原発の、しかも高速増殖炉「もんじゅ」上に巨大ヘリコプターをホバリングさせて、
「日本国中の原発を使用不可能にせよ」
と脅迫する犯人。
この作品が書かれたのが、なんと20年前。
作者の東野圭吾は福島第一原発事故の遥か昔、その危険性に対して警告を発してた。
ただ、我々は3.11以降、普通の人でも原発の知識を得てしまった。
本作の中で原発について述べられている事実についても既に知っていたり、
現在の常識では違った物となってたりする。
「ヘリコプターが原発に直撃しても原発は大丈夫」
と言うのが政府や、JAEA(当時はJAERI)それが大ホラである事を、作者は示しているんだけど
我々は悲しいかな既に事実として知ってしまっている。
本作の中で、ヘリコプター落下前になんとか原発を止めようとするんだけど、
原発の暴走は止まったとしても、壊滅的な放射能漏れが起こり、
それがどれだけの悲劇を生むか?も現実問題として抱えてしまっている。
停止ボタンを押す作業員が、逃げ場所がないので
「一番頑丈で安全な場所」格納容器内に逃げ込む。
これこそが東野圭吾の最大のブラックジョークだと推察されるが、
現在では自殺行為としか思えない。
あの堤幸彦監督の手によって映画化され
この9月12日に公開される。
阪神・淡路大震災と、もんじゅのナトリウム漏洩による火災事故を受けてという時代と、
現在とのギャップを如何に埋めているか?
その辺りも見所ですな。