政府は7日、緊急事態宣言を発出するとともに、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策を閣議決定した。
緊急経済対策の事業規模は108.2兆円、財政支出39.5兆円、令和2年度補正予算16.7兆円(一般会計)となっており、感染拡大防止策と医療提供体制の整備、治癒薬の開発、雇用の維持と事業の継続などを柱となっている。
これに伴う農林水産省の補正予算は、総額5,448億円。このうち水産関係は「1漁業者の事業継続・雇用維持」に必要な①経営維持・再建のための資金繰りの確保に32億円を計上し、漁業経営の維持・再編に必要な資金(農林漁業セーフティネット資金、漁業近代化資金、漁業経営維持安定資金など)の実質無利子・無担保化を図る。漁業者の資金繰りに支障が出ないよう金融機関に対し、適時・適切な貸出、担保徴収の弾力化、既往債務の返済猶予などの条件変更への対応を要請している。
また②漁業収入安定対策の拡充などに102億円を計上し、外食需要の減少などによる影響に直面している漁業者の経営を支えるため、積立ぷらすの基金の積み増しを行うとともに、積立ぷらすの仮払いおよび積立猶予を行う。
さらに③特定水産物供給平準化事業に32億円を計上し、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける魚種の過剰供給分を買取・保管する際の買取資金、保管量などを支援する。
④入国規制による外国人材の不足などに対応した労働力の確保に3億円を計上し、漁業や水産加工業における作業経験者などの人材を確保するための取り組みや遠洋漁船において現在雇用されている外国人船員の継続雇用などを支援する。
このほかに「雇用調整助成金の拡充等」(厚労省)、「事業継続が困難な中小・小規模事業者等への支援」(経産省)も漁業者・水産加工業者による活用が可能となっている。
「2水産物の販売促進、飲食業の需要喚起」に必要な①需要が減退している水産物の販売促進(1,400億円の内数)として産直ネット販売や学校給食への提供など漁業者団体、業界団体および都道府県などによる水産物の販売促進、水産物の需要を喚起するための広報活動を支援する。②〝GoTo〟キャンペーンによる需要喚起(1兆6,794億円の内数)として観光・運輸業、飲食業などに対し新型コロナウイルス感染症の収束後6ヵ月程度、政府一体の取り組みの一環としてオンライン予約のクーポン付与、割引食事券の発行などの需要喚起策を実施する。
「3水産物の輸出の維持・促進」に必要な新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を踏まえた輸出の維持・促進(147億円の内数)を図るため、家庭食の輸出増加や新規・有望市場でのシェア獲得などに必要な物流に対する支援、食品製造設備等の整備・導入支援、商談・プロモーションの支援などに取り組む。