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文化庁委託事業 若手映画作家育成プロジェクト2015

2016-03-21 19:19:41 | 映画日記
ndjc2015。
これは映画タイトルじゃなくて、文化庁委託事業 若手映画作家育成プロジェクト2015のこと。
要は、次世代の映画作家たちを育てる機会を与える文化庁事業だ。

今年度は、
『罪とバス』藤井悠輔監督
『父の結婚』ふくだももこ監督
『はなくじらちち』堀江貴大監督
『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』佐藤快磨監督
の四作品が各地で上映されている。

『罪とバス』
柳のようにしなやかに生きていくことが出来ない、ドン底で、ポンコツで、暴風雨にさらされて、それでも根っこを張って倒れない、細い木。
この映画に出てくる人物は全員そんなポンコツばかりだ。
でも彼らは生きている。生きていく。カレーを食って、涙を流して。

『父の結婚』
家族とはなんだろう?
お父さんがいて、お母さんがいて、私がいて、お兄ちゃんがいる。
お母さんが死んで、お父さんがお母さんになって、幼馴染の男と結婚する。お兄ちゃんはそれみてケラケラ笑ってる。
違和感あるけど、割とアリな家族の形。
家族の核になるお父さんとお母さんは、実は一番他人同士の関係にある。だって、出会ったときは他人だったんだから。
じゃぁ、お父さんがお母さんで、幼馴染がお父さんでも、「まあいいか」ぐらいには思うかもしれない。
家族って言うのは想像以上にプラスティックなものなのかもな、と感じた。
家族としての繋がりを感じるのなら、それは家族だ。

それにしても、板尾は無言でも画面が持つなぁ。圧倒的な存在感。
ふくだももこ監督は中学生と言っても通用しそうな女性。ノリもとても可愛らしい。この四監督の中では一番伸びしろがあるな、と思った。

『はなくじらちち』
これも家族の話。
家族はプラスティック。だから容易に壊れる。
雛人形で壊れるのだ。自分のお父さんとしての立ち位置が無くなる。
そして、そんな男はくじらと闘って、結局勝ったか負けたか分からないうちに、女の思い出の場所に連れて行かれる。
男は、女のお父さんに似たバカな男の笑い話をする。
男は、捨てられない。
女のお父さんであることを捨てられないのだ。
でも、もう、お父さんじゃないのだ。娘はくじらの妻になる。お父さんは祝福するだけだ。
そして、きっとお母さんの墓の前で何も言わず佇むんだろうな。心の中で沢山のことを思い出しながら。

『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』
「ける?」と彼女は言う。ちょっと上目遣いで、半分ぐらいはお願いだ。
男は蹴って、2人で逃げる「ぅおー!」と叫びながら。
世間はやりすぎな連中が多い。苦情ならいいのにクレームになり過度の要求をし、大声で怒鳴りつけ、優越感に浸る。
そんな連中、蹴ったっていいじゃないか!
でもね、蹴られたヤツのことも見なきゃいけない。
「撮れよ!全部撮れ!」
その言葉はそのことを指している。
そして、自分の良い所だけじゃなくて、君の良い所だけじゃなくて、僕の悪い所も、君の悪い所も見なきゃいけない。
だって、僕は君が好きだから。
でも、彼女はそれが出来なかった。
彼女は彼に気付かれないようにして、何も無かったようにして、
「バイバイ」
と告げる。
それが彼女の悪い所だ。悪い所を見られたくないという悪い所。

僕は思う。
彼は彼女を追いかける。全力疾走で。ありとあらゆるところを探す。
だって、それが彼の悪い所だからだ。
きっと見つかる。
「ける?」
と彼女は言う。
彼はもう一度、本気で彼女を蹴る。

そして、彼らはもう二度と会わない。







こんな試みを国がやっているとは知らなかった。
でも10周年ということは、まだまだ浅いプロジェクトで、息を吹き込み続けていかねば絶えてしまうプロジェクトなのだろう。
「教育は、もっとも実りのない無駄な行為。でも止めるわけにはいかない。止めてしまえばその分野は伸びない」
とは、俺の親父の言葉だ。
こんな風に芸能を伸ばしていくのはとてもいい事だし、もっと裾野が広がればいいのにな、と思う。

