動物写真家・星野道夫氏の命日が近い。
(1996/08/08シベリアにて没/享年44歳)
彼の写真との出会いは知人にもらった1冊の写真集だった。
1991年に発刊された「Alaska風のような物語」のベージをめくったその瞬間
彼の写真のとりこになった。写真もそうだが、日夜自然と対峙する彼にしか
書けないあの緊迫した文章の見事さ。
その彼も逝ってしまった。
深夜のテントでヒグマに襲われた彼は、腹に喰らいつかれたまま
暗い森に消えた。長い、長い悲鳴のあとに静寂が訪れたという。
厳しい自然に魅せられた人は、みな、自然の懐に帰ってしまう。
これはTBS番組「どうぶつ奇想天外」のロケ中に起きた事故だった。
後日談で、襲ったヒグマは地元のテレビ局が餌付けをしていたことが分り、
傍若無人にテントを襲ったと思われる。野生のヒグマの生態をよく理解し
こよなくヒグマを愛していた星野氏を思うと、いまだにその死が無念だ。
人間の愚かな行為で大事な人を失くした。
「青春を山に賭けて」の植村直巳はマッキンリーの蒼い氷河のしとねに
いまも眠っているはずだ。氷河に落ちたと思われる彼の最後は絶対の
孤独の中で粛々と自然に同化したのだろうか。遺体が未発見なだけに
釈然としない気持ちが残る。(1984/02/13没/享年44歳)
植村直巳著【青春を山に賭けて】ISBN 416717801X
〔北壁に舞う〕の長谷川恒夫は世界初のヨーロッパアルプス3大北壁の冬期
単独初登攀を成功させた。(アイガー、マッターホルン、グランド・ジョラス)、
その後アルパインガイトとして活躍していたのに、二度目に挑んだウルタル
Ⅱ峰で雪崩に巻き込まれあっけなく死んだ。(1991/10/10没/享年45歳)
長谷川恒夫著【北壁に舞う生きぬくことが冒険だ】ISBN 4-08-749015-7
孤高のクライマー森田勝は執念のグランドジョラスを登攀中に村上文祐と
ともに墜死した。彼の悲報を聞いたとき、山に逝くことが彼の望みなんだと
予定調和の死に安堵した、そういう男だった。(1980/02/24没/享年43歳)
佐瀬稔著【狼は帰らずアルピニスト森田勝の生と死】ISBN 4-12-203286-5
この4人のうち長谷川恒夫だけが享年45歳(満44歳)で没し、あとの2人は
享年44歳(満43歳)で没している。満42歳を男の本厄年、満41歳を前厄年、
満43歳が後厄年と云われている。いちがいに迷信と侮れない。
男42歳といえば男盛り、仕事に意欲を燃やし意気軒昂に人生を謳歌する
年頃でもあるから、好事魔多しへの戒めかもしれない。
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生年月日: 1937年12月19日
出生地: 東京都
死亡日: 1980年2月24日
ご指摘の通り満42歳で没していました。
教えて頂きありがとうございます、
のちほど訂正しておきます。