議論が行われている最中に、「あれ?」と思うことがときどきある。
それは、今まさに問題とされている論点が、論者の本当の気持ちや、
本当にいわんとするところから、根本的に異なるところにあることに
気付いたときだ。
あれ、こんなに熱く語っているのに、何かが伝わってこない。
本当は全然違うことが言いたいんじゃないのか。
不平や不満や本当の問題は、議論されている内容ではなくて、
その人間関係的な問題にあるのではないのか。
そんな風にして続いていく議論からいささかの距離を置いてみると、
本質的なものが見えてきたりする。
大人は言葉によって論理的に秩序立てて攻撃したり
防衛したりするけれど、その論理の奥にずっとシンプルな感情があることを
忘れてしまうことは少なくない。
論理と感情は、水と油のように、相容れないものなのだ。
そのことが常に頭にあったら、時間とエネルギーの無駄になるような
非建設的な議論は回避とまではいかなくても縮小できるし、
そのような議論以上の相互理解も深まるものと思われる。