老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

認知バイアス  その②  ~自分が可愛い/楽したい~ 

2019年06月25日 20時48分08秒 | 法則/心理効果・現象など
 先ずは、人誰しもが程度の差こそあれ良く抱く感情で、私にも思い当たる所が多々あります。
「自分は間違っていない(他の人の方がおかしい)」「自分はこれだけ頑張っているのに」とか思うだけでなく、状況判断に関しては自分の思い込んでいる物差しを使いたいものなのです。

(A)確証バイアス(Confirmation bias)
 人は自分が正しいと思うことを肯定する情報のみを目に留め、集めてしまう現象のことです。
この行動に働く心理としてよく言われているのは、“自分の考えや意思決定を正しいと思って安心したい”というものですが、その根底には自分の意思を覆さずに楽に意思決定しようという脳のはたらきがあるようです。

(B)内集団バイアス(Ingroup bias)
 集団の外にいる人よりも集団内にいる人を贔屓し、優遇し、高く評価してしまう心理のことを指します。
集団への帰属意識が強ければ強いほど顕著に現れます。 そしてこの心理効果は差別行動の原因の一つとされています

(C)対応バイアス(Correspondence bias)(根本的な帰属の誤りFundamental attribution errorとも呼ばれます)
 人間は人の行動を根拠なくその人の「種類」によって決定されていると見る傾向があり、社会的かつ状況的な影響を軽視する傾向がある。また、自身の行動については逆の見方をする傾向があります。
 例えば、自分自身に起こった悪いことは状況のせいにする一方で、他人のみに起こった悪いことはその人本人のせいであると思い込みやすい心理効果のことを指します

(D)自己奉仕バイアス(Self-serving bias)
 物事が成功した時は自分の功績だと感じやすく、失敗した時は他人や自分以外のせいだと思いやすい心理性質のことです
 人は自尊心を保つために、自分の失敗をなるべく無くしたいという根源的な欲求があります

(E)感情バイアス(Emotional bias)
 感情バイアスとは、自分が抱いている感情に引っ張られることで、情報の解釈や判断を誤ってしまうことです。自分の都合のように解釈してしまいがちです。
 即ち、人間は一般に以下のようにする傾向があると言われています。
・たとえ相反する証拠があっても、心地よい感覚をもたらす肯定的な感情効果のあることを信じたがる。
・好ましくない、或いは精神的苦痛を与えるような厳しい事実を受け入れたがらない

(F)可用性ヒューリスティック(Availability heuristic)
 人は手に入れやすい情報や、想起しやすい情報を優先して判断材料に用いてしまうという心理効果のことです。

※「現在バイアス(現在志向バイアス)」はこの分類の代表例ですが、非常に大きなテーマですので、別項で取り上げたいと思います。

(まさ)

認知バイアス  その①  ~認知バイアスとは~

2019年06月24日 20時31分37秒 | 法則/心理効果・現象など
 <今年の4月13日並びに15日のこのブログでも“認知バイアス”を取り上げていますが、今回は少し観点を変えて、“心理効果・現象など”に関連してこの認知バイアに触れて見たいと思います。但し、一部重複する所があるかと思いますし、先に触れた“心理効果・現象など”などとも重複する事が多いと思いますが、ご容赦下さい。>

 私はこのブログを始めてから、普段は非常に冷静な判断を行う人たちが、いざ自分に直接関わる事柄についての判断を迫られた場合に、往々にして日頃の冷静な判断からは想像できない様な選択をすることの多さに改めて気付きました。

 即ち、私達はあらゆる物事に対して、常に自らの考えや経験に基づいて、公正に判断しているように信じていますが、実際には無意識な思い込みや先入観により、誤解や勘違いが非常に多いのです

 思い込みや勘違いには、先に述べた「〇〇効果」とか「〇〇現象」と呼ばれる心理学的な要因の他にも、人がよく陥る「思考の誤り」や、「思い込み」があります。


 これに拠って、人はある対象を評価する際に、自分の利害や希望に沿った方向に考えが歪められたり、対象の目立ちやすい特徴に引きずられて、ほかの特徴についての評価が歪められることが多いのですが、これらの現象には一定の傾向があり、『認知バイアス(Cognitive bias)』と呼ばれています。

