砂漠の音楽

本と音楽について淡々と思いをぶつけるブログ。

マッドマックス 熱海のデスロード

2025-02-26 20:25:30 | 旅行

貴重な連休を活用して、熱海まで行ってきました。自転車で。
片道約100km、往復200㎞の道のりです。死ぬかと思いました。
山手線RTAよりもつらかったです(山手線1周は約50km)。



デスロードのきっかけ。
以前ブログにも書いたのですが、昨年から英会話教室に通っていまして。
そこの先生が運動好きで、何度か山登りの話をしていたのです。
先生に触発され、私も先日高尾~陣馬の往復をしました。
私のタイムを伝えると、先生は”You very fast man!”と驚いてくれて、嬉しくてちょっと天狗になったんです。
天狗だけにね。

さて、先日もサイクリングの話になり。
先生が「熱海まで行ったことあるよ、1日で行って帰って、可能だよ!道も簡単だよ!」と言っていたのですね。
琵琶湖を1周したさい、私も1日で120km漕いだこともあり「まあ、いけるかな~」と思ったのです。
いまにして思うと、「彼を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉を軽視していました。
ちゃんと『孫子』を読んでおけばよかった。


往路。
2月23日、晴天です。寒波が連休に直撃と言っていたものの、そこまで寒くなく。
9時半に家を出たのですが、ヘルメットを忘れたためさっそく戻りました。
幸先の悪いスタート、結局出発は9時40分。

途中までは何度か走ったことがある道で。
しかし1時間くらい走ると未知のエリアになり、ルートがわからないし、右に曲がったり左に曲がったりと忙しく、地図を頻回に確認することに。そのタイムロスも大きかったですね。
あと「近いけど坂道ある」って表記されていたところが、そんじょそこらの坂道ではなかったです。
おどりゃGoogle Map、ゆるさん。

そうこうしているうちに、海老名から厚木にたどり着きました。
高速道路が近いのもあり、このエリアは流通の会社や倉庫が多かったです。
厚木からしばらくは川沿いを下っていって、サッカーや野球をしている子どもたちがいました。平和な日曜日。お昼過ぎに平塚に到着しました。
平塚の手前で、ブラジルの方がやっているキッチンカーと遭遇し、パステル(肉やチーズを挟んだパイ)とポンデケージョ(チーズボール)を買いました。
つたないポルトガル語で「オブリガード(ありがとう)」というと喜んでくれ、コーヒーを1杯ごちそうになりました。それ以外「ア コンタ ポルファボール(お会計お願いします)」しか喋れないけど。
そのあと公園に寄り、お父さんが子どもとキャッチボールしているのを見ながら食べました。


こちらがパステル、鶏肉はしっとりさっぱり、生地はかりっと揚げてあり塩加減もちょうどよかったです。


ポンデケージョ、腹にたまる食感。

平塚から小田原までは道がわかりやすくて。
とにかく国道1号線をまっすぐ走っていれば良かったのです。起伏もありますが許容範囲でした。
ただ、西に向かって走っているのもあり、日光がとにかく眩しかったです。私がカミュなら人を殺すかもしれないくらい眩しかった。


問題はそのあとです。
小田原~真鶴~熱海間が本当に、ものすごく、とても、しんどかったです。
まずアップダウンが頻回にあります。ウオオ、登ったぞ~と思うとすぐ坂道で、また登らされて…。
それに車線も混んでいて。車を運転する人からしても、道が混んでいるなか、横をチョロチョロ自転車が走っていたらひき殺したくなるだろうな、と思いながら通行させてもらいました。死ななくてよかったです。


このへんからデスロードが始まりました。


熱海の直前にも峠があってきつかったですね。
峠を越えたのち、熱海の街に降りる坂は下っていて気持ちよかったのですが「これ、きっと明日登るんだよな…」という不安もあったので、心底喜ぶことはできませんでした。
熱海に着いたのは17時半頃です。出発からだいたい9時間くらいでしょうか。

