とある古い学生寮に越してきた僕は、最近ある悩みを抱えていた。
僕は寮二階の角部屋に住んでいるのだが、数日前の晩から
『カリ……カリ……』
と壁を引っ掻く音が隣から聞こえてくるのだ。
最初は微かにだったのだが、その音は少しづつ大きくなっている。
部活で疲れて帰る事もあり、正直うんざりさせられる。
あと何日か続くようなら、苦情を言いに行こう。
近頃、階段際の部屋主の郵便受けにチラシが溜まり始めている。
ウチの寮は部屋が直線に並んでおり、その末端に階段が1つある形になっている。
なので、角部屋の僕の部屋が下に降りるのに一番大変なのである。
チラシを配られる方も迷惑かもしれないが、みっともないから回収して欲しいものだ。
その晩、やはりあの音がした。
『ガリ……ガリ……』
不快な音を遮るために布団に潜るが、結局気になって寝付けなかった。
翌日の夕方、堪り兼ねて隣人のドアベルを鳴らした。
出て来た男は、目の下に隈を作っていた。
「あの、毎晩毎晩壁を引っ掻く音がうるさいんですよ。やめてくれませんか?」
「それは隣に言ってくれ。俺もうるさくて眠れねーんだよ」
そう言うと、ぶっきらぼうに扉を閉められた。
仕方なく、その隣人の部屋を訪ねたが、返事は無かった。
はぁ……今日もあの音にうなされるのか……
『ガリガリガリガリ』
男の部屋を訪ねた晩、やはりあの音が聞こえてきた。
しかも今度は、誰が聞いても隣から聞こえてくると判断できる音量だった。
あの隣人、結局あいつが引っ掻いてたんじゃないか……
明日になったらもう一回文句言いに行ってやる……
翌朝、隣の家の扉を思い切り叩いた。
ドアベルも連打したが、それでも家主は出て来ない。
だんまり決め込む気かあいつ……
このままじゃ学校遅れるし、帰ってからにするか……
そう思い、階段へと顔を向けた僕はある事に気付いた。
僕以外の全ての部屋に、大量の郵便物が溜まっていた。
僕は寮二階の角部屋に住んでいるのだが、数日前の晩から
『カリ……カリ……』
と壁を引っ掻く音が隣から聞こえてくるのだ。
最初は微かにだったのだが、その音は少しづつ大きくなっている。
部活で疲れて帰る事もあり、正直うんざりさせられる。
あと何日か続くようなら、苦情を言いに行こう。
近頃、階段際の部屋主の郵便受けにチラシが溜まり始めている。
ウチの寮は部屋が直線に並んでおり、その末端に階段が1つある形になっている。
なので、角部屋の僕の部屋が下に降りるのに一番大変なのである。
チラシを配られる方も迷惑かもしれないが、みっともないから回収して欲しいものだ。
その晩、やはりあの音がした。
『ガリ……ガリ……』
不快な音を遮るために布団に潜るが、結局気になって寝付けなかった。
翌日の夕方、堪り兼ねて隣人のドアベルを鳴らした。
出て来た男は、目の下に隈を作っていた。
「あの、毎晩毎晩壁を引っ掻く音がうるさいんですよ。やめてくれませんか?」
「それは隣に言ってくれ。俺もうるさくて眠れねーんだよ」
そう言うと、ぶっきらぼうに扉を閉められた。
仕方なく、その隣人の部屋を訪ねたが、返事は無かった。
はぁ……今日もあの音にうなされるのか……
『ガリガリガリガリ』
男の部屋を訪ねた晩、やはりあの音が聞こえてきた。
しかも今度は、誰が聞いても隣から聞こえてくると判断できる音量だった。
あの隣人、結局あいつが引っ掻いてたんじゃないか……
明日になったらもう一回文句言いに行ってやる……
翌朝、隣の家の扉を思い切り叩いた。
ドアベルも連打したが、それでも家主は出て来ない。
だんまり決め込む気かあいつ……
このままじゃ学校遅れるし、帰ってからにするか……
そう思い、階段へと顔を向けた僕はある事に気付いた。
僕以外の全ての部屋に、大量の郵便物が溜まっていた。