 要するに、認知バイアスとは、人が物事を判断する場合において、個人の常識や周囲の環境などの種々の要因によって非合理的な判断を行ってしまうことを指します。


 因みに、バイアス(Bias)とは、偏り、かさ上げ、または斜めのことを指す言葉で、洋裁などに親しんでおられる方には、生地を斜めに裁つ「バイアス裁ち」という言葉は馴染みが深いかと思います。


 この認知バイアスは、認知心理学や社会心理学の理論として研究されていますが、経済の分野でも当てはまり、この傾向などを研究しているのが行動経済学とよばれています。


 このような認知バイアスが起こる原因としては、“人は情報の取得を省略し、容易に意思決定をする”癖があるからとされています。
即ち、脳には処理量の限界があるので、入ってくる情報をすべて受け取り、全て使って全ての決断をしている余裕はありません。 そこで、脳は情報や意思決定の取捨選択を行うのです。 必要な情報だけを受け取り、本当に判断が必要なものだけに頭を使うということです。

 このように、情報と決断を取捨選択する過程で、私たちは考えるのを放棄して偏った情報を取得したり、意思決定をその偏った情報にすぐ委ねることで、様々なバイアスが生まれると言われています。

 更に厄介なことには、最近ではこの“認知バイアス”の研究が進み、政治家がこの種々のバイアスを、自己が目指す政治を有利に展開するために意識的に利用している事です。

 これから、これらの認知バイアスのいくつをグループごとに分けて見て見たいと思います。(まさ)

※ この項は、下記などを参照させていただきました。
・「認知バイアスとは?意思決定を歪める20の心理学を徹底解説」(https://mindhack-media.Jp/articles/56)
・「お金についての判断を誤る6つの心理学的な罠」 
(https://www.lifehacker.jp/2014/05/140509we_fool_ourselves_about_money.html
・WIKIPEDIA

G20の経済効果(?)と、色々な準備 

2019年06月23日 20時02分59秒 | その他
 6月28/29に大阪で開催される大阪でのG20に向けて、大阪府/市は知名度アップと大はしゃぎですが、これに輪を掛けるように、新聞報道などによるとシンクタンクであるアジア太平洋研究所(APIR)は18日に“6月下旬に大阪で開く20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の近畿2府4県への経済効果は365億6360万円と試算”したようです。

 いつも、不思議に思うのですが、何か大きなイベントがあるとこのイベントの効果を宣伝すべく“〇〇〇億円の経済効果”というように、あたかも大きな利益がもたらされたような表現が実しやかに語られ、それを信じて大きなイベントを有難がる人も多いのです。

 捻くれものの私としては、このような傾向に大きな疑問を感じています。
確かに幾分かの経済効果はあるかも知れませんが、大きなオリンピックや博覧会のようなイベントでも、その後では役立たない多くの施設が残されて莫大な維持費用を要する「負の遺産」となっていますし、ましてやG20の様な短期的な会議などのイベントでは遺産として残るようなものは無く、ごく短期間でごく一部の業界だけが潤うことはあっても、市民全体がその恩恵を受けるようなことはまずないでしょう。

◆今回の大阪G20での経済効果として挙げられているのは、
①海外からの参加者の宿泊や飲食に関する直接的な消費支出や、宿泊施設などの事前の改修費用
②スタッフやメディアなどの滞在費、警備で全国から集まる警察官らのホテルや飲食代
③大阪を中心に、サミットに必要な電子機器などのレンタル需要や、オフィス用品通販
などです。

◆しかし、これらは本当の意味で、経済効果等と言えるものでしょうか?
①は兎も角として、②や③については確かにサービスの提供業者は利益があるのでしょうが、その費用は誰が負担するのでしょうか?

 その殆どは、主催地や警備員を派遣する自治体が負担するのではないでしょうか?
また、その間に動員される多くの人の人件費がどのようになっているかは、私達には詳細を知る由もありません。

 何れにせよ、地元だけでなく各地の自治体などが負担している訳で、その点では国民の税金が投入されていることになり、利益ではなくて費用(損失)というべきものでしょう。

 イベントがある毎に、それらに要する費用も含めた金額が、あたかも経済効果があるかのような表現が大手を振っているのは少しおかしいでしょう。

◆更にこのG20が開催される2日間だけでなく、前後も含めて4日間も大阪周辺の高速道路は一般車両が通行できなくなり、関西の道路は大混雑となり、物流が大混乱することは間違いないでしょうし、空港や駅構内にあるコインロッカーも全て閉鎖されるという事で不便さを強いられる人も数多いでしょう

