こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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リハビリ、リハビリって言うけれど・・

2012-02-27 22:21:08 | 訪問看護、緩和ケア
「リハビリをしなと歩けなくなります。」
「リハビリしてください。トイレは自分でやってもらわないと困るんです。」
「リハビリをすれば、また散歩に行けますか?」

そう言う言葉をよく聴きます。

リハビリを頑張れば、また歩けるようになる方もいます。
でも、努力とか気合だけでは、どうにもならないこともあるのです。

リハビリをすれば、すごく良くなると思って、かなり無理なプログラムを立てる方。
衰弱して病状が悪化しているご家族に、「このままじゃどんどん弱るから。」と言って、無理やりトイレまで歩かせたり、場所を移動して食事をとらせたり・・。

こういう場合は、リハビリが病状を悪化させる可能性があることを根気よく伝え、逆に筋の緊張をほぐすマッサージやリラグゼーションをお勧めしたりします。
ご家族にも、きちんと病状をお伝えして、今何が必要かを知っていただくことも重要ですね。

以前、末梢神経障害と循環障害で片足を無くされた患者さんに、ルームランナーを買ってきてリハビリをさせようとしたご家族がいて、担当ナースがあせっていました。

とにかく、どれほど危険かを分かって頂くためにも、一緒にやってみたそうです。
一番ゆっくりなスピードにしても、とても歩幅が間に合わず、数歩で「怖い!!怖い!!」と叫んで二度とそれを使う事はなかったようです。^_^;

同じように「ルームランナー買ってみたらどうでしょう?」という質問がよくあります。

リハビリをしようとして転倒し、骨折や脳挫傷でも起こしたら、元も子もないと思うのですが・・。

同じように、歩く練習をしてください、とよく言われます。
でも、歩く練習の前に、ベットサイドでできる筋力訓練や、柔軟性を高めるストレッチ、関節の可動域を広げるROMexなど、地道に身体を動かすことから始めなければ、いきなり歩くのは危険です。

長くベット上にいると、気持ちは焦る一方で「こんなはずではなかった。もっと動けたはずだ。」と思うのでしょうか?

そんな気持ちでいっぱいの患者さんがいました。
ベット上での大腿四頭筋の運動で、寝たまま足を延ばして、足首を直覚に上げてベットから15センチだけ上げて10秒保持、そしてそっとおろす。
これをやってみてくださいとお話ししました。
すると、その患者さんは、「20でも30でも大丈夫だ!」といいます。
でも、ベットから15センチだけ上げるって、結構きついのです。
ゆっくり10数える間もなく、足がプルプルしています。
「大丈夫ですか?無理しないで、5でもいいですよ。」
「大丈夫だ!!なんでもない!!」
「いきなり頑張りすぎると辛いです、今は良くても明日筋肉痛で動けなくなりますよ。」
「こんなもの、なんでもない!」と、ブンブン足をあげたり下したり・・^_^;
その後、足踏みもものすごい勢いでで出来ることを見せてくれましたが、下肢の筋力はとても弱く、いざ立ち上がるとよろけてしまって、介助者がいないととても危険な歩行状態でした。

でも、ご本人のリハビリをしい。歩きたい。
そう言う思いは大切にするべきだと思います。
頑張れる気持ちも、いつかよくなるという希望もそのままに、もうちょっと手前に、実現可能な目標を立ててあげられれば・・と。

この方は、来週から通所リハビリが開始されます。
頑張って、一人で家のトイレまで行けるようになれように、応援したいと思います。

また、過剰な運動で反って筋の緊張を招いたり、運動失調が悪化することもありますので、リハビリのプログラムは、できればリハ科の医師や、理学療法士の意見を聞きながら、無理のない方法で行うことがベストです。
私たち看護師は、ベットサイドでできる簡単な、運動や体操、ストレッチなどを中心にお手伝いしています。
でも実は、在宅では日常のなんでもない動きが、リハビリなのだと言う事を、知ってもらうのが一番だと思います。

オムツ交換の時に、お尻が上がるか。
横を向くときちゃんと向けるか。
自分でフォークをもって、口まで運べるか。

そんな日々の動きから、チャレンジしていくことが、一番のリハビリなのだと思います。

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