日本の映画は、監督がキャスティングを好きに選べないそうだ。つまり、役者ありき、で映画は作られている。
「監督の仕事の80%はキャスティングだよ」と言ったのは『キングスマン』のマシュー・ヴォーン監督の言葉だ。
この裁量がないことを嘆く日本の監督は多いと思う。
今回の映画の中でその裁量権が各監督にどこまで与えられたのか分からないけれど、どの作品もその辺りは上手くいっているように感じた。

もっといい邦画を見たい。特に邦画好きの僕は。
こんな事業は可能な限りやって欲しい。


『僕だけがいない街』。

2016-03-21 15:20:00 | 映画日記
『僕だけがいない街』を観てきた。

ずいぶん前だけれど、僕は『ヒーロー』という小説を書いた。
僕はその中で、1人や2人じゃなくて、みんなが心から「助けて」と願わなければヒーローは助けてくれない、と書いた。
でも、もっと利己的な理由をもつヒーローもいるのかもしれない。

リバイバル。
事件、事故を防がなければ、先に時間に進めない。
そんな時間軸に取り込まれた青年。
彼は何度も同じ時間を繰り返しながら事件、事故を防いでいく。
自分が、先の時間に進むため。
彼はわかっていたんだろうな。それをすることにどれだけの意味があって、見えない犠牲が生じているかもしれない、という可能性に。
彼は、助ける。手足を頭を目いっぱい使って。
いつか本当にするために、今は嘘を使って、あの時知らなかった、そしていつか忘れていた勇気。

「本当の僕は弱い。だから仮面をつける」
「僕が守りたいのは、きみだよ」

眼の前の守りたい者を守る。見えない犠牲はあるかもしれない。でも、その”かもしれない”ではなくて、眼の前の君を守りたいんだ。
彼に出来るのはそれだけなんだ。
ヒーローは、きっと守りたいから守るんだ。

彼が守りたかった沢山のものがある、彼だけがいない街。
彼が望んだ時間軸に、彼はいなかった。
とても寂しいけれど、とても優しい、さよなら。




もし、本当にリバイバルという現象があって、ヒーローという存在がいたとして、今はいったい何回目の今なんだろう。


2016年03月20日のつぶやき

2016-03-21 00:00:00 | twitter



  • 卒業式で国旗に背を向け、国歌斉唱…「国旗軽視している」との批判受け来年度見直し検討 大阪の中学校 https://t.co/Xy0kX49yf4 @Sankei_newsから
    卒業生と在校生代表者たちが向き合うことが大事なんやけどなぁ、国旗よりも。。。

    Posted at 07:39 PM




  • RT @PJ_Itoh: 今日は伊藤計劃さんのご命日です。昨年に続き、今年も生前ご親交のあった方々との御墓参りへスタッフもご一緒させて頂きました。#PJ_Itoh
    Posted at 04:31 PM




  • ネコ「そんなんええからさ、出ようや。。。」 https://t.co/BVpuctHg54
    Posted at 02:32 PM




  • ネコ「あっさ!猫ずな、浅!」 https://t.co/lRHidoix3L
    Posted at 02:31 PM




  • ネコ「なんか、フーってしようとしてるやろ!フーッと!」 https://t.co/S5pV7WtPqI
    Posted at 02:30 PM




  • ネコ「なぁ、これなんて読むん?」 https://t.co/5UaXiSuU2r
    Posted at 02:29 PM




  • RT @nakamuraFF11: フレンドが一人しかいないからこんな事態に…みんなツイッターと連携しろよ!! https://t.co/KiTnCOSznc
    Posted at 02:23 PM




  • RT @amneris84: 21年前の今日、オウム真理教による地下鉄サリン事件発生。千代田線霞ヶ関駅では、サリンの袋を片付けた高橋一正助役と菱沼恒夫助役の2人が死亡。この速やかな行為がなければ、この線でも乗客に犠牲者が出ていたかもしれない。 https://t.co/D7rA
    Posted at 02:21 PM




  • RT @naltonz: 龍神丸やっと試着出来ました!
    三か月フィギュアとにらめっこの日々
    だいたい想像通りで一安心
    これで12時間後にストフェスの地に立つこと出来ます。 https://t.co/xCY8B9CEah

    Posted at 11:42 AM



  • https://twitter.com/kaoritokuyama