宿に荷物をおいて、近くのfuua(フーア)という温泉施設に行き、風呂に入りました。
温泉、すごくよかったです。岩盤浴もよかった。
夜はその辺の居酒屋で刺身とタコの唐揚げを食べ、ビールとハイボールを飲みました。
熱海の夜はこのようにして更けていきました。


復路。
脚を休めるためにゆっくり朝風呂に入り、朝食をとって10時の出発。
少し遅めに出たものの、熱海~真鶴くらいまでは順調で、出発から2時間くらいで小田原を越えました。
真鶴から小田原の道は昨日とは違う峠を越えるルートで、比較的交通量が少なく、安心して走れました。
もちろん起伏があってしんどかったですけど。途中にみかんの直売所がいくつかあり、のどかでいい景色でした。

途中、大磯の付近で昼食を食べました、塩ラーメンと餃子。
平塚から厚木、海老名に向かうときは昨日と微妙違うルートを示しており、「あれ、なんか話違くない…?」と思いながら走りました。
交通量が少ないルートを選んでくれたみたいですが、かなりくねくね曲がって、こまめに道を確認しながらで時間がかかりました。
また、途中から北風が強いのなんの。平塚から北上する際、ずっと冷たい風を受けて寒かったです。
唇がカサカサを通り過ぎてバリバリになってしまい、血が出ました。
おどりゃ季節風、しばくぞ。

あとは歩くのと違って、ペダルを漕ぐのだと指先の血の巡りが悪いみたいです。
自転車から降りるくらいには足の指の感覚が無くて、帰宅してすぐ風呂に入りました。
家に着いたのは19時半頃、タイムは9時間22分18秒。
風が強いし疲労もあって、行きよりも時間がかかりましたね。

完走した感想。
海を眺めて走れたのは心地よかったけど、車が多くて怖いし坂がしんどいし。
今度熱海に行くときは普通に新幹線で行きます。
英会話の先生には文句を言いたいな、全然簡単じゃなかったよ。


ただ、今回の旅ではいいこともいくつかありまして。
熱海の夜、居酒屋で飲んでいたときに、隣に座っていたおじさんと話が盛り上がり、ハイボールを1杯おごってもらいました、おじさんとの話が楽しかったです。
帰り道、みかん直売所で実家にお土産のみかんを1箱買ったら、お店の人がおまけしてくれまして。
世の中捨てたもんじゃないですね。


みかん。湘南ゴールドという品種だそうです。

帰宅して、達成を噛みしめつつ酒でも飲もうかなと思ったんですがそんな元気すらなく。
プロテインを飲んで風呂に入った後、すぐ寝ました。
10時間くらい寝ました。


さて、熱海まで自転車で行くことができたので、次の目標も考えないとですね。
今度は霞ヶ浦あたりを1周しようかな。
それはそうと、これから確定申告 怒りのデスロードも待っております。
ちゃんと現実を見ないとな、苦しいよ。
俺たちのデスロード(人生)はこれからだ!(ご愛読ありがとうございました。先生の次回作にご期待ください)

ポゴレリッチのコンサートに金払って行ってきた件

2025-02-05 17:21:35 | 音楽

週1日の休みじゃ回復しないぜ。

先々週の日曜は雨だったので、図書館に行ったり近場の温泉に行ったりしました。
図書館、やはりめちゃくちゃいい。本当に好きだなあ、ときめくなあと思いました。
赤本を広げる受験生や新聞を読むおじさんの隣で、トラウマやホロコーストの本を読みました。
そのあとに行った温泉もよかったのですが、人が多くてひしめき合っており、少し疲れました。
温泉は平日の方が断然いいよね、のんびりしたいもの。
昨日は植物園に行きました、植物はいいよね。人間みたいにべらべらしゃべらないからさ。



なんかよくわからないけど疲れてます。
そんなに一生懸命労働しているわけでもないのですが。
朝起きてご飯を食べて、準備をしてラジオか音楽を聞きながら出勤して。
仕事して疲れて、ときどき残業してもっと疲れて。
帰宅して妻と電話したり、酒飲んだり、初音ミクのフィットボクシングをしたり。
あとは風呂に入り、そのあとだらだらとYou Tubeを見ていたら、寝る時間になって寝ています。
一日が早いよ。

