goo

なめたらあかん

2013-07-10 22:38:22 | 花の山

 

 中ノ芝の周囲は湿原となっていて、ワタスゲが白い穂を草の間に浮かべていました。

 

 

 水が流れる登山路には、歩きやすい木道が整備されています。

 

 

 

 しばらく進んだ上ノ芝にも、木組みのテラスが整備されていました。

 

 晴れていれば、眺望も利くでしょうし、ブヨも少ないはずです。

 

 良く冷えたアイスティーをポットに、ミルフィーユなどをザックに入れてきたら、素晴らしい雲上のティータイムが過ごせそうです。

 

 

 

 上ノ芝から先は、平坦にも見える道が続いていました。

 

 雨が降っていたのと、祓川コースでは道標がしっかりしていたので地図を出して確認することをせずに歩いて来ました。

 

 このまま頂上までこんな平坦な道が続くのかもしれない、などと甘い考えが頭を過ります。

 

 

 しかし、大岳山の時とは違い、私はこの場所で早々に雨具を身に纏いました。

 

 ここへ来るまでに何度も見てきた残雪が、私を慎重にさせていたのです。

 

 天候次第では急激に気温が低下し、夏山用の服装で強風にでも吹かれれば、体温を奪われる事態が想定されます。

 

 山では1000メートル登ると、気温が6℃下がります。


 既にここは標高2000メートル付近。 平地とは12℃の差があります。


 東京でも梅雨の頃に肌寒く感じる日がありますが、そのような時に、この場所では冬並みの気象条件となる可能性があります。

 

 この山では「水も滴る良い男」などと言って雨に濡れていたら、命に関わることにもなりかねません。

 

 そうそう、既に私は高齢者だということも考慮しなければ。

 

 

 しばらく進むと小松原湿原への分岐点に出ました。


 祓川コースを歩きはじめてから約二時間半が経過しましたが、天候以外は全て順調です。

 

 

 登山道の中へ唐突に出てきた「股擦り岩」の岩陰で、雨に打たれてアズマシャクナゲが桃白色の花を咲かせていました。


 優しい色合いですが、凍てつく冬を耐え凌ぐ生命力を秘めているのでしょう。 

 

 

 見下ろせば、眼下の山に囲まれて田代湖が水を湛えています。


 雨雲が空を覆い、峰々の間に雲がたなびいていました。


 今日は一日こんな天気なのかもしれません。

 

 

 その先で残雪が道を覆っていました。

 

 

 そして、その先の道標に「苗場山 2.2km」と記載されているのを目にしました。

 

 

 上ノ芝で平坦な道が続くかもしれないと、楽観的に考えていましたが、以外と距離は残っているようです。

 

 

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 

   花の山  index

  

 その他の「花の旅」はこちら →  旅の目次

 筆者のホームページ 「PAPYRUS

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

ゴゼンタチバナの湯たんぽ

2013-07-10 16:30:57 | 花の山

 

 登山道はスキー場のゲレンデを登っているようです。

 谷の中にリフトが伸びて、ゲレンデと登山道が交差する辺りで「苗場山登山道」の標識を幾度も目にしました。

 

 

 

 祓川コースの登山道は良く整備されて、水の流れる場所や湿地に木道が施されていました。

 

 

 そんな木道の横に、イワカガミが淡いピンクの花を咲かせていました。

 

 今回のルートでは、この辺りから頂上まで、可憐なイワカガミが絶えることなく私の目を楽しませてくれました。

 

 

 湿原にはイワイチョウやカンスゲが姿を見せます。

 

 

   イチョウの葉のイワイチョウ            剽軽な姿のカンスゲ

 

 私はこれら高山植物を目にするのは、本当に久しぶりです。

 彼らの姿を目にするだけで、「あった、あった」と嬉しくます。

 

 

 登山道は広葉樹の森から針葉樹の森へ進んで行きます。

 

 

 そのような多彩な森の中で残雪を目にしました。

 

