北欧スウェーデン の生き方情報 スウェーデン報

北欧スウェーデンの日常を生活者目線でお伝えします。
幸せの国、北欧スウェーデンのなるほど〜な生き方をお伝えします。

夏至祭には、寒さ対策が必要

2020-06-22 12:41:27 | スウェーデン

北欧スウェーデンの生き方、行事、習慣なんかを楽しく伝えたい

今回はメルマガ版「夏至祭」

こちらは、画像入りです。

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カレンダーでは6月21日が夏至。

 

でも、今年のスウェーデンのカレンダーでは、6月20日が夏至の祝日になっている。

 

 

夏至祭を盛大に祝うために、夏至に一番近い週末が祝日と決まっているからだ。

つまり、毎年、変わるということね。

週末にそなえて、酒屋の前に列を作るスウェーデン人

 

冬の長い国民の太陽に対する思い入れは、多分、日本人の想像を遥かに超えている。

 

何しろ、太陽が出ていれば、多少肌寒くたって、日光浴をしている。

 

啓蟄とともに、芝生の上には、スウェーデン人たちが沸いてでてくる。

 

 

ましてや、一番日照時間の長い夏至を祝わないでなるものか。

 

 

スカンジナビア以外のヨーロッパの国々では、夏至を特別に祝う習慣はないようだ。

 

少なくともイギリスには、なかった。

 

 

さて、そのいかにもスカンジナビア!の夏至祭とはどんなものか。

 

夏至の祝日の前日(金曜日)から、多くのお店や会社は休みになる。

何しろ、盛大なパーティを催すのが普通だからだ。

 

地域の広場には、メイポール(maystang)が立てられる。

メイポールの風習は輸入のようだ。

 

他のヨーロッパの国でも、春を迎えて、メイポールの周りで踊る。

 

もちろん、5月(メイ)に。

 

ところが、スウェーデンでは、5月だとまだ花が咲ききらない。

 

そこで、夏至祭と一緒になった。

 

 

金曜日の午前中、主催者たちがメイポールを作る。

白樺の葉っぱをまんべんなく巻き付けた十字架の両脇にひとつづつ輪をつけた独特の形をしている。

 

白樺の葉の中には、いろいろな花も飾り付けられる。

 

集いの中心になるだけに、高さ数メートルのかなり大きなものだ。

 

作るのも大変だが、立てるのも大変。

 

 

午後1時頃になると、近所の人たちが集まってくる。

 

それぞれピクニックシートやお弁当飲み物を持って、日本の花見のようである。

 

女の子たちは、頭に花で作った冠をかぶっている。

これも、その日の午前中に手作りで作られたものだ。

 

服装も民族服。これは、地域によって微妙にデザインが違うので出身がわかる。

日本人の娘もらしくしてみました。

これは、土産物屋なんかで売っている、スウェーデン風衣装。

 

めいポールの周りには、まず、子供達が呼び集められる。

 

そして、夏の歌を何曲か歌う。

 

そのうちの何曲かは、ん、聞いたことがあるぞと思ったら、クリスマスにも歌っていた。

 

歌詞の内容を、「雪の上に」から「草の上に」などと替えて一年中歌うようである。省エネ。

 

 

スウェーデン人は歌うことが好きだ。歌もうまい。これだけ、小さなうちから歌うことに慣れ親しんでいると、うまいのもうなづける。

 

なにしろ、パーティの席では、まず、歌詞カードが渡される。

 

そして、談笑の最中に、突然、主催者が、「じゃ、○○の歌、いきます」と声をかける。

 

すると、一同、話をやめて、やおら、全員で歌い始めるのだ。

 

歌い終わると

 

「スコール(乾杯)!」と叫んで、アクアビット(焼酎)を飲み干す。

 

また、しばらく談笑すると、主催者が「じゃ、次、○○の歌」と声をかける。

 

会話中断。元気に歌う。「スコール!」飲み干す。会話、再開・・・これを繰り返す。

 

いやあ、見事なもんです。

 

 

さて、話をメイポールにもどそう。

 

子供達の夏の歌で始まったこの集いは、次にダンスになる。

いわゆるフォークダンスですね。

そえぞれの歌に振り付けがついていて、歌詞のわからないうちの娘は、周囲の真似をしながら踊るので、ワンテンポづつ遅れているのもご愛敬。

 

なにしろ、カエルの真似をしたり、洗濯をしたり、アイロンをかけたり、なかなか忙しいダンスなのだ。

 

見ていても飽きない。

 

どこかで、見た光景と思ったら、そうそう日本の盆踊り!

 

やぐらの代わりにメイポールを想像していただけると、おおよその雰囲気は掴めるだろう。

 

ただし、こっちは、昼日中です。

 

 

さて、小一時間も踊ると、しばしの休憩を挟んで、次はゲーム。

 

これがまた良いんです。素朴で。

 

呼び集められた子供達が二手に分かれて、前に立つおじさんを回って帰ってくるというシンプルリレー。

南京袋に両足をいれて、ぴょんぴょんと飛びながらおじさんを回るリレー。

そして、つなひき。

 

これまた、どこかで、見た光景と思ったら、そうそう日本の地域の運動会。

賞品がやたら生活臭のある、タッパーとかラーメンとかスポンジとかくれるやつ。

 

都会の読者の方は、ご存知ないでしょうか。

 

ただし、こっちは、何の賞品もありません。

 

 

賞品も表彰もなにもないゲームに、いかにも楽しそうに参加している人々を見ていると、文字通り心が洗われます。

 

だって、本当に、楽しむためだけに参加しているんですよ。

 

なんて、純粋で、素朴で、良い人たちなんだろう。

 

