こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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旅立ちの身支度

2011-06-21 23:20:58 | 訪問看護、緩和ケア
今朝、静かにスッと旅立たれたおばあちゃん。

本当に自然のままに、ゆっくりと残りの蝋燭を燃やしきるように、逝かれました。

余分な輸液をしない分、浮腫みもすっかり消えて、痰がらみも全くななかったので、ぎりぎりまでスースーと眠るような呼吸をしていました。
下顎呼吸になったのは、ほんの数十分だったようで、ほんの数分の間に旅立ってしまいました。

もともと、信仰に篤くご先祖様もしっかり守ってきた方です。
遠い東北の地から、娘さんのお宅に引き取られて3年。
死出の旅は、古くからの支度が望みのはず・・と、白装束を希望されました。

最近は、ほとんどの方が一番お気に入りの服であったり、着物であったり、時にはドレスであったり民族衣装であったりと、それぞれご家族が選んだ装いをしての旅立ちをされていました。

まれに、宗教的な意味合いでお寺からの装束で支度をされる方がありますが、あとはお洋服の上に白装束をかけたりと、それぞれの方法で支度をされていました。

でも、今日は質素ではあるけれど、真新しい白い装束を着ていただきました。

色の白いおばあちゃんのお顔に、真っ白い着物がとても似合って、とても清らかな神々しい姿となりました。

やはり、功徳を積まれた方なのだな・・、と眠るようなお顔を見て思いました。

映画『おくりびと』でも、白装束のお別れの儀式をやっていましたが、日本人としてこれもなかなかいいものだなと改めて思いました。

白装束と言っても、一般的にはお遍路の衣装を指すようで、「死装束」とか「仏衣」などというようですね。
ネットで検索すると、ほとんどがとんでもなく高額な代物ばかりで、安くても50000円くらいから、上を見れば数十万もするものばかりで、びっくりしてしまいました。
素材も絹100%豪華刺繍入り、フリル付きみたいなものがほとんどでした。

岩手県出身のスタッフ曰く「昔は、家族みんなで白装束を縫って用意していた。」とのこと。
本来は、清楚でシンプルなものなのだと思います。

今回、Tステーションで購入しているものを分けていたのですが、値段も5000円以下で、とても清楚なものでした。
余計なものは一切ない、肌襦袢と腰巻、そして仏衣は2重ガーゼの浴衣のようなもので、肌に優しそうなセットになっています。
値段はやすいけれど、決してみすぼらしいものではありませんでした。

お別れの準備について説明をするときに、何を着せようかずっと悩んでいるご家族が時々いらっしゃいますので、そういう時に仏衣があると余計な心配をかけずに済むかもしれませんね。

うちのステーションでも、お譲り出来るように用意してもいいかなと思いました。



ところで、数日前に市の役員だったHステーションの管理者Hさんから、大きな封書が送られてきました。
何かなー??と思って封を開けると「アルツハイマー型認知症」の新薬のパンフレットでした。



来月発売の、今話題の新薬のパンフで、同時に2社から出るんですね~

リバスタッチパッチとイクセロンパッチ。
小野薬品とノバルティス。
しかもパッチですね。

毎日交換で、4.5㎎から始めて18㎎まで増量するんだそうな・・。
たしかに、服薬だと飲んだり飲まなかったりで、飲んでもらうのも一苦労だったりしますが、背中に何気なく貼っちゃえば、確実に必要量は吸収されるわけですね。
でも・・、貼ってくれる介護者がいないとやっぱり難しいかも。

いろんなパッチが出てきて、みんなで想像してしまいました。
「喘息でホクナリンテープ貼って、狭心症でフランドールテープ貼って、癌性疼痛でフェントステープとか貼って、これを貼ったら、テープだらけになっちゃうね。」(笑)

でも、ADLがすごく改善するとかって書いてあるし、ちょっと期待できそうですね。


それにしても、18時半からめぐみ在宅クリニックの『地域緩和ケア研究会』もあり、今日も遅くなってしまいました。
今日は学生さんがたくさんいたのか、随分たくさん参加者がいました。

今日も事例の検討でしたが、Aステーションさんも随分大変な患者さんと向き合ってきたのだなぁ・・と感心。
困難事例に出会っても、みんなで向き合って乗り切れたらいいなと思います。
なにより、患者さんとそのご家族が、悔いのない在宅療養が出来るといいですね。

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