 更に、金銭では計算できないでしょうが、大阪市立の公立学校は6月27/28は全面的に休校となりますし、小さな所では前に触れたように河川敷公園の一部は2週間に亘って使用禁止になるなど、市民生活の色々な面で大きなマイナス効果が予想されています。

 しかし、上記のシンクタンクは、“阪神高速道路が通行止めになるなど交通規制もしかれる。そうした負の経済効果については「取引の繰り上げや延期を通じて企業は負の影響をうまく処理できる」と想定した。観光業についても観光客が周辺地域を回遊することで「マイナスの影響は少ない」として考慮しなかった”というのですから、如何にこのイベントを企画した人達に与するいい加減な予測かが判るというものです。


 たまたま、私は6月21日に梅田並びに大川沿いに天満橋まで出かけましたが、
・すでに梅田の地下街では、あちこちに警官が立って目を配っていて、気持良く歩ける街とはとても言えない雰囲気でした。

・大川の帝国ホテルの向い側のいつもは野球場として使われているグラウンドでは、各地の自治体の制服を着た多くの警官が集まって、大川に潜水してチェックしたり、ゾディアックボートがずらりと並んでいてその一部が大川で訓練などをしたり、まるである種の基地になっているような異様な雰囲気で、寛げる散歩は出来ませんでした。

何れにしても、2週間も河川敷のテニスコートが使用できない私にとっては、非常に迷惑なG20です。(まさ)

 ※ この項は、日経新聞デジタル版などを参照させていただきました


大川の帝国ホテル対岸のグラウンドには、警察のゾディアックボートが整列

逆方向からの写真

年金問題 補足  ~マクロ経済スライド~

2019年06月22日 20時27分21秒 | 高齢化社会での生活・終括・社会保障など
 我が身にも大いに関係あることとして年金問題を取り上げましたが、正直言って年金受給の当事者である私にも現在の制度は余りにも複雑で判りにくいです。

 今回、この問題を機に遅まきながら年金の事を少し調べて見ましたので、その中で判ったことを下記しましょう。私同様に、気になりながらも余り詳細をご存知ない方に、年金に少しでも関心を持って頂けるご参考になればと思う次第です。

◆まず、最初に理解しておかなければならないのは、我が国の年金制度は自分が納入した分が基金になっているのではなく、自分が納めたものは先の時代の人の年金となって既に支給されていて、自分が受給対象になれば、後の世代(現役世代)が納める分を基金として受取るという仕組みです。(勿論、これだけでは不足しますので、国庫からの財政投入もあります。)

◆2004年の年金改革
・このような日本の年金制度では、世界に類を見ない“少子高齢化”が進む日本ではこれまでのような年金が維持できるはずはなく、2004年に大幅な年金財政を安定させるために制度改革が行われました。

・この改革の柱は、少子高齢化でも年金制度が維持できるように、
①現役世代の保険料率を毎年度段階的に引き上げ2017年度以降固定する。
②マクロ経済スライドを導入し、給付水準の段階的抑制を図る。
③基礎年金拠出金に対する国庫負担割合を3分の1から2009年度までに2分の1へ引き上げる
というものでした。

マクロ経済スライドについて、
・問題はこの「マクロ経済スライド」で、その目的は単なる物価スライドではなく、“少子高齢化が進んでも年金財政が維持できるように、年金給付額の伸びを物価上昇率より0・9%分抑える”というものでした。

・しかし、このルールはデフレ下では全く機能しないものだったので、2004年の導入以来日本では物価下落が継続したため10年間は実施されず、2015年(平成27年)に初めて実施されることになりました。

・政府の予想が甘過ぎて、その約10年の間に年金財政はますます悪化した結果、この制度は非常に厄介なものになりました。

 即ち、マクロ経済スライドが適用される期間は“年金財政が安定(均衡)するまで”なので、この制度が導入された時点では20年程度かけて、約15%の減額を達成して安定化する予定だったのが、年金財政の悪化によりマクロ経済スライドが適用される期間は20年では済まなくなってしまいました。

 現行制度のままならば30年で終わることはないでしょうし、結果として年金の減額も当初水準から20~30%ということも覚悟せねばならないような状況のようです。

・更に、2016年(平成28年)には、「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律(年金改革法)」により、2018年(平成30年)から、適用できなかった分を繰越し、その累積をマクロ経済スライドができる年度に積み増しして年金を減額することになりました。
即ち、デフレ下でも実施できるようにするようになりました。

