマン」の浅見弘子など、「芯の強さと同時に繊細な弱さを持った女性」が好みのように感じていましたが、完全にその流れだなと思いました。そして、そのキャラ設定によって、本郷猛と徐々に絆を深めていくという感情が見事に表現出来ていたことには、とても好感を持ちました。
ただ、ルリ子の死は、テレビ版、原作版にもない設定で大ショックでした…。魂は安全な場所に保存されているという最後の立花の言葉で、ほっとしたようなしないような…
また、本郷猛が蝶オーグこと仮面ライダー0号との戦いで、最後に消滅してしまうという設定には、切なさしかありませんでした。原作版の、13人のショッカーライダーに殺害されてしまう(その後、脳に損傷がなかったため脳のみ生き残り、原作版最終エピソードで仮面ライダーの姿で復活しましたが…)という展開には、幼心に大ショックを受けたこと、未だに忘れられません。
個人的には、本郷猛こそ仮面ライダーの魂そのものであり、絶対に生き続けなければならない存在と思っています。その点、本作のラストで、死んだと思われた本郷猛の魂が仮面に移植され、一文字隼人と「2人で1人」の存在になったという、原作版を踏襲したようなラストにはホッとしました。ただ、一文字隼人のライダースーツが2本ラインの「新1号」のスーツになっていて、「えっ!?」ってなりましたが…
細かいところでは、ショッカーを見届ける存在「K」がロボット刑事であったり、「K」の前身「J」がキカイダーを彷彿とさせるフォルムであったり、緑川博士の息子である蝶オーグの名前が、キカイダー01の「イチロー」であったり、など、石ノ森先生のライダー以外の作品のキャラクターを彷彿とさせる演出は、すごく楽しかったです。
あと、個人的にこれだけは受け入れられないと思ったシーンがあります。それは、1号ライダーと2号ライダーが戦い、1号が左脚を骨折するというシーンです。52年前、藤岡弘、さんが撮影中の事故で左脚を骨折し、仮面ライダーの主役を続けられなくなってしまったことを思うと、これは絶対にやってはいけない演出だと思ったのです。藤岡さんがこのシーンを観たらどんな気持ちになるだろうと…
最後に、本作はすごくエヴァンゲリオン的だなと感じました。「本郷猛=碇シンジ」「緑川ルリ子=ミサト、レイ、アスカ」「イチロー=碇ゲンドウ」「ハビタット計画=人類補完計画」… そう考えると何だか「実写版エヴァンゲリオン」と言えなくもないかと…
あともうひとつ。サイクロン号には立花レーシングチームのマークが入ってなきゃダメでしょ。
庵野秀明展に展示されていた「シン・仮面ライダー」関連の展示物
初代仮面ライダーのテレビ放送が始まった1971年(昭和46年)、私は10歳、小学5年生でした。事前に、「ぼくらマガジン」という雑誌で石ノ森章太郎先生の漫画の連載が始まり、テレビ版の特集も組まれていて、テレビ放送をとても楽しみにしていました。
そして始まった「仮面ライダー」、私はすっかり夢中になり、毎週テレビにかじりついて見ていました。
あれから52年、あの初代仮面ライダーを、庵野秀明さんが監督して映画を作るというのですから、期待しないわけには行きません。ワクワクドキドキしながら映画館に向かったわけです。
そして観終わった直後の感想は… 正直戸惑いました。決して面白くなかったわけではありません。私のように初代仮面ライダーを知っている人間でも、仮面ライダーを知らない世代の方々でも、十分楽しめる作品だと思います。ただ、私的には情報量が多すぎて、ストーリーについて行くのがやっと、という状態だったのです。また、原作版の要素がたくさん取り入れられていたのも、嬉しかった反面、戸惑いも感じたのです。
