本のタイトルの『ひゃくはち』は硬式球の縫い目の数と、人間の煩悩の数。
108個の思いが込められているものだとしたら・・・
108個の願いが込められて縫われたもんだとしたら・・・
ボールの縫い目には108個の苦しみも込められているというわけだ・・・
心友が「この本おもしろいから読んでみたら・・・」と貸してくれた。
フィクションはあまり読まないのですが高校野球、横浜が舞台ということもあって、久しぶりに本を読んでみました。
早見 和真氏の長編小説デビュー作。
『ひゃくはち』は2008年、この本を原作に映画化され、第30回 ヨコハマ映画祭 審査員特別賞を受賞した作品。
甲子園常連の名門校 京浜高校に通う雅人とノブ、仲間との高校最後の夏。
ベンチ入りを目指し奮闘する高校球児たちの心の葛藤は、現実にどの球児たちにもある「気持ち」の部分が垣間見れ、
この春センバツ出場を控えた選手たちの気持ちと重なってしまいました。
登場する京浜高校野球部のこの仲間たちは、タバコは吸う、お酒は飲む、合コンが大好きな球児たち
現実の高校球児に、こんなことがあったら大変な事になっているだろう・・・。
登場する高校球児の行動には驚きですが、これがフィクションだから許されるおもしろさがある本でした。
読み始めて、思っていた高校野球本の内容とは思えない始まりに・・・おもしろい・・・の意味がよく分からなかったのですが、
・・・おもしろい・・・と言うより 『仲間ってやっぱりいいなぁ~羨ましいなぁ~』と思わせてくれるストーリーでした。
何が正しい・・・何が正しくない・・・
何が大切で、何が大切じゃない・・・
目指す物への、それぞれの色々な心の葛藤があった高校野球。
8年後の再会では、あの時どうにもならなかった球児たちの葛藤から引き裂かれた絆を
ノブの子供 好太が繋ぎ直し、仲間の大事さを改めて感じ、読み終えて自然と涙する一冊でした