日刊「NOCUSる」

たとえば5年後、あなたは何を食べている? それは、どこで誰が作る?

古い映画から

2008-01-16 | 暮らし

農民センターの産直は、きょうが初荷です。
それに添える「野菜だより」は、いつもとは
逆に、「たまご新聞」から流用しました。

紙面で紹介しているのは、
山田洋次監督の映画「故郷」(松竹、1972年)で、
下記は、その中のセリフの一部。

「どう、その後、石船のほうはやっていけそうかね」

「それがのう、まぁ、いろいろ考えたんじゃが、もうやめよう思うとるんじゃ」

「そうかぁ。それじゃ、あんた船長さんじゃなくなるんだ。船長さんじゃなくなって、労働者になっちまうんだ」

「船長も労働者も、たいして変わりゃせんわいのう」

「いやちがう。そりゃ大ちがいだ」

「どこが?」

「第一、給料がちがう。船長のほうが、ずっと安い」

「・・・」

「それと労働がちがう。船長のほうがずっとつらい」

「はっははは、は、は・・・」

「でも、ま、船長さんはやっぱり船長さんだよね」

「うん」

「朝から晩まで一生懸命働いて、何一つ悪いこともしないのに。どうしてかねぇ。どうして先祖代々住み着いたあんなきれいな村を出ていかないけんかねぇ。えぇ?」

「食うちゃいけんけぇ、しょうがなあのう」

「そうかなあ。すると、この島も工場の敷地みたいになっちまうのかなあ。やだねえ」

「・・・」

このお正月、
衛星テレビでも放映されたようです。

瀬戸内海の小島で暮らしてきた一家が、
近代化の波に追われ、家業を断念せざる
をえなくなるまでを描いた映画でした。
劇中、
古くて修理もきかないオンボロ船は、
うちのコンバインの姿とそっくりでした。
そして、
「船長」を「百姓」と聴き替えながら、
上の場面をかみしめたのでした。
ただし、映画との大ちがいもあって、
百姓は食べ物をつくる仕事だということ。
たしかに
「ずっと安い」し、「ずっとつらい」けど、
でも、ずっと楽しい!なんちゃって。(粋がり)