土佐の酒 美丈夫
侘輔 今日のお酒は四国高知県のお酒なんだ。今回初めて楽しむお酒なんだ。
呑助 何という銘柄のお酒なんですか。。
侘助 「美丈夫」という銘柄のお酒なんだ。
呑助 イケメンの酒というイメージですかね。
侘助 美丈夫だからね。美男の剣士というイメージかな。お酒はイメージ商品だと言った酒蔵の社長がいたからね。
呑助 高知県の酒というとどんな銘柄の酒があるんですかね。
侘助 有名なのは「土佐鶴」、「酔鯨」、「司牡丹」といったところかな。それから「美丈夫」。
呑助 土佐県の酒の特徴というとどんなところでしようかね。
侘助 高知県の酒は四国の他の県の酒と比べてみると淡麗で辛口の酒が好まれているようだ。
呑助 西の方の酒は、どちらかというと甘口の酒が多いように思っていましたが、高知は辛口の酒が好みなんですか。
侘助 高知県は、お酒にお金を使う額が日本一なんだそうだよ。
呑助 高知県には、そんなに飲ん平が多いんですか。
侘助 毎年四月、高知・赤岡の浜で大杯飲み干し大会が行われている。「どろめ祭」の一環として男は一升の酒を十二、三秒で飲み、美しく飲む技を競い合っている。女性も参加している。女性は五合の酒を十一秒弱で飲み干すらしい。
呑助 へぇー、そんな祭をしているところがあるんですか。「どろめ」とは何ですか。
侘助 地引網で捕れる小魚をドロメというらしい。そこでその小魚を肴にしてお酒を楽しむ祭を「どろめ祭」というようだ。
呑助 高知県というと鰹の叩きが有名ですよね。
侘助 鰹を肴にして酒を楽しむ文化が高知県にはあるんじゃないのかな。それが皿鉢(さわち)料理なのかもしれない。大皿に刺身を盛り、豪快に酒を飲む。土佐には可杯(べくはい)といって杯の下が尖がっている。杯を置くことができない。杯を置くと酒が零れてしまう。注がれた酒は飲み干す以外に置くことができない杯を可杯と言う。注がれた酒は飲み干すのが土佐の酒文化だと高知の人々は誇りにしている。
呑助 東の酒処が秋田だとしたら、西の酒処は高知ですか。
侘助 土佐最後の藩主、山内容堂は自ら「鯨海酔侯(げいかいすいこう)」と称し、昼間から酒を嗜み、幕末を生きたといわれているからね。その伝統が現代の高知県人に継承されているのかもしれない。
呑助 その酒処の一つが今日楽しむ「美丈夫」だということなんですね。
侘助 そうなんだ。純米吟醸、秋上がり、今年九月の季節商品、生詰めのお酒なんだ。
呑助 「生詰め」とは、どんな酒でしたっけ。
侘助 醪を絞った直後、火入れ、熱処理をして酵母を殺し、発酵を止める。その後酒を五度C冷蔵庫におよそ半年間寝かしてお酒が熟成したことを確認し、出荷したお酒が「秋上がり」のお酒だ。だから出荷の際に火入れをしないで「冷や」のまま酒販店卸すので又の名を「冷やおろし」なんても言っているんだ。
呑助 お酒が熟成するというのは美味しくなったということなんですよね。
侘助 滑らかになってね。