 こんな状況で、年金の行方は益々混沌としたものになっていて、“政府の政策スタンス”などは無いが等しいものになっているのです。


尚、混乱を避ける為に付け加えておきますと、
年金に関する主所管は厚生労働省で、2000万円不足問題で話題になっている金融審議会「市場ワーキング・グループ」(座長 神田秀樹 学習院大学大学院法務研究科教授)は、金融庁(庁官は財務大臣が兼務)の諮問機関です。

同審議会は、年金制度そのものを検討対象とした組織ではなく、「高齢社会における金融サービスのあり方」など「国民の安定的な資産形成」を中心に検討・審議を行っていた組織ですので、投資信託などの金融サービスの普及を図ることが主目的のWGです。

今回は、このテーマで平成30年9月より計12回にわたり検討された結果の様ですが、この審議会の主目的が年金制度とは違う所にあるということを理解しながらも、現在の年金制度の実態分析についてはある程度的を得ていることは間違いないでしょう。(まさ)


※この項は下記や金融庁HPを参考にさせていただきました。
「マクロ経済スライドとは/年金情報部」(https://www.nenkinbox.com/archives/4760)

年金問題の馬鹿らしさ 

2019年06月21日 20時26分14秒 | 高齢化社会での生活・終括・社会保障など
 最近の紙面並びにTVで大きく取り上げられている問題は、年金に関して“2000万円(或いは、3000万円)不足!”というセンセーショナルな話題です。

 事の発端は金融審議会の市場WG(ワーキンググループ)の試算によれば、「高齢化に伴い、30年間で約2000万円が必要」となったことに対して、政府は「政策スタンスと異なっている」と激怒し、担当の金融担当相はこの報告書の受理を拒否したということにあります。

 この担当相は財務大臣と副総理をも兼任する、例の馬鹿大臣で、相変わらずの国民感情や国民の生活実態などをサラサラ理解しようとしない態度で、このような人が依然として内閣の中枢に大きな顔でいられること自体が現内閣の体質を象徴しており、取り上げるのさえ嫌になりますが、ことは我々高齢者にも深く関わることですので、触れないわけにはいかないでしょう。


 “2000万円不足”の真偽というか実態は、専門家に更に詳しく分析して頂くとして、今回の問題で明らかになったのは、政府が今迄曖昧にしていた年金の実態でしょう。

◆“100年安全”とは?
・2004年の年金改革に伴い、政府は“この法案で年金は100年安全”を謳い文句にし、あたかも人生100年時代を支える安心の年金制度であると誤解させるような説明をし、マスコミの多くもこのような見出しを前面に出して年金問題を取り上げました。

・この結果、年金を頼りにしている国民の殆どは、この制度が出来れば、“100年間は現在の年金制度が維持されて、間違いなく貰える”ということを期待したでしょう。

・しかし、今回明らかになったのは、「100年安全」の真実で、これは年金受給の国民に対してではなく、政府側の年金財政であったということです。

 即ち、「マクロ経済スライド」とかいう一見経済の変動に合わせて年金額も変動させる様な印象を与える制度により、実際は現役世代の減少や平均余命の伸びに合わせ、給付額を自動で調整する(即ち、年金を減らす)ことで年金財政を100年安心出来るものにしようという年金制度だったということです。

 即ち、報告書を受け取る、受取らないというのは些細なことで、この法律による「100年安心プラン」の安心は国の安心であって、生活者の安心ではないということを、施政者は正直に語らなければならないでしょう。

◆正に、某首相が都合の悪い時に良く使う“印象操作”によって、国民の多くが自分の首を絞める年金制度を容認したという事です。

 この2004年の首相は小泉さんですが、福島原発の事故に際しては自分の知識不足と原発推進に対する政府の姿勢を反省して反原発の方向に切りをされた小泉さんですが、この年金問題に対する見解も聞いてみたいものです。

◆更に、5年に1度出されることになっている年金の財政検証ですが、本来は今年6月に出すべきものが、参院選があるためか先延ばしされています。
 今公表すると、何か都合の悪い事でもあるのと勘繰りたくなりますが、是非とも選挙前に実態を明らかにして国民の投票判断資料に資す事が、民主主義国家の採るべき姿勢でしょう。(まさ)

  ※この項は毎日新聞/日本経済新聞のデジタル版、WIKIPEDIA、更に国民民主党の玉木雄一郎氏のご意見などを参考にさせていただきました。