日本では、地域の運動会を盛り上げるために、参加者を強制的に自治会の班ごとに数名決めなくてはならなかった。結構な景品が出るにもかかわらず、いつも、無理やり誰かにお願いするという状況だったっけ。

 

 

そして、最後は、締めのダンス。2時間ぐらいで終了。

 

 

しかし、これは、夏至祭の導入なのだ。

 

これから、人々は、家に帰って、我が家の夏至祭が始まる。

 

 

夏至の料理は伝統的なものだ。酢漬けのニシン(シル)でしょ。

茹でたジャガイモでしょ。

そして、じゃがいもの焼酎シュナップスでしょ・・・・。

あれっ??クリスマスと同じだ。

 

そうです。この国では、ニシンとジャガイモはパーティ料理。そして、普段の料理。

 

つまり、一年中、同じものを食べているわけです。

 

もっとも、クリスマスには、これに豚料理が加わるし、夏至には、今が盛りのいちごにホイップクリームが欠かせません。

 

その年は、知人のスウェーデン人の家族夏至祭に呼んでもらいました。

 

スウェーデンどっぷりの夏至祭では、家でもダンスを踊っちゃう。

家の庭に作られたメイポール。サイズは小さい

 

食事が一通り終わったからと言って、誰も帰らない。

 

夜食にはバーベキューが用意してある。

「お腹を減らすために」と、その家の女主人。

 

全員で庭で輪になって、さっきも見たジェスチャーたっぷりのダンスを歌いながら踊る。

 

念のため書いておくが、この日の集いは、子供は3人だけ。ほとんど大人。

 

しかも、平均年齢50歳ぐらいの、かなり高齢な集まり。

 

 

座っていたら、しかめっつらの恐そうなおじさんまで、一緒に

 

「ラン、ラン、ラン(ごめん、歌詞の意味が理解できていない)洗濯をしましょ」(で、洗濯のジェスチャー)

 

「ラン、ラン、ラン、干しましょう」(で、干すジェスチャー)

 

「ラン、ラン、ラン、アイロンをかけましょう」(ジェスチャー)

 

「ラン、ラン、ラン、畳みましょう」(ジェスチャー)

 

を、踊るのだ、しかも、ニコリともしないで。

 

 

日本人で立派に成人している私には、ちょっと、恥ずかしかったね。

 

一番恥ずかしがって、逃げたがっていたのは、なんと、日本人の未成年の14歳の息子だった。

 

息子よ!君の感性は正しい。でも、ここは、スウェーデンなのだ。

 

郷にいれば、郷に従え。踊るんだ!!!

 

 

言い忘れたが、正しい夏至のお祭りは、当然、庭でやる。

 

そりゃ、そうでしょ。太陽を喜ぶ日なのだから。

 

 

というわけで、ダンスのあとも、バーベキューも含めて、ずっと、庭にい続けることになる。

 

そのうちに、明るいとはいえ、気温は下がってくる。

 

しかも、時々、雨が降ったり、陽が照ったり曇ったりという典型的なスウェーデン日より。

 

 

午後7時を回ると冷え込む。

 

すると、女主人が尋ねる。

 

「私は、快適だけど、誰か寒い?」

 

数人が、「ちょっと寒いね」と、遠慮がちに申し出る。

 

「じゃあ・・・・・」の後に、家に入ろうか・・・という台詞を期待するのは、日本人。

 

「何か、着るものもってくるわ」

 

女主人は、カーディガンを持ってきて配る。

 

 

夜9時を回るとさらに冷え込む。尋ねる女主人。

 

「わたしは、ちょっと冷えてきたけど、みんなはどう?」

 

数人が「少し、冷えてきたね」と答える。

 

 

「じゃあ・・・」

 

そして、今度は、毛布を持ってきて配る。

 

11時近くになっても、外はまだ、明るい。が、寒い。

 

尋ねる女主人。

 

「かなり寒いよね」

 

 

そして・・・・・・・・毛皮のコート・・・・・・・・を持ってきた。

 

 

そこまでしても、太陽を楽しみたいか!!!!脱帽!!!!!

 

 

というわけで、我が家が帰宅した12時(真夜中)には、まだ、誰も室内に入らず、当然、誰も寝なかった。

 

 

あとで、聞くとそのまま午前3時まで起きていて、日の出を迎えたあと、近くの湖までみんなで歩いて行って、はだかで、湖で泳いだのだそうだ。

 

 

わたしは、スウェーデン人にはなれそうもない。

だって、水温20度以下だよ。朝の3時の湖。

 

 

さて、スウェーデンに来た頃、「夏至祭は、人によってはクリスマスより盛大だ」と言っていた人がいたのを思い出した。

 

それが、とっても納得できた体験だった。

 

静かに祝うクリスマスと対照的に夏至祭は、「ばかさわぎ」をする日なのだ。

 

 

私たちが、12時過ぎに我が家に向かう途中も、まだ、あちこちの家の庭から、大声で歌う声が聞こえていた。

 

 

ところで、未婚の女性の読者のためにスウェーデンの言い伝えをひとつ。

 

夏至の前の晩に、枕の下に7種類(地方によっては9種類)の草花を入れておく。

 

すると、夢の中で、将来の夫に会うことができる。

 

7種類の草は、デージー、矢車菊、ポピーなどは、欠かせないようだが、特定の7種類だと集めるのが困難な地域もあるので、別になんでもいいそうだ。

ただし、摘む間は、誰とも口を聞いてはいけないし、枕の下に入れて寝るということを誰かに話してもいけない。

 

すべて、密かに行うべし。

 

 

スウェーデンの女の子の多くは、一度ぐらい実行したことがあるという。

 

でも、今のところ、現在の夫をその時に、夢で見ていたという人にあったことはない。

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