引き続いて、日常に何気なく使用しているが、賭博や博打に由来するとされている言葉の紹介です。
・ぞろ目:
漢字で「揃目」と書くこともありますが、正にこの漢字の通りにサイコロ賭博でサイコロの目が同じ場合に「そろい目」と言っていたのが、いつの間にか「ぞろ目」になったようです。
・ため口:
私は、年下の者や、仕事などで下の立場の人が、年上の人や上司の立場の人に対して<敬語を使わず、なれなれしく話すこと>だと思っていたのですが、どうやら年齢や役職などには関係なしに、<相手を対等として扱った話し方>をいうようです。
「ため」は二つのサイコロで同じ目が出る「同目(どうめ:ゾロ目)」を意味した。サイコロ賭博と共に言葉が広まる中で「どうめ → とうめ → ため」と変化し、「ため」という言葉が生まれたという説もあるようです。
即ち、二つのサイコロが同じ目を出した状態を指す「同目」が、同じ立場、対等の立場という意味で「ため」という言葉が使われるようになった。その後、1960年代に不良少年が「ため口」の語を仲間内だけの隠語として使い始め、若者の間で広まり、1980年代には一般に広まったとされていて、「ため口」という言葉も比較的新しい言葉のようです。
・買って出る:
<自分から進んで仕事や役割を引き受けること)を言いますが、その由来は花札にあるようです。
即ち、花札は本来、3人で勝負するため、参加者が4人以上いる場合は、親から数えて4人目以降の下座の者は外されることになっています。どうしても下座の者が勝負に参加したい場合は、その代償として、上座の者から役札を買い上げて参加することから、自ら進んで引き受けることを「買って出る」というようになったというようですが、どのような役札をどのように買い上げるのかまでは判りませんでした。
・シカト(シカトする)
昭和30年代後半から若者の間で使われ始めた比較的新しい言葉らしいですが、<無視すること。また、仲間はずれにすること>をいうようです。
この語源は、花札の10月の絵柄である鹿がそっぽを向いているところから、シカ+10で「シカト」になったと言うのですが…
・ぼんくら:
<ぼんやりしていて物事の見通しがきかないこと。また、そのような人や、そのさま)を言いますが、その語源については諸説あるようです。
・まず、漢字で書くと「盆暗」で、「盆」は「賭博場」のことを指し、「暗」は「負けてばかり」の様子を表す言葉です。このことから、ギャンブルで負けてばかりの人を「ボンクラ」と呼ぶようになったという説です。
・同じく「盆暗」で、賭博に関係ありますが、意味が少し違います。
賭場は半方・丁方に分かれて盆が置かれており、その上に金銭代わりの木札を乗せていきます。これが掛け金です。一方、つぼ振りの横には後見がおり、「丁方ないか、半方ないか」と声を掛け、「丁半そろいました」でつぼを開けます。この「丁半そろいました」が胴元(親)側の一番大切な仕事です。常に丁と半の掛け金が同じだと、親が損することはあり得ません。寺銭(てらせん、場所代)が順調に入ってきます。ところが掛け金が多い方に「目」が出た場合、足らない分は親が、まどう(弁償する)事になります。そこで左右の盆を一目見ただけで、どちらが多いかを瞬時に見抜く後見を「盆に明るい」と褒め、いつまでたっても勘定ができない後見を「盆に暗い」と見下しました。この「盆に暗い」が、慣用化されボンクラとなったという説です。
・もう一つは「盆蔵」で、賭博ではなくて建築に由来するという説です。
土蔵というものは空気が乾燥している冬場にたてるのが普通なのに、夏に建ててしまうと、土の表面ばかり乾燥して平均的に乾かず、役に立たない土蔵になってしまうと言われています。つまり「お盆の時期」に建てられた蔵が使いものにならないことから、ダメな人のことを「盆蔵」というようになったというものです。
・三下(さんした):
今では<取るに足らない者。下っ端の者>を指す言葉ですが、元々は丁半打の仲間の内で下っ端の者を意味する言葉で、三下奴とも言うようです。
賭博場での上位者は貸元・代貸・出方で三下とは、表番、下足番、使番などといった仕事を行う者を表す階級を意味したようですが、語源としては、博打ではサイコロの目数が三よりも下だったならば勝ち目がないというところから言われ始めたとされています。
・寺銭(てらせん):
博徒が経営する賭博場で賭金に応じてとる手数料のこと。語源については諸説あるが,江戸時代に取締りがゆるやかだった寺社奉行支配下の寺社の境内に,仮設の賭博場をつくり,賽銭勘定場と称し,手数料のもうけを寺へ寄進する形式をとったことに由来するという。
このように色々な言葉がありますが、余り良い意味の言葉はないですね。
大阪へのIR誘致に力を注いでいる人たちも、後世には『あの、ボンクラたちが・・・』と呼ばれそうな気がしますが…(まさ)
この項は、<ユライカ><雑学ネタ帳><語源辞典オンライン><ちょっぴり自慢できるコトバの語源><weblio辞書><goo辞書><コトバンク><家づくりブログ><松喬日和>
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