隊長のブログ

元商社マン。趣味:ヒップホップダンス、ジャズダンス、日舞(新舞踊)、旅行、映画、スポーツ観戦。阪神タイガースのファン。

映画 Film181 『妻への家路』

2020年07月01日 | 映画

隊長が、これまでに鑑賞した「映画 」を紹介するシリーズの第181作品目は、『妻への家路』をお送りします。

 




『妻への家路』(原題:帰来、簡体字:归来、英題:Coming Home)は、2014年5月公開の中国映画。(日本公開は、2015年3月)


「隊長のブログ」では、中国映画を、これで19作品を紹介したことになります。詳細は、こちらの記事一覧を、ご参照下さい



製作会社は、楽視影業(Le Vision Pictures)、ほか。上映時間は、110分です。


原作は、ゲリン・ヤン(厳歌苓)の同名の小説。


監督は、中国出身のチャン・イーモウ(張芸謀)。


チャン・イーモウさんの監督作品を、これで6本を取り上げたことになります。詳細は、こちらをご参照下さい



主演は、コン・リー(鞏 俐)。


コン・リーさんが出演する映画を、これで5作品を紹介したことになります。詳細は、こちらをご参照下さい



共演者は、チェン・ダオミン(陳道明)、チャン・ホエウェン(张慧雯)、ほか。


あらすじ:舞台は、中国文化大革命(以下:文革)の最中。二人暮らしの教師の母・馮婉玉(フォン・ワンイー)《コン・リー》と、バレエを習っている娘の丹丹(ダンダン)《チャン・ホエウェン》が共産党員に呼ばれ、収容所に収監中の夫・陸焉識(ルー・イエンシー)《チェン・ダオミン》が逃亡したので、連絡があったら通報するように命令されます。


幼い頃よりバレエを習っていた丹丹は、才能が認められ革命的バレエ劇「紅色娘子軍」のヒロインの呉清華役に決まりそうでした。追っ手を逃れ、家にやって来た父から母と駅で会いたいという依頼を丹丹が受けますが、母には行くなと言います。駅には、捜査員たちが張り込んでいて、婉玉の目の前で焉識は捕まってしまいます。丹丹は、逃亡犯の娘ということで主役から外されてしまいました。


1977年、文革が終結。20年ぶりに解放された陸焉識は、妻の馮婉玉と再会しますが、夫を待ち過ぎた妻は心労のあまり、夫の記憶だけを失っていました。焉識は、他人として守衛所の隣に住み、娘の丹丹(タンタン)の助けを借りながら、妻に自分を思い出してもらおうと奮闘します。


手掛かりとなる自分が映っていた写真は、丹丹により全て切り取られていました。そこで、収容所で書き溜めた何百通もの妻への手紙を、くる日もくる日も彼女に読み聞かせ、帰らぬ夫を駅に迎えにいく彼女に寄りそいます。夫の隣で、ひたすら夫の帰りを待ち続ける婉玉。果たして、彼女の記憶が戻る日は来るのでしょうか。。。



感想:文革で引き裂かれた家族。当時の中国ではこの様な例は、無数にあったのでしょうね。2010年代になって、文革時代を描いた中国映画が製作される様になって来ました。


チャン・イーモウ監督作品でも、『妻への家路』以外に、2010年公開の名作『サンザシの樹の下で』があります。自身が、文革で辛酸を舐めたチャン・イーモウだから描けた両作品です。


隊長が感動した文革時代を描いた作品は、2019年公開 フォン・シャオガン監督の 『芳華-Youth-』
 も、そうです。


しかし、中国で製作される映画なので、限界があるのでしょう。国際的に著名なチャン・イーモウ監督でも、この作品の映画化では苦労したのでしょうね。


例えば、原作には書かれている、陸焉識が囚人になるまでの経緯は、映画では描くことが難しかったと、チャン・イーモウ自身も語っています。


従って、オープニングが焉識の脱走シーンから始まるという不自然さだったのですね。


夫が逮捕された「駅」、そして毎月、妻が夫の帰りを迎えに行く「駅」。当時の中国の様子が、垣間見られる光景でしょうね。映像では、蒸気機関車が走っていましたが、撮影時のスタッフの意気込みが伝わってくるかのようです。


隊長が、上海に駐在していた2004~2005年の頃の中国には、あの様な雰囲気の駅がまだありました。杭州へ行くときによく利用した上海の「梅隴駅」もそうでした。


キャストも、素晴らしいですね。


主役のコン・リーさんは、さすがです。記憶喪失の妻という難しい役を、見事に演じています。


チェン・ダオミンさん、これまでも幅広い役に扮してきましたが、知性と人間性を兼ねた陸焉識にピッタリです。


丹丹を演じたチャン・ホエウェンさん、本作で映画デビューを果たしました。バレエシーンでしっかり踊れていると思ったら、北京舞蹈学院を卒業しているのですね。


「紅色娘子軍」のヒロイン選抜に関わるストーリー、『芳華-Youth-』でも似たようなシーンがありました。


踊りだけでなく、三歳で別れ、自分の将来を台無しにされた父への愛憎を演じきっています。


チャン・ツィイー など、名優を見出してきたチャン・イーモウに発掘されているので、今後の活躍が楽しみです。


実際、2016年8月に中国で公開(日本未公開)された『在世界中心呼唤爱(中国版「世界の中心で、愛をさけぶ」』で、主役を演じています。この映画、日本で公開してくれないでしょうかね。


ネタバレになってしまいますが、ストーリーの展開から、最後は、婉玉が目の前にいる “手紙を読んでくれる人” が夫だと気づく、ハッピーエンドになるかと観ていましたが、違いました。


何年も経ち、すっかり老けてしまった婉玉。足腰が弱ってこれまでの様にバスで駅に夫を迎えに行けなくなったのでしょう。雪の日、焉識が漕ぐ幌付きの自転車の座席に座り、いつもの様に駅へ。周りの人々の着ている服も垢ぬけてきて、年月の流れを感じさせます。


いつもの様に、手書きの「陸焉識」と書いたプラカードを持ち、まだ帰らぬ夫を駅頭で待つのでした。その傍らには、寄り添う焉識。これが、エンディングでした。


最後になりましたが、これまでにも、外国映画の邦題(日本語タイトル)の付け方の良い作品と、悪い作品を 挙げています が、本作は良い邦題だと思います。


原題の「帰来」や英題の「Coming Home」ではストレート過ぎます。『妻への家路』とすることで、本作品に余韻を感じさせてくれます。




 



==「映画」バックナンバー ==
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/226e9f0193a60e6a012384176360666f

Film1~165  省略

Film166 2020/5/13 『武士の一分』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/f8084660f5ada8518968e85284502a7b

Film167 2020/5/15 『僕等がいた 後編』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/2238a0a2da01434f82aafc4d0987bdf3

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