こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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めぐみ在宅「第8回追走の集い」

2013-04-13 23:16:33 | めぐみ在宅緩和ケア関連
今日は、連携先であるめぐみ在宅クリニックの追走の集いでした。

昨日の硬膜外ブロックがめっちゃ効いて、嘘みたいに動けるようになっていたので、支障もなく出かけることができました。

恒例の「献杯」の音頭を取らせていただき、そのあとは以前お見取りをさせていただいたご家族とゆっくりといろんなお話をしました。

ご挨拶のあと、当時のことやご家族の話をする中で、Fさんの可愛がっていた柴犬のたろー君のその後の話を聞きました。

Fさんは、ご自分の予後も告知されていて、ご自宅での療養を選択され、自室の音響装置に凝って、好きな音楽を聴くことを趣味とされていました。
そして、そのそばにはいつも愛犬のたろー君が寄り添っていました。

たろー君は、今年還暦(犬の還暦は10歳位だそうです。)柴犬で、誰が来ても吠えたり唸ったりすることもなく、最初はちょっと遠慮して離れてウトウトしているのですが、お父さんのケアが始まると、いつの間にかその足元にちょこんと座っていたり、丸くなっていたりするワンコでした。

とにかくお父さんが大好きで、お父さんもたろー君との散歩のひと時を大切にしていたようです。

奥さんに、その後のたろー君の話を聞きました。

お父さんが自宅で亡くなってからひと月ほどは、夕方7時ころになるとたろー君はそわそわし始め、お父さんの部屋をくるくる回って、時には窓から外を眺めたりと、明らかにお父さんを探すのだそうです。
今までは、夜7時にはお父さんのベットにぴょんと飛び乗って、その足元で朝まで眠ったタロー君でした。

毎日、お父さんとお父さんのベットを探して、最後は諦めて誰もいないお父さんの部屋で眠ったたろー君。

お母さんは「たろーは、お父さんの子だから、私じゃダメなのよ。よほどのことがないと、私の寝る2階の部屋には来ないの。お父さんの子だから・・」と目を赤くしてお話してくれました。
たろー君は、今でもお父さんのいた部屋で、一匹だけで夜を過ごすのだそうです。

なんだか、悲しくて切なくて、あの大人しいたろー君が、今は居るはずのないお父さんを探している姿を思うと、胸が締め付けられるような気持ちになりました。 

帰ってから、うららを無理やり抱きしめて、夜には私に撫でられたまま眠る顔を見て、ワンコってすごいなと、改めて思いました。

たろー君、お母さんとも寝てあげてほしいな。
お母さんも、待ってると思うんだけど。

Sさんは、99歳でお義母さんを亡くされた方です。
ご夫婦で献身的に介護をされて、最初は入院するかどうかを迷っていましたが、在宅療養の実際を知ることで、お見取りを決意されました。
あと数カ月で100歳というところでしたが、ご家族に愛され、大事にされての大往生であったっと思います。
「あれから1年経ったから、きっとおばあちゃんも許してくれると思って・・」
そう言って、ご夫婦で夏に海外での登山をする計画をお話してくれました。

偶然にもFさんも登山が大好きだったといことで、お二人での登山や旅行談義も弾みました。
晴れやかな笑顔のSさんは、やはり99歳という大往生で見送れたことの達成感もあるのだと思います。

道半ばで逝かなければならい人、大往生で旅立っていく人・・

どんな形であれ、それがどの時期であれ、生きとし生けるもの全てに、必ず死はやって来ます。

逝ってしまった人を思う時間を大切にしつつ、また明日を生きる自分も大切にして欲しいと思います。
悲しみの時間から、優しい記憶へと変われる様に、いつか、笑って思い出話ができるようになりますように。
そう願わずにはいられません。

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