昭和と現代を行き来しながら進む物語でした。
私が生まれるよりもう少し前の昭和は、
まだまだ「家」とか「家業」とかがしっかり残っていて、
嫁ぎ先は家同士で決まるもの、だったんだよねえ。
現代よりも、制約は多かっただろうけれども、
その中でどう生きるか、自分を表現するか、にかける気持ちって、
もしかしたらすごく濃密だったのかもしれないな。
また、「手間がかかる」なんていう言葉で表現できないくらいの作業を、
情熱を絶やさずに続けていくことができるのは、
ある意味特性のある人なのかもしれないなとも。
腑に落ちる感じはあった。
また、選択肢は無限にあるかのように情報が溢れている現代では、
ごく若いうちにこの道で行こう!と決めることは困難になってしまったのかもな、とも思う。
〈桐生の養蚕農家の娘として生まれた芳乃〉と〈東京でトリマーとして働く詩織〉。伝説の織物「山笑う」をめぐり〈昭和〉と〈現代〉、決して交わるはずのなかった、ふたつの運命が、紡ぎ、結ばれていく――。抑圧と喪失の「その先」を描く、てしごと大河長編。
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