こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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夫婦のかたち ~長戸裕之、南田洋子夫妻をみて~

2008-11-04 23:45:27 | 訪問看護、緩和ケア
長戸裕之さん、南田洋子さん夫妻のドキュメントを見ました。
たくさんの夫婦の、それぞれの歴史の中で、今の二人の形ができるのだと思いました。
長門さんは、「苦労をかけっぱなしだった、洋子への贖罪」と言っていましたよね。「洋子は俺が、看るんだよな。」と問いかける夫に「あたりまえでしょ!」と答える妻。そこには、アルツハイマーを患ってなお、断ち切れない深い絆があると思います。
「愛してるよ。」「わたしもよ。」
「大好きだよ。」「わたしもよ。」
切なくて、胸がきゅんとしました。

仕事に行く夫を見送る洋子さんの笑顔は、女優として輝いていたあの頃のように、とてもきれいでした。
どんなに老いても、病気になっても、愛されていると、あんないい笑顔ができるんだなと思いました。

翌日、訪問した患者さんも、高齢の夫が一人で寝たきりの妻を介護していました。
夫「本当にもう、ベットから降ろせってきかないんだよ。」
私「何で降りたいの?」
妻「だって、ご飯の支度しなくちゃ」
私「うーん。今はちょっと無理かな。立ってられないでしょう?お父さんにお任せしたら?」
妻「だめよ。この人なんか、できるはず無いもの」
でも・・夫はここ数年、ずっと家事をきちんとこなしてきているのです。
妻の中の夫は、いつまでたっても、何にもできない、手のかかる夫なのでしょう。
でも、その後で「今何か辛いことある?」と聴いた私に「ない。だってお父さんがいるから、大丈夫。ね、お父さん。」と言ったのです。
夫は、ちょっと照れて「なーに言ってんだか。」とはにかんで下を向きました。
なんだか、結構うれしそうに見えました。

その次のおうちでは、奥さんがもう長い事、夫の介護をしています。
あんまり動きたがらず、言葉もはっきり聞き取れません。
最近では富に怒りっぽくなって、あれこれと手がかかるようになってきました。
そんな妻と、長戸夫妻のTVの話をしました。
「お父さん、ああいうの見るの嫌がるのよ。私見たかったんだけど。やっぱり嫌なのかな・・?」と。
TVの感想を話していて、「長門さん、結構むちゃくちゃ言ってる奥さんを決して怒らないで、気長に相手をしていたよ。」と話すと、「そうか・・。怒らないんだね。私なんて、怒ってばっかりで・・」
不意に涙ぐんだ奥さん。
なんの、なんの、本当に良く看ています。大切に大切にしています。
私には、よくわかっています。
みんな、二人にしかわからない、歴史があるんですよね。
やっぱり、口にこそ出さなくても「愛してる」んですね。
そんなこんなで、夫婦のちょっとした会話に、結構しびれている今日この頃です。