 トウヒなどの針葉樹が高い場所で葉を茂らせ、地面に光が届かないからでしょうか、林床に笹が茂り、植生も単調です。

 

 

 針葉樹の森を抜けると、にわかに視界が広がりました。

 とは言うものの、眼下には雨雲が漂い、周囲の峰々も厚い雲に覆われていました。

 

 

 やがて林道は湿原に囲まれ、多彩な植物が姿を見せ始めました。

 

 路傍の石を囲むように、ゴゼンタチバナが手を繋ぎ、花の輪を見せています。

 

 ゴゼンタチバナは熱を蓄えた石を湯たんぽ代わりとしているのかもしれません。

 

 クスッとするほどに、微笑ましい光景です。

 

 

 ツツジの仲間のベニサラサドウダンはサラサドウダンの変種で、株毎に花色が赤紫色から桃赤色にまで微妙に変化します。

 

 

 そんな植物の様子を楽しみに登っていると、いつの間にか標高が高まっていました。

 

 中ノ芝は1880メートル。

 そこに木を組んだテラスが設けられていました。

 

 

 東を振り返ると、平標山から谷川岳へ連なる山稜が見えています。

 

 

 しかし、素晴らしい景色に感動し、山名を確認しようと広げた地図にポツリポツリと雨が降り始めました。

 

 それよりなにより、雲なす数のブヨが周りを飛び回ります。

 

 こいつらに咬まれますと、皮膚は腫れ上がり、とんでもない目に遭いますから、長居は禁物です。

 

 早々に地図をたたんで、足早に出発しました。

 

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 

   花の山  index

  

 その他の「花の旅」はこちら →  旅の目次

 筆者のホームページ 「PAPYRUS

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

高山植物の世界へ

2013-07-10 09:09:50 | 花の山

 

 6時50分 和田小屋の登山口で登山計画書を記載して、雨霧に遮られて視界の殆ど利かない苗場山祓川コースへの登山道を歩き始めました。

 

 

 

 すると、登山道を塞ぐように雪の塊が姿を表しました。

 

 まさか、この季節に、この程度の標高で雪を見るとは思ってもいませんでした。

 驚くと同時に、気温が低い証拠なので、そのつもりで行動しなければいけないと、意識を改めます。

 

 

 

 ブナの中に道が続いています。

 

 自分の足の調子を確かめるように、ゆっくりとしたペースで登って行きます。

 

 そんな道の脇でツマトリソウが雨霧に濡れていました。

 

 

 

 登山道には頻繁に、位置を知らせる表示が施されています。

 御蔭様で、このペースでこれだけ登れたと、心理的にも随分と楽です。

 

 

 視界が開けると、谷の向こう側にダケカンバの大きな木が並んでいました。

 これだけの大きさのダケカンバを見るのは久しぶりです。

 

 北海道大雪山旭岳スキー場の、雪の斜面で見たダケカンバを想い出しました。

 ダケカンバは雪山の記憶に重なります。

 

 

 足元に目をやると、小さなギンリョウソウが頭をもたげていました。

 

 つい最近も大岳山の登山道で見かけましたが、こんな風に生まれてくるのですね。

 

 

 沢を流れる水音を背に、藪の中から鶯の声が聞こえてきます。

 

 登山道の横にコバイケイソウが姿を見せました。


 この花が現れれば、高山植物の世界へ足を踏み入れたことになります。

 

 

 

 イワカガミがピンクの可愛い花を咲かせていました。地面に広げた葉がつやつやと輝いています。

 

 イワハゼが赤い茎の先に小さなベルのような花を付けています。赤褐色の苞(ほう)が白い花の白さを引き立たせていました。

 

 

  ピンクのイワカガミ             小さな白花のイワハゼ

 

 

 

※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。  

 

   花の山  index

  

 その他の「花の旅」はこちら →  旅の目次

 筆者のホームページ 「PAPYRUS

 

goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )