鬼岳から椿園を目指しました。
先ほど鬼岳へ来る途中、「五島市椿園」の案内標示を目にしていたので、道路を少し戻って案内表示の場所を右折するとほどなく、「五島鬼岳樹木園」の掲示板が見えました。
当初の予定には無かったのですが、樹木園の中へ歩を進めてみると、多くの椿品種が植栽され、落椿が散策路の周囲に紅を散らしていました。
え! もしかしてここが椿園? 規模から考えて、そんな筈はないだろうと思い、半信半疑で車に戻り、更にその先に車を進めました。
そして数百メートルもはしると、五島市椿園の表示が現れたのです。
パーキングに車を停めて、五島市椿園の説明を読むと、
「五島市椿園は、福江島のシンボルの一つである鬼岳の中腹に位置し、6ヘクタールの園内に260種2800本の椿を植栽しています。
鬼岳には展望台、産品センター、天文台、インフォメーションセンターのほか、桜公園や鬼岳樹木園などがあり、鬼岳周辺で観る、食べる、体験する観光が楽しめます。」と記されていました。
そうですか、五島市椿園は鬼岳を核とした、観光施設の一環として位置づけられているようです。
そして、ブログを書くに当たって調べ直すと、五島市椿園と鬼岳樹木園を一つの公園として、五島椿森林公園と呼んでいることも分りました。
広々とした園内へと歩を進めました。
芝の斜面を登りながら振り返ると、木立の先に小さな島が見えていました。
後から地図で照合すると、赤島、黄島、黒島と呼ばれる島々かもしれません。
椿園の中に、五島椿森林公園が2010年3月に国際ツバキ協会から国際優秀椿園に認定されたことを記念する石碑が建てられていました。
実は今回、五島市の福江で2020年2月29日から「全国椿サミット」と「国際ツバキ会議」の開催が予定されていましたが、コロナウイルスの感染拡大で、直前になって中止となっていました。
私もツバキサミットに参加する予定でしたが、サミットが中止になっても、それ以上に五島のツバキと世界遺産を見ておきたい思いが強く、車で東京から長崎へ、そして長崎港に車を置いて、五島へ渡って来たという次第です。
長崎までは、主にウメの名所を巡り、帰路も中国地方の梅園などを訪ねながらの旅でしたから、何れかの時期にその内容もブログにまとめたいと考えています。
余談が少し長くなりましたが、イベントが中止となって、人気のない椿園を散策していると、枯色に染まった鬼岳が曇天の下に寛ぐ姿を見せていました。
私は昨日久賀島を訪ね、五島がツバキの島であることを実感しましたが、世界に五島がツバキの島であることを知らしめたのが、昭和22年に福江島で発見された、紅色の花弁に白い覆輪が入る「玉之浦椿」というツバキの品種です。
五島市椿園の中に、その名花「玉之浦椿」だけからなる林がありました。
どれほどの「玉之浦椿」が植栽されているか、確とは分かりませんが、優に100株は超えているようにも思えます。
「玉之浦椿」の林の中へ入ると、枝毎に「玉之浦椿」が微笑み、雅な「玉之浦椿」の落椿が林床を飾っていました。
この光景を見るためだけに、五島を訪ね来る人も少なくはない筈です。
園内ではその他にも、ツバキ品種「筑紫の春」などが花を咲かせ、ヤブツバキの下には、落椿が紅を地に注ぐ光景が広がっていました。
帰り際に、園内の出入り口に近い場所で、根本の直径が50~60㎝を越えそうなツバキの巨木に気付きました。多分樹齢200年は越えている筈です。
ここに椿園が設けられる前から、この地に根を張ってきた木に違いありません。
五島列島福江島の旅は始まったばかりですが、
今日はどんなツバキの銘木に出会えるかと、期待が大きく高まってきました。