輸入関税 海藻類の除外、アジ・サバの長期撤廃期間を確保
EUへの輸出 ホタテ(8%)、ブリ(16%)は関税撤廃へ
難航していた日本とEUのEPA(経済連携協定)交渉が6日、安倍首相とユンカー欧州委員会委員長の首脳協議で大枠合意に達した。2019年の早い時期の発効をめざす。
農林水産省によると、山本大臣は「今回の大枠合意で、我が国農林水産業は新たな国際環境に入ることになるが、農林水産省としては、我が国の農林水産業の国際競争力を強化し、輸出産業への成長を目指した強い農林水産業の構築のため、交渉で獲得した措置と合わせて、万全の対策を講ずる」との談話を発表した。
水産物については①海藻類(ノリ・コンブ等)は、関税撤廃等からの「除外」を確保②アジ・サバ等は、長期の撤廃期間を確保(現行7〜10%を16 年目に撤廃)③漁業補助金については、禁止補助金の対象外となった。
具体的な措置としてEUからの輸入は、キハダ・メバチマグロ(冷凍)、大西洋サケ、マス(冷凍)、マダラ(冷凍)、ヒラメ、カレイは発効時無税となる(現行3.5〜6%)。クロマグロフィレ(冷凍)は6年目に撤廃(現行3.5%)する。
一方、EUへの輸出は、主力のホタテ貝(冷凍)が現行8%を8年目に撤廃する。ブリ(冷凍フィレ・現行15%)、水産練り製品(現行20%)は即時撤廃される。
なお、2016年の貿易統計(財務省)によると、EUからの水産物の輸入は全体の3.4%(546億円)、EUへの輸出は全体の2.9%(76億円)と低い。輸入水産物はカツオ・マグロ類(268億円)をはじめ、ヒラメ・カレイ類(29億円)、カニ(27億円)、サケ・マス類(24億円)、アジ(22億円)などが主な品目。輸出はホタテ貝(35億円)がトップで、ブリ(3億円)、水産練り製品(2億円)など。EUへのホタテ貝の輸出は全体の7%にとどまり、今後の市場拡大が期待される。