この前、ポゴレリッチのコンサートに行きました。
イーヴォ・ポゴレリッチというクロアチア出身のピアニストです。
彼の演奏は、バッハのイギリス組曲で初めて触れて。
均整のとれた力強い演奏で、とても好きになりました。

Ivo Pogorelich - Bach - English Suite No. 2 in A minor, BWV 807

ぜひお聞きくださいまし。Spotifyにもあります。


コンサートの会場はサントリーホール、六本木一丁目が最寄りですね。
今回のプログラムは、前半がモーツァルトのアダージョや幻想曲。
後半はショパンのマズルカ、ノクターン、そしてピアノソナタでした。
モーツァルトのピアノ曲はなあ…これまで大して聴いてこなかったのもありますが、どうもあんまり好きになれないんだよなあ。どうしてなのだろう。まあ、私の勉強不足もあると思うのですけどね。

というわけで。
今回のプログラムは馴染みのない曲もあり、そこまで心惹かれるものではなくて、行くかどうか迷いました。
しかし彼ももう60歳を過ぎているし、次いつ来てくれるかわからなし…えいやっ!と1万3千円のチケットを買いました。
行ったときに貰ったチラシに、今年もう1回来ると告知がありました。それならそう言ってよ~。

今回の感想。
先ほど述べた通り、個人的にはモーツァルトのピアノ曲がそこまでしっくり来ておらず。
でも後半の演奏はとてもよかった。
ショパンのマズルカは、もともとポーランドの民族の踊りがモチーフになっているのもあり、軽快で華やかな演奏で。ピアノソナタはペダルをがんがん踏んでいて、音がこもっているのにはっきり聞こえるという、少し矛盾した、不思議な感覚でした。


何よりもアンコール曲がすごくよかったです。
冒頭から不思議な和音だなぁ、ラヴェル?ラフマニノフ?いったい誰の曲かしらん、と思っていて。
あとでTwitter(現X)で検索したら、有識者が名前を教えてくれるかな、と期待していたら、会場を出たところに「今日のアンコール」みたいな看板があって。
シベリウスの「悲しいワルツ」という曲名ということを知りました。
この曲と出会えてよかった。

Ivo Pogorelich ..Sibelius - Valse Triste ..

というわけで「悲しいワルツ」、ポゴレリッチの演奏です。


シベリウスと言えばフィンランディアしか知らなかったのですが、こんないい曲を書いていたのですね。
気になってWikipediaで彼の経歴を調べたり、図書館で伝記を借りて読んだりしています。

調べたところ「悲しきワルツ」は彼のなかでも人気の高い曲だそうです。
美しくメランコリックな旋律、後半の諧謔的にも思えるフレーズ、急に息絶えるように終わるラスト。
たしかに、多くの人を魅了するのもわかる気がするなあ、と思います。
メロディ自体が、かなり親しみやすい印象を受けます。
もともとオケ曲だったのを、シベリウス本人がピアノ用にアレンジしたとのこと。
オケもピアノも、どちらも素敵です。


個人的な嗜好として、メランコリックな旋律が好きです。根暗な人間だからかな。
たとえばドヴォルザークのスラブ舞曲作品72、フォーレのシシリエンヌ、ラフマニノフのピアノ協奏曲3番、チャイコフスキーのアンダンテ・カンタービレ。
こういった曲と、もっと巡り合いたいですね。


音楽についてあれこれと知ったようなことを述べていますが、ほとんど大学生の時に触れた音楽ですし、先輩やインターネットでの受け売りも多いです。
ピアノも時々弾いていますが、基本的には下手くそです。
しかも最近は、なかなか自分から新しい音楽を発掘できていなくて。
今回はたまたまコンサートに行って、好きな音楽に遭遇できました。
あと、どのくらい「こ、これは…!」という曲に巡り合えるのだろう。

図書館に行ったときにも感じましたが、まだまだ知らないこと、わからないことがいっぱいあるんですよね。
気づいたら2月になっているし。
人生が早いよ。