発動

　かつて松陰は、九州遊学のさいにつけた「西遊日記」の序文に
「発動の機は周遊の益なり」と記した。心が動くきっかけは旅を
することで得られるものであるというほどの意であろうが、この
言葉どおり、私も旅をして歩くことで「御一新」を体験した人びと
の苦悩について深く考えさせられた。ここにもまた、明治維新の
光と影が交錯するのである。

「はぎ時事2009.7.31」萩再発見32
萩博物館明治維新史担当研究員道迫真吾さんによる記事の末文である

彼は箱館戦争から１４０年の２００９年に函館・道南を訪れて
長州藩士たちの足跡を追った
私のような私的好奇心ではなく、仕事だから「巡見」も大変だろう
道南には維新の史料が多すぎる

冒頭の一文のようにカッコよく表現することはできないが
まったく同感

また「発動の機は周遊の益なり」は
吟行の真髄にも触れるものではないかと思う