隊長のブログ

元商社マン。趣味:ヒップホップダンス、ジャズダンス、日舞(新舞踊)、旅行、映画、スポーツ観戦。阪神タイガースのファン。

本と雑誌 57冊 『ドナルド・キーン わたしの日本語修行』

2021年03月12日 | 本と雑誌

隊長が読んだ「本と雑誌 」を紹介するシリーズの第57冊目は、『ドナルド・キーン わたしの日本語修行』をお送りします。

 

 


2019年2月24日、96歳で逝去された、アメリカ合衆国出身の日本文学者・日本学者ドナルド・キーン氏。本書は、共著者の河路由佳氏のキーン氏へのロングインタビューを中心に、日本文学の大家がいかに日本語を学び、それを生涯の仕事とするに至ったのかが、描かれています。


改めて、著者を紹介すると;


ドナルド・キーン( Keene, Donald)氏は、1922年にニューヨークで生まれました。太平洋戦争中に、海軍日本語学校へ入学。戦後、京都大学大学院へ留学を果たします。帰国後コロンビア大学助教授を経て教授に就任、戦後のアメリカにおける日本文学理解を飛躍的に高めました。


2011年コロンビア大学最終講義の後、東京へ転居、2012年に日本国籍を取得。数々の日本文学、日本に関する著書があります。


河路由佳(かわじ ゆか)氏は、1959年生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科(国文学専攻)修了。現在、東洋大学国際教育センター日本語講師。専門は日本語教育学。

 

本書の構成は;

はじめに(河路由佳)

第一章 わたしと海軍日本語学校
1 外国語との出会い
2 漢字、そして日本語との出会い
3 海軍日本語学校での日本語学習
4 海軍日本語学校の先生・仲間たち

第二章 海軍日本語学校での日本語修行
1 海軍日本語学校での授業
2 『標準日本語讀本』をめぐって

第三章 海軍日本語学校時代の書簡
1 発見された手紙
2 手紙にまつわる思い出

第四章 戦時中の体験―日本文学研究の道へ
1 語学兵としての仕事
2 戦時下のハワイ大学で日本文学を学ぶ
3 日本語の専門家としての新たな出発

第五章 日本語・日本文学の教師として
1 ケンブリッジ大学での第一歩
2 教え子たちの活躍
  


感想:本書を読もうと思ったのは、もともと比較文化論に興味があり、本シリーズでも『スイカに塩をかけるのって変ですか』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/8eb5f1282c10bfead720ac9f30f0e038


『日本の「仕事の鬼」と中国の<酒鬼>』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/ed3edee244cf65f41b5071bdc4bae8ea


『諺で考える日本人と中国人』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/1f1dad80dfd1065eb243e2a08f6f25fc などを、紹介してきました。


また、隊長自身が外国人に日本語を教えていた経験があり、日本語教授法などに関心があり、『外国人力士はなぜ日本語がうまいのか』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/36dd3aaf4ea07815f7db88ae141ab7aa などを、取り上げています。


そんなこともあり、外国出身でありながら、日本生まれ日本育ちの日本人が足もとにも及ばないほど、日本文学に精通したキーン氏が、どのように日本語を習得したか興味があったからです。


ニューヨーク生まれ、ニューヨーク育ちで、本格的に日本語を学んだのは、19歳の時、海軍日本語学校に入学してから。同校でのわずか11か月間に、仮名と漢字はもちろん、日本軍の命令・暗号解読に必要な文語やくずし字の読み方まで学んだというから驚きです。


その効率的な学習を助けたとされるのが、戦前の米国大使館で日本語教官を務めた長沼直兄(なおえ)による『標準日本語讀本』であったとのこと。


さらに、キーン氏が「一番日本語を覚えるのが早かったのは、最初から少し話せた人たちよりも、むしろ、大学で別の外国語をすでに勉強したことのある人とか、外国語を学ぶことに慣れているような人でした。そういう人が要領よく学習するコツを知っているのか、早かったです」と語っているように、両親が日本人など、当時の米国在住日本人より、このような人が日本語学校の優等生になっていとという事実に納得しました。


最後になりますが、本書が電子書籍初体験です。これまで、電子書籍は紙書籍の文化や、書店を無くす元凶などととの理屈をつけて手にしていませんでした。ところが、電子書籍は便利で楽ですね。


紙書籍を持参していなくても、外出先で急に空き時間が出来た時に、愛読書を読むことが出来ます。また、注釈に飛ぶのが楽。栞をクリックするだけで、読んでいたページに戻ることが出来るなど、利点だらけでした。


尚、『ドナルド・キーン わたしの日本語修行』の発行は、白水社。発売日:2020年2月12日。価格は、紙書籍が 1,980円(税込)、電子書籍は ¥1,584(税込)。

 


==「本と雑誌」バックナンバー ==
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/dc30502bb229b843454e38b8994f9be0

1~45冊  省略

46冊 2019/6/2  『沢田研二と阿久悠、その時代』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/901be9ea36c2f3065af05e6dc904b6e2

47冊 2019/6/27 『男のきもの入門』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/a90f9c9c43226a05d7ea4ec327a0cdce

48冊 2019/9/17 『森鴎外「山椒大夫・高瀬舟」』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/32860159f6891be24292c3c88c96692a

49冊 2019/12/11『日本100名城公式ガイドブック』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/6e1840d977276b15115b18a3d42fa05a

50冊 2020/2/5  『虎とバット―阪神タイガースの社会人類学―』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/8f69b34551bad87fe268e663a7653cef

51冊 2020/4/4  『池波正太郎 「男の作法」』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/945a81aa7409b9ecefbf75361d165c6d

52冊 2020/6/25 『芥川竜之介紀行文集』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/dadeedca3e5e80fc1250d72fa6c18a80

53冊 2020/7/23 『池永陽「コンビニ・ララバイ」』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/0ded21bfc2a8aa3b71308f512f78b768

54冊 2020/7/30 『大人の御朱印 50にして天命を知る』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/9df94033c4eaeeb20caa1d1f65006681

55冊 2020/8/22 『大森匂子「本郷菊坂菊富士ホテル」』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/a9ef620a7829e24f2ac1f43015aed4e8

56冊 2020/10/30『遊遊漢字学 中国には「鰯」がない』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/b65869eec26cab46eea5af93f449be35


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