月ケ瀬梅渓から県道80号を走り、奈良盆地東の笠置山地を抜け、奈良公園の鹿を横目に、平城京朱雀門の前を通り過ぎました。
目的地は奈良の北西部に位置する大和文華館です。
此処に70品種130本の梅が咲くという情報を頼りに車を走らせました。
ナビに導かれながら住宅街の中の細い道を辿ると突然、門前に駐車場を設えた施設が現れました。
受付の女性に、梅を目的に東京から訪ねてきたことを告げ、梅の開花状況を尋ねますと、
「梅林は門を入ってすぐ右の塀の裏側ですが、昨年梅の枝を大きく剪定したので、今年は殆ど花が咲いていません」と気の毒そうに説明してくれました。
受付の場所からも塀越しに梅林の一部が見えますが、確かに花は殆ど咲いていませんでした。
入園料が630円と表示されていたので、「門内の梅園の様子だけ、一目確認させてもらえないでしょうか」とお願いして見てきたのが以下の写真です。
大和文華館は昭和21年に近畿日本鉄道社長の種田虎雄が設立した東洋古美術を中心とする私立美術館で、国宝4件、重要文化財31件、重要美術品14件が収集されています。
美術館の周囲の文華苑とよばれる自然園に、梅林、三春の瀧桜、ササユリ、アジサイ、スイフヨウ、萩、サザンカ、ロウバイ、椿が植栽され、四季を通じて花を楽しむことができるそうです。
今度来るときは、もっと時間に余裕を持ったスケジュールを立てたいと思います。
大和文華館から西へ進み、近畿大学の近くに位置する追分梅林へ向かいます。
追分梅林は2010年頃まで4000本の梅が咲く観光スポットでしたが、突然の土壌悪化で大半の木が枯死した為、2011年から農地改良工事を行い、現在も復活が図られています。
ネット情報に因れば、600本の梅が植栽されたそうですが、面積が広い為か、花は疎らな印象を受けました。
最盛期の姿を取り戻すにはまだ数年はかかるかもしれません。
追分梅林から南へ下り、大和民族公園の梅林を訪ねました。
大和民俗公園は大和郡山市の北西部に位置する県立公園です。
コナラやクヌギを中心とする自然林が残る15haの園内に、江戸時代の民家が15棟も移築復元されています。
民族博物館や花菖蒲園などが配置され、園内に四季を通じてナノハナ、サクラ、ツツジ、アジサイ、サザンカなどが花を咲かせるそうです。
大和民族公園の「みんぱく梅林」では、約140本の白梅と紅梅が花を咲かせていました。
大和民族公園では梅林だけを確認し、次の目的地の馬見丘陵公園へと向かいました。
せっかく奈良まで来たのですから、民族博物館なども見ておかなければ勿体ないのですが、何しろ、この後の旅で五島列島のスケジュールがフィックスされていますので、この辺で気ままな時を過ごすことができません。
いつものように、すべてを車中泊で企画すれば、臨機応変な対応ができますが、今回はそうもいきません。
しかし、大和民族公園には花菖蒲園がありますから、何時の日かまた、ハナショウブが咲く頃に来ることになる筈です。
次の目的地の馬見丘陵公園は二度目の訪問です。
前回は2010年秋に馬見丘陵公園で「四季の花」に掲載する花の写真を撮ることが目的でした。
その時は、露地植えのブータンノボタンやペニセツム・セタケウムなどを撮影しました。
馬見丘陵公園を訪ねるのは10年ぶりで、前回訪問時にほゞ全てを見て歩いたつもりですが、梅林の記憶がありません。
今回、最初に公園事務所で梅林を確認すると、中央エリアの東外れ、カリヨンの丘に接する場所を教えられました。
意識しなければ見落としそうな場所に梅林がありました。
梅の木が若いので、もしかしたらと思い、ネットで確認すると、梅林のある一本松古墳周辺は2010年に開園し、梅園のある中央エリアを含む全面開園が2012年だそうですから、初回訪問時に梅林はなかったかもしれません。
それにしても、東西3㎞、南北7㎞に及ぶ馬見古墳群を宅地開発から守る目的で作られた馬見丘陵公園の花を楽しむ為には、何度も足を運ぶ必要がありそうです。
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