今日は、めぐみ在宅緩和ケア研究会でしたが、今回は事例検討とともに画期的な緩和治療の報告もありました。
今回の事例は、膵臓・肝臓転移による難治性腹水に苦しむ患者さんでした。
歩きたい、トイレに行きたい、外に出たい。
そして、負けたくない!生きたい!そんな強い思いで、ご家族もご本人も頑張っていたそうです。
しかし、腹水の貯留が増強し、やがて呼吸困難や体動困難となり、麻薬でもとりきれない苦しみが襲います。
しかし、非常勤医師の新しい情報とスタッフ全員の熱意により、CARTという緩和治療が導入されることになりました。
今日は、研究会で紹介され、現在めぐみ在宅でも導入されたCARTについて御紹介します。
この治療法は、実は1984年には保険適応されていたのですが、実際それが普及し、さらに在宅に普及するのは大分後になったようです。
腹水は、肝臓疾患などで水分を血管に引き込む役割を果たすタンパク質・アルブミンを作る機能が低下したり、門脈圧が亢進したり、腹膜に癌が散らばったりして、血管から血液成分や水分がお腹の中に沁みだして起こります。
通常腹水穿刺と言って、針をお腹にさしてこの水を抜く治療が行われていますが、この腹水の中には、大事な血中成分のアルブミンや免疫機能にかかわるグロブリンなどもたくさん含まれているので、あまり腹水を抜くとこれらもなくなってしまい、体力も奪われてしまいます。
また、そのことで腹水が溜まりやすくなるという現象も起きてきます。
そのため、腹水を頻回に抜くことは、医療者はあまりすすめません。
でも、お腹がパンパンに膨らんだ患者さんは、苦しくて苦しくて、何とかこれを抜いてほしいと訴え、それを見ているご家族もとても辛い思いをします。
CARTは、この腹水を3時間ほどで4~5ℓ抜き、その腹水を特殊なろ過装置でろ過し、癌細胞や細菌や余分な水分を抜いて、再び点滴として体に戻すというものです。
自分のアルブミンやグロブリンを戻すので、未知の病原体の混入の恐れもありません。
このろ過装置は、旭化成クラレメディカルのもので、今回そのプレゼンも聞くことができました。
二つのろ過装置を使って、一つはがん細胞や細菌をろ過し、その後除水を行いパックするものです。
ここで、さらに画期的なのが最初のろ過装置で、従来のものは血性腹水やがん細胞などが、すぐにフィルターに詰まってろ過できなくなってしまったのですが、逆式と言われるろ過装置を使う事で、詰まったものを洗浄して取り除きながら、ろ過できるというものです。
このため、大幅に適応範囲が広がりました。
在宅でCARTをしているところは、全国でもまだ10数箇所、さらに逆式を使用しているところは数カ所しかないそうです。
この方法をとりいれ、冒頭の事例の患者さんに行ったところ、一時は寝たきりで衰弱していた患者さんが、再び歩くことができ、食事もとれるようになったそうです。
とはいえ、これで治るわけではなく、病気は進行しますが、何よりつらい腹部の圧迫による呼吸困難は大幅に緩和されます。
この方は、計4回のCARTを行ったのち、ご家族の愛情に包まれ、しずかにご自宅で永眠されたそうです。
思い起こせば、私たちの記憶の中にも、CARTがあればどんなに楽になっただろうかと思う患者さんはたくさんいます。
でも、もうあの苦しみならば、楽にしてあげられるのだと分かったことが、なにより私たちの気持ちも楽にしてくれました。
とはいえ、病状によっては腹水を抜くだけでショックを起こしてしまう可能性もありますし、ろ過した液を注入するときに、発熱や悪寒、頭痛、血圧上昇などの副作用が出る事もあるそうです。
適応は、あくまでもご本人、ご家族の選択のもと、主治医が判断することとなります。
保険適応は月に2回までで、ろ過装置や処置料込で100,000円弱なので、1割負担のかたで1回1万円弱と言う事になりますね。
3割の方でも3万弱。あの苦痛を考えれば、希望される方は多いのではないでしょうか?