「これはもう一度観るしかない!」そう思い、約一ヶ月後の4月中旬、再度劇場に足を運びました。二度目の鑑賞では、ストーリーはわかっていたので、一度目よりも余裕を持って、じっくり楽しむことが出来ました。以下、個人的な勝手な感想です。
まず、本人の承諾もなく、勝手に本郷猛を改造した緑川博士ってすげぇーひどい奴だな、と思いました。「本郷くんは力を欲している、だから改造して力を与えた。我々にその力を貸してくれ」って、とんでもないエゴイストだなと…。そしてまた、本郷猛もろくに抗議することもなく、簡単に受け入れたのには、すごく違和感を感じました。
私的には、「本郷猛=藤岡弘、さん」で、熱血漢なイメージが強かったのですが、池松壮亮さん演じる本郷猛は、とても繊細で弱さを感じさせる設定で、原作版に通ずるような悲壮感も感じられ、感情移入でき、とても好感を持ちました。こんな本郷猛もありだな、と…
また、浜辺美波さん演じる緑川ルリ子が、ショッカーにより生み出された改造人間の一種であるという設定には、「シン・ウルトラマン」のゼットン同様ひっくり返りました。
庵野監督は、「エヴァンゲリオン」のミサトさんやアスカ、「シン・ウルトラマン」の浅見弘子など、「芯の強さと同時に繊細な弱さを持った女性」が好みのように感じていましたが、完全にその流れだなと思いました。そして、そのキャラ設定によって、本郷猛と徐々に絆を深めていくという感情が見事に表現出来ていたことには、とても好感を持ちました。
ただ、ルリ子の死は、テレビ版、原作版にもない設定で大ショックでした…。魂は安全な場所に保存されているという最後の立花の言葉で、ほっとしたようなしないような…
また、本郷猛が蝶オーグこと仮面ライダー0号との戦いで、最後に消滅してしまうという設定には、切なさしかありませんでした。原作版の、13人のショッカーライダーに殺害されてしまう(その後、脳に損傷がなかったため脳のみ生き残り、原作版最終エピソードで仮面ライダーの姿で復活しましたが…)という展開には、幼心に大ショックを受けたこと、未だに忘れられません。
個人的には、本郷猛こそ仮面ライダーの魂そのものであり、絶対に生き続けなければならない存在と思っています。その点、本作のラストで、死んだと思われた本郷猛の魂が仮面に移植され、一文字隼人と「2人で1人」の存在になったという、原作版を踏襲したようなラストにはホッとしました。ただ、一文字隼人のライダースーツが2本ラインの「新1号」のスーツになっていて、「えっ!?」ってなりましたが…
細かいところでは、ショッカーを見届ける存在「K」がロボット刑事であったり、「K」の前身「J」がキカイダーを彷彿とさせるフォルムであったり、緑川博士の息子である蝶オーグの名前が、キカイダー01の「イチロー」であったり、など、石ノ森先生のライダー以外の作品のキャラクターを彷彿とさせる演出は、すごく楽しかったです。
あと、個人的にこれだけは受け入れられないと思ったシーンがあります。それは、1号ライダーと2号ライダーが戦い、1号が左脚を骨折するというシーンです。52年前、藤岡弘、さんが撮影中の事故で左脚を骨折し、仮面ライダーの主役を続けられなくなってしまったことを思うと、これは絶対にやってはいけない演出だと思ったのです。藤岡さんがこのシーンを観たらどんな気持ちになるだろうと…
最後に、本作はすごくエヴァンゲリオン的だなと感じました。「本郷猛=碇シンジ」「緑川ルリ子=ミサト、レイ、アスカ」「イチロー=碇ゲンドウ」「ハビタット計画=人類補完計画」… そう考えると何だか「実写版エヴァンゲリオン」と言えなくもないかと…
あともうひとつ。サイクロン号には立花レーシングチームのマークが入ってなきゃダメでしょ。
庵野秀明展に展示されていた「シン・仮面ライダー」関連の展示物