春を告げる日本海沿岸のニシン刺し網漁が1月下旬スタートし、主産地の小樽、石狩で好漁が聞かれるが、シーズン全体の流れ、資源状況を心配する関係者も。
1月末までに1日当たり小樽で40㌧、石狩で70㌧の好漁となった。浜では「大量の水揚げが早すぎる。地域が限定された漁なので少し心配。2月になっての盛漁期での本来の漁となるよう期待する」との声が聞かれた。
道水産林務部成長産業課普及指導員のまとめによると、1月20日現在の日本海沿岸(稚内市〜上ノ国町)の刺し網、定置網で漁獲されたニシン漁は後志北部、石狩、留萌、宗谷を合わせて4㌧で、余市郡、厚田で各2㌧。後志南部の寿都町3㌧となっている。昨年は1月中旬でほとんど同量、下旬になって石狩442㌧、後志北部で140㌧とまとまり、2月上旬にピークが来ている。シーズン通して6千㌧を超える豊漁となった昨年に比べ今年の先行きがどうか、2月上旬の手応えで決まりそうだ。この3年間は以前の3千㌧以下から5千㌧以上にステージがあがっており、加工流通の需要も大きい。
道総研中央水試の漁獲物調査速報によると、1月28日の小樽地区に水揚げされたニシンは、ほとんどが最もサイズの大きい「1番」で「2番」と「3番」の漁獲はわずかだったという。「1番」メスは、「やや不透明で綺麗な黄色か黄金色をした状態の卵巣(熟度30)がほとんどで、平均卵巣重量(最小〜最大)は86.5g(58.7〜127.9g)。尾叉長31cm台の個体が多く、体重330〜389gの大型個体が中心だった。同27日厚田地区で行われた漁獲物調査でも「メス」、「オス特大」が多く、「オス大」はわずか。漁網への産卵も多くみられたという。
後志、石狩から札幌市中央市場への入荷も1月下旬から安定しており、高値㌔800円、中値500円で取引されている。いずれも大型個体中心とあって、札幌市内のスーパーには大きなニシンがメスで1尾200円台、オスが100円台で並び消費者の需要も旺盛だ。
ただ、石狩湾漁協では1月中、量産地の厚田、浜益の漁は振るわず、石狩本所での漁獲がほとんどのため、2月からの盛漁期に期待がかかる。厚田の漁業者からは水温が高く、ニシンの成熟が進んでいないことや、小型のニシンが多く、来遊状況に心配の声が聞かれる。
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