北のパラダイス

思いつくままにいろいろな事を発信していきたいと思います。

-お金について-その1

2013年12月22日 | 未来構想
<お金の重要性>

お金は良いものですし、私たちの人生にとって重要なものです。
現代では、お金なしに生きることはできません。
日常生活を考えてみても、まったくお金なしに日々を生き抜くことは不可能です。
したがって、お金の重要性を改めて問う必要もないでしょう。

しかしながら、お金をまるで神のように考えたり、お金そのものに力が宿っていると考えるのは、間違っているように思います。
お金が全てだとか、必要なものはお金さえあれば手に入れたり達成したりできるとか、私たちが抱えている問題はお金で解決できるとか、そんなふうに考えるのも、もちろん間違っています。

私はこんなふうに考えています。
この世の幸福を楽しむために、一番に優先すべきことは、精神と心の平安を得ることです。
二番目が健康、三番目に真実の友人、そして最後に富、の順番です。

<金持ちである利点>

「私は金持ちだ」と自分に言うのは気持ちが昂ります。
エネルギーが湧き、対社会的に良く見られます。
しかしそれは、財産を獲得し、それを増やすのに伴うストレスに、本当に値するものでしょうか。

よく家族と社会の一部を敵に回しますし、人から羨ましがられたり、敵意を抱かれます。
絶えず不安で、身構えていなくてはなりません。

金持ちである唯一の利点は、他人をより助けることができることです。
社会的には、より重要な役割を果たし、より影響力があります。

<賢いお金の使い方>

豊かな人はほとんどが、自分の財産の賢い使い方、たとえば贅沢な暮しをするのではなく、貧しい人に分け与えるといったことを知りません。
自分の財産を増やすことで頭がいっぱいになり、他のことを考える余地がないのです。

自分のことに気が取られるあまり、豊かな人は幸せな世界をつくれるはずなのに、その夢を忘れてしまいます。
その結果、常に悩みにとりつかれているのです。

何が起こるかわからないという疑念と、もっと財産を殖やしたいという願望との間で苦しみもだえ、たとえ外面的にはなに不自由ない暮らしを送っているように見えても、頭と心はひとときも休まらないのです。

<大金がもたらすもの>

たとえば大金を手に入れたとしましょう。
これが永遠の幸せをもたらすのか、それとも幸せは一時的なものにすぎず、お金だけで解決できない悩みや問題にたちまち取って代わられてしまうのかは、その大金を得た人次第です。

概して言えるのは、たとえお金が幸せをもたらすとしても、それはお金で買える種類の幸せ、つまり具体的な品物や快適な経験といったものでしかないのです。
よく考えてみれば、こうした幸せは皮肉にも苦しみの種になると分かります。

<富より大切なもの>

もちろん、富によって健康を支えることもありますし、心の平安や友人も同じです。
しかし、たとえば、私たちがチベットから財産もお金もまったく持たずに逃げてきたとき、とにかく生命だけが何より大切でした。
生命さえあれば、またお金を稼いだり、友人をつくったりする可能性もあねのですからね。

ですから、私は、心の平安が何よりも大切だと思うのです。

もし心の平安があれば、健康もついてくるでしょう。
穏やかな心をもつ人は、良い友人たちを引きつけますし、一般的に見て、幸福な状態にあるということは、お金も引きつけているということです。

いずれにせよ、心が平安な人は、お金を正しく使うことができます。

タ゜ライ・ラマ法王14世

「これからの日本、経済より大切なこと:池上 彰 著 ダライ・ラマ法王14世 著」より抜粋。