めぐみ在宅クリニックでも、一度にたくさんの患者さんは無理だそうで、今は3名の方がCARTを楽しみに療養されているそうです。
一人の患者さんに、クリニックのナースが3時間付きっ切りで穿刺中の観察を行い、その後1時間かけろ過をするので、労力としてはかなりなものですね。
今後は、私たちもそのお手伝いをすることとなりますので、すごく楽しみです。
そのクリニックの担当ナースが言うには、「化学療法をあきらめざる得なかった患者さんにとっては、これは治療ととらえているみたい。これをすることで、穿刺でただ水を抜かれるより、力を注入されるみたいと言っていました。だから、一時的とはいえ、みるみる元気になるのが、すごくうれしい。」とのことでした。
旭化成と言えば、サンダーバード人形みたいなおじさんの「イヒ!」を思い出しますが、こんなこともやってるんだ~。
すごいですねぇ。
在宅医療も、どんどん進んでいるんだなと、感心しています。
患者さんの思いに耳を傾け、苦しみを知り、どうしたら支えることができるかをともに考え、出来る道を一緒に探して、あきらめないで向き合う。
在宅支援だって、探せば何とかなる道もあるはず。
ちょっと、未来が明るくなりました。
今回の事例は、膵臓・肝臓転移による難治性腹水に苦しむ患者さんでした。
歩きたい、トイレに行きたい、外に出たい。
そして、負けたくない!生きたい!そんな強い思いで、ご家族もご本人も頑張っていたそうです。
しかし、腹水の貯留が増強し、やがて呼吸困難や体動困難となり、麻薬でもとりきれない苦しみが襲います。
しかし、非常勤医師の新しい情報とスタッフ全員の熱意により、CARTという緩和治療が導入されることになりました。
今日は、研究会で紹介され、現在めぐみ在宅でも導入されたCARTについて御紹介します。
この治療法は、実は1984年には保険適応されていたのですが、実際それが普及し、さらに在宅に普及するのは大分後になったようです。
腹水は、肝臓疾患などで水分を血管に引き込む役割を果たすタンパク質・アルブミンを作る機能が低下したり、門脈圧が亢進したり、腹膜に癌が散らばったりして、血管から血液成分や水分がお腹の中に沁みだして起こります。
通常腹水穿刺と言って、針をお腹にさしてこの水を抜く治療が行われていますが、この腹水の中には、大事な血中成分のアルブミンや免疫機能にかかわるグロブリンなどもたくさん含まれているので、あまり腹水を抜くとこれらもなくなってしまい、体力も奪われてしまいます。
また、そのことで腹水が溜まりやすくなるという現象も起きてきます。
そのため、腹水を頻回に抜くことは、医療者はあまりすすめません。
でも、お腹がパンパンに膨らんだ患者さんは、苦しくて苦しくて、何とかこれを抜いてほしいと訴え、それを見ているご家族もとても辛い思いをします。
CARTは、この腹水を3時間ほどで4~5ℓ抜き、その腹水を特殊なろ過装置でろ過し、癌細胞や細菌や余分な水分を抜いて、再び点滴として体に戻すというものです。
自分のアルブミンやグロブリンを戻すので、未知の病原体の混入の恐れもありません。
このろ過装置は、旭化成クラレメディカルのもので、今回そのプレゼンも聞くことができました。
二つのろ過装置を使って、一つはがん細胞や細菌をろ過し、その後除水を行いパックするものです。
ここで、さらに画期的なのが最初のろ過装置で、従来のものは血性腹水やがん細胞などが、すぐにフィルターに詰まってろ過できなくなってしまったのですが、逆式と言われるろ過装置を使う事で、詰まったものを洗浄して取り除きながら、ろ過できるというものです。
このため、大幅に適応範囲が広がりました。
在宅でCARTをしているところは、全国でもまだ10数箇所、さらに逆式を使用しているところは数カ所しかないそうです。
この方法をとりいれ、冒頭の事例の患者さんに行ったところ、一時は寝たきりで衰弱していた患者さんが、再び歩くことができ、食事もとれるようになったそうです。
とはいえ、これで治るわけではなく、病気は進行しますが、何よりつらい腹部の圧迫による呼吸困難は大幅に緩和されます。
この方は、計4回のCARTを行ったのち、ご家族の愛情に包まれ、しずかにご自宅で永眠されたそうです。
思い起こせば、私たちの記憶の中にも、CARTがあればどんなに楽になっただろうかと思う患者さんはたくさんいます。
でも、もうあの苦しみならば、楽にしてあげられるのだと分かったことが、なにより私たちの気持ちも楽にしてくれました。
とはいえ、病状によっては腹水を抜くだけでショックを起こしてしまう可能性もありますし、ろ過した液を注入するときに、発熱や悪寒、頭痛、血圧上昇などの副作用が出る事もあるそうです。
適応は、あくまでもご本人、ご家族の選択のもと、主治医が判断することとなります。
保険適応は月に2回までで、ろ過装置や処置料込で100,000円弱なので、1割負担のかたで1回1万円弱と言う事になりますね。
3割の方でも3万弱。あの苦痛を考えれば、希望される方は多いのではないでしょうか?
