道議会水産林務委員会(三好雅委員長)が9月7日開かれ、3定道議会に提出する補正予算案、食の輸出拡大戦略の推進状況などの報告を受けたあと、市橋修治委員(民主・後志)が日本海漁業振興基本方針と養殖振興について道の対応を質した。
補正予算は、佐藤卓也水産林務部長が説明し、水産林務部関係の今回の補正額は7億6,724万円で、令和2年度の予算総額は739億7,944万円となった。
また金崎伸幸水産局長によると、2020年上半期(1〜6月)の輸出は、道内からの食品輸出額は241.9億円で前年同期より33.5億円・12.2%の減。そのうち、水産物は185.5億円で32.9億円・15.1%の減だった。これはホタテ貝が93.5億円と32億円・25.5%減少したことによる。輸出数量は5万2千㌧で前年同期に比べ5千㌧増加しており、新型コロナ感染拡大で運休していた香港行きの臨時貨物便が運航し、活ホタテ貝の輸出が再開している。
質疑では、漁業が疲弊している日本海に対し道が平成26年に策定した日本海漁業振興方針、30年の同改定版によって成果があがっているかについて議論された。道によると、栽培漁業の割合は全道で生産数量45%、生産金額58%を占めるが、日本海は同43%、47%と金額が1割低い状況にある。振興方針後の取り組みによって生産額が約12%(27億円)増加し、漁船漁業にホタテ、ナマコ、カキの養殖を組み合わせた複合経営、乾燥ナマコの自家加工やサクラマスの活〆、ムール貝など2枚貝の新たな養殖、付加価値による経営安定など若手の意欲の向上につながる成果が出ている。一方、課題は投資規模が大きく、静穏域が少ない日本海では他漁業との調整が必要とされる。
また、陸上養殖の可能性について、神恵内では平成30年からエゾバフンウニの飼育試験をしており、コスト低減につながる技術、販路開拓などの流通対策の研究を進める必要がある。金崎水産局長は「施設整備は複合的な経営を支援し、魚類養殖の事業化に向けた研究、養殖技術の普及に努める」とした。