スミダマンのほのぼの奮戦記

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浦和エリア旨い店シリーズ ~番外編277~

2019-10-26 06:01:39 | 食~番外編(京都)

菊乃井 本店

京都市東山区下河原通八坂鳥居前下る下河原町459

TEL 075-561-0015

定休日 火曜日

http://kikunoi.jp

古き良き歴史の面影を残す京都・東山。

高台寺の緑に囲まれた清閑なこの地に老舗料亭・菊乃井本店はある。

菊乃井さんは伝統と革新の発信地ここ「本店」以外にも

高瀬川の畔に佇む名店「菊乃井露庵」、

真髄を届ける東の京都「赤坂菊乃井」(2016-12-24付、番外編その133 ブログ参照)、

時雨弁当と喫茶の店「無碍山房」がある。

菊乃井の先祖は豊臣秀吉の妻・北政所が茶の湯に用いた名水「菊水の井」を

代々守ってきた茶坊主で大正元年に料理店として創業した。

現在の三代目・村田吉弘氏は日本料理アカデミー創設や

和食のユネスコ無形文化遺産登録など和食を世界に広めるために心血を注いでいる。

お店の内に入ると凛と佇むものを感じ、思わず日常を忘れてしまうような

気品溢れる空間が客人をもてなしてくれる。

京の四季が織りなす風雅な庭園や床の間の軸、花など目に映るすべてに

主人の心配りが込められている。

部屋は座敷で11室、4人用、6人用、8人用、

10~20人用、30人以上と全部で120席もある。

ここは伝統を重んじながら柔軟に進化も続ける時代を超えた名店だ。

この日はグループメンバーに喜寿、金婚式を迎えた方のお祝も兼ねてこの祝宴を持った。

店の心配りとしての祝い膳3点が先におもてなしとして振る舞われた。

 

 

 

それではここから四季折々の食材と真摯に向き合い仕立て上げた

菊乃井、葉月の献立料理をご紹介しましょう。

三代目主人の村田吉弘氏が振る舞うのは、

懐石料理のひとつの到達点ともいえる京懐石だ。

茶の湯の心と水に生かされた野菜の出汁で煮含め調理する水の料理は

伝統を守りながら豊かな四季を繊細に表現し、

訪れる人の心にたおやかに余韻を残す不巧の名作だ。

先付 無花果白味煮 糸花鰹

見た目は意外にシンプルに来たが中味は味が凝縮していてさすがといった逸品。

尚、先付とは本式の前に出す軽い料理のこと。

突き出し、お通し、小付け、通し肴ともいう。

八寸 茗荷寿司、穴子八幡、ささげ黒胡麻和え

糸瓜胡麻和え、鱧胡瓜巻き、山桃葛饅和え、翡翠銀杏

まず見ての通り、発想がすごい。器がほうずきの実だ。

あまりに意表を突かれたので中の八寸を撮ることを忘れてしまった程だ。

いかにも革新性はこんな所にも表現されていると思った。

見た目はカジュアルだが、すごくインパクトのある料理だ。

和食はなんといっても酒が似合う。

ということで日本酒に詳しいメンバーが銘柄を選び、暫し日本酒談義。

徳利の器も素朴に竹を切ったもの。

赤坂の金属の徳利も感心したが、ここのも素朴だが新鮮に感じた。

尚、銘柄は甘口、辛口と料理の流れに沿って選んだが銘柄は忘れた。

向付 蓮の葉盛り

一、明石鯛 太刀魚焼霜、あしらい一式

八寸に続いてさらに攻めてきたといった感じの器と盛り付け。

夏を感じさせる蓮の葉に水滴を落としている所など心憎い演出だ。

大きな葉の中心に小宇宙の様にまとめられた鯛と太刀魚。

その上に一輪の小さな蓮の花がしつらえていた。

八寸、そしてこの向付と度肝を抜かれた感じで

肝心の料理の味をコメントするのに記憶がない。

向付 二、鱧焼霜 鱧落とし 穂紫蘇、梅肉山葵

やはり夏の京都といったら鱧だ。

2口大の大きさがまた上品で食べやすい。

ガラスの器も涼し気でいい感じだ。

鱧の味?旨いに決まっています。

蓋物 賀茂茄子揚げ出し 海老つくね 鷹ヶ峰唐辛子 薬味

この料理が運ばれてきた時、またまたでてきましたへぇーという器。

まるで蓋は本物の加茂茄子の様でよくぞここまでといった器でした。

実は触ってみたら本物でした。

この汁物は言葉では表現できない程の味で実にすごかったです。

静かに小さな声で何度も訴えるように「旨い!!!!」を連呼する味でした。

口直し カボス山葵ソルベ

口直しとは次の料理に進む前に、

口の中に残っている前の料理の味をいったん忘れてもらう、

すなわちリセットする(直す)ために出される簡単な料理のことを言う。

焼物 鮑磯焼き 肝醤油 酢橘塩

この料理を何と表現すれば良いか・・・

見た目驚きの第4弾。

当店は「料亭は大人のアミューズメントパークです。

お越し頂いたお客様に時間と空間全てを楽しんで頂きお喜びを頂きたい。」と言う。

正にそんな料理が続いている。

この料理は鮑の殻に身を添えて細かく切ったワカメをのせ、

その上を塩で包んでかまにしている。

鮑の味は当然だが意外にこのワカメが激ウマだった。

冷し鉢 盛夏の冷製 北奇貝、つぶ貝、蛸、胡瓜、トマトジュレ

唐墨、金魚草、ビーツ、ラディッシュ、セロリ、バラフ、赤万願寺、マイクロトマト。

この冷し鉢は今迄の料理に比べてオーソドックスに来た。

逆に言えばインパクトに弱く、今となってはあまり記憶に乏しい。

下の写真のガラスの器は冷し鉢に相応しいものだ。

強肴 牛肉無花果の葉包み焼き、花丸胡瓜粕漬け

玉葱・フェンネル・パプリカ土佐酢漬け

この料理はすごい。特に茶色のソースだ。

こんな奥が深く味の複雑な、しかも1つ1つの食材が主張しているソースは

滅多にないパワーのあるソースだ。

これは牛肉の衣を借りたソースメインの料理に感じてしまった。

グループの1人のグルメ達人はこのソースに唸りっぱなしで

皆の余ったソースをとうとうおみやにして持って帰った程だ。

御飯 鮎御飯 蓼粉

そしてとうとうとどめの鮎御飯が釜で登場。

これを全員に見せながら仲居がきれいにほぐして各人へ。

蓼粉とは蓼の葉っぱから作った粉か?

とにかく鮎の上にのった緑の粉は美しかった。

止椀 赤万願寺唐辛子すり流し 蓮根餅

七味朱色の椀に朱色のすり流し、これも初めて見た料理だ。

水物 宇治金時 白玉 小豆

この白玉、半端じゃないッス!

まさに盛夏が織りなす菊乃井の京都の世界。

すごかったの一語に尽きる京の夜でした。

部屋から中庭を撮ろうとしたが、

夜で室内の照明が反射してかえって外と内の両方が

おぼろげに写っておもしろい写真となった。

赤坂菊乃井の時も厨房に大勢の未来の巨匠がいたが、

当然本店にも今日の仕事を終えてリーダーらしき料理人が号令をかけて終礼を行っていた。

以前にTV東京「YOUは何しに日本へ」の番組で

菊乃井本店で和食の修行をしている外国人のことを放映していたが、

1人外国人を発見。ひょっとしてこの時の人か?

是非頑張って羽ばたいていってほしいと思った。