めぐみ在宅クリニックでも、一度にたくさんの患者さんは無理だそうで、今は3名の方がCARTを楽しみに療養されているそうです。
一人の患者さんに、クリニックのナースが3時間付きっ切りで穿刺中の観察を行い、その後1時間かけろ過をするので、労力としてはかなりなものですね。
今後は、私たちもそのお手伝いをすることとなりますので、すごく楽しみです。
そのクリニックの担当ナースが言うには、「化学療法をあきらめざる得なかった患者さんにとっては、これは治療ととらえているみたい。これをすることで、穿刺でただ水を抜かれるより、力を注入されるみたいと言っていました。だから、一時的とはいえ、みるみる元気になるのが、すごくうれしい。」とのことでした。
旭化成と言えば、サンダーバード人形みたいなおじさんの「イヒ!」を思い出しますが、こんなこともやってるんだ~。
すごいですねぇ。
在宅医療も、どんどん進んでいるんだなと、感心しています。
患者さんの思いに耳を傾け、苦しみを知り、どうしたら支えることができるかをともに考え、出来る道を一緒に探して、あきらめないで向き合う。
在宅支援だって、探せば何とかなる道もあるはず。
ちょっと、未来が明るくなりました。
訪問看護ステーションの方に伺うと
「ターミナルケースで忙しい」とは聞きますが、
そのケアマネジメントは、併設の居宅が受けている(受けてしまっている?)のか、
私は、そのような重症のターミナルのかたを
最近は、受け持っていません。
また、このような治療法をしっても、
それを地域で行ってくださる先生がいらっしゃらないと、
余計につらい思いもしてしまいますね。
それでも、記事中にあるように、
処置には慎重さと、時間が必要なようです。
それでも、一次的とはいえ、
利用者さんに楽な思いをしていただくことができるのであれば・・・
と思いますね。
身体的にも、メンタルな面でも、
気を抜けないとは思いますが、
よろしくお願いします。
とりあえず、最初の一歩を踏み出すことが大変なんだと思いますが・・・。
いろんなハードルを、みんなで越えられるといいですよね。
でも、日本の企業がこういう分野でたゆまぬ努力をしているんだなーと、そこの部分にも感動しました。
それぞれの地域で、お互い頑張りましょう。
また、お会いできる日を楽しみにしています。
患者さんの笑顔の為に、私たち医療者だけでなく、企業の方々が努力をし、がんばっていることを実感し、嬉しいですね~。沢山の人々のパワーが入っているCARTを患者さんの元に運んでいるお役目と思って、日々がんばってます♪
今日は、お願いを聞いてくださり、ありがとうございました~
素晴らしい、文才です♪
来週も頑張りませう!
頭が下がります。
小澤先生、有難うございます。
私達は新型CARTを普及させるため、CART研究会(http://www.fukusui-cart.com/)を通して全国に呼びかけています。CARTが在宅でも可能であることを、広くお伝えしたいと思います。
これからもよろしくお願い申し上げます。
本当にライフワークにしているみたいです。
もちろん小澤先生の機動力もすごいです。
地域の仲間として、チームの一員として関われたらうれしいと思っています。
CART研究会の皆様、これからも全国への普及活動頑張ってください。
応援させていただきます。
太田先生からのコメントにびっくりしました。
ありがとうございます。
昨年10月末よりCARTを在宅で始め、現在11例のCARTを行っております。
現在、試行錯誤の状態で、日々勉強の毎日です。
すっかりCARTの魅力にはまりました。
私もCARTを全国に広める仲間に入れてください。
いつか、先生のお話をお聞き出来たらと思っております。
色々と教えていただきたいことが、沢山あります。
どうぞよろしくお願いします。
今読み返すと、とても失礼なコメントを返してており、冷や汗をかいています。
CARTの先駆者であり、研究者でもある先生から頂いたこともよくわからず、今日Iナースから先生の事を聴いて固まりました。
ただ、地域のチームメンバーとして、ぜひ今後はお手伝いをさせていただきたいと思っています。
Iナースともども、一緒に勉強させていただければ嬉しいです。
今後とも、よろしくお願いいたします。