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昭和41年版「源義経」(第一部)

2005年08月11日 | ★ぐっとくる時代劇
昭和41年に放送された大河ドラマ
「源義経・第一部」を見た。

総集編なのでナレーションが入った
駆け足のドラマだが、たいへん面白かった!

武満徹の音楽(尺八、琵琶の音が印象的)
が物語を格調高く彩っている。
白黒。

頼朝と義経の
初対面の場面から、壇ノ浦の戦いまでを描く。

初めて兄に会う喜びを
全身で表す義経に対し、
頼朝は厳しい面持ち。

兄上のためにお役にたちたい!とはやる義経に
頼朝は
「合戦の下知する(命令する)は頼朝ぞ!」と弟を威嚇。

兄というよりは大将。弟をあくまで
家来のひとりと扱っていて
すでに二人の間には見えない溝があるように伺えた。
家来たちもそのことを察し案じる台詞がある。

義経はからだから香気がほとばしるようだ。
純粋で曇りのないまなざしが
悲しく美しい。

弁慶との出会い、清盛、藤原氏の話は
回想形式でさ~っと描かれていた。
五条の大橋、緒方拳の太刀さばき(メイクも)すごいです。

頼朝が京に向かう義経に
「朝廷には礼を尽くすように。
だが、法皇様に決して心までは許すでないぞ。」と言い含める場面の後、
「あの正直さでは法皇さまや側近たちに思うままあしらわれるであろうなあ。」と
真正直な義経を案じていたのも印象的。

とてもいかめしく、百戦錬磨の天才政治家といった風情の頼朝。

一の谷の合戦では
義経方から見た
平家の陣のカメラアングルはほとんど同じだが
その後の逆落としの場面では
カメラを思い切りぐ~~っと引き、
怒涛のように急斜面を
下りる馬を映し出していた。

迫力ある画面に息を呑んだ。
砂煙を舞い上がらせ、まるで雪崩のように駆け降りていた!

海辺での戦いもカメラが縦横無尽に動き回り
躍動感あるリアルな戦闘。
目の前で戦っているようだ。
打ち寄せる波の元で撮影され、たいへん臨場感があった。

立派な最後を遂げた齢16歳の平敦盛のエピソード、
浜辺で、亡くなった平家方の武将の供養をする義経。
砂浜に立つ卒塔婆。

戦いシーンのエンターテイメント性もさることながら
その後の無常観を表現して秀逸。

このような精神性、武将の在り方、
心の深みまで踏み込んだ表現こそが
時代劇を見る楽しみでもあったのだと気づかされた。

「一の谷」に増して驚いたのは
壇ノ浦の場面なのですが、

それはまた後で書きます。

作:村上元三
音楽:武満徹
制作:合川明
演出:吉田直哉

義経:尾上菊之助(現菊五郎・人間国宝)
頼朝:芥川比呂志
政子:大塚道子
大江広元:北村和夫
静御前:藤純子
弁慶:緒方拳
喜三太:常田富士男
伊勢三郎:田中春男
駿河次郎:尾上菊蔵
佐藤継信:岩井半四郎
佐藤忠信:青山良彦

金売り吉次:加東大介
梶原景時:中村歌門
常盤:山田五十鈴
藤原秀衡:滝沢修

平清盛:辰巳柳太郎
能登守教経:山口崇
平知盛:中村富十郎(人間国宝)
平敦盛:舟木一夫

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