医大生・たきいです。

医大生的独言。

たきい先生

2013-04-19 10:17:17 | 医大生的生活
「たきい先生」と呼ばれたその男は、一介の医学生である。幸か不幸かのちのち先生という敬称をつけられてしまう人間な訳だが、先生というのはあまりにも恐縮で、居心地が悪い。医学部の実習中なんかに、学生同士で先生と呼びあう悪趣味な流行があるが、先生とつけられた名前の不格好さが変に受けているからに違いない。でも、この場では先生と呼ばれるのである。限定的なこの場では、先生のフリをするしかない。その彼。もう少し勉強を真面目にやらねばと自戒しつつも、全く行動に表象されていないのがこのところの悩みらしい。入院に追い込まれたアクシデントで放課後の暇が増えた彼は、高校生の勉強の質問対応のバイトをはじめたというわけである。生徒が質問に来ないときには自分の勉強をしていいと言われるものだから、キル・ツーバーズ・ウィズ・ワン・ストーンという感じ。勉強はしないといかんというのは心では感じているので、重い「解剖学講義」も、もはや軽い。

レポートで今回要求されている内容は、陰部である。丁度出くわしたところが「陰茎」の記述だったのだが、いつ女子高生が目の前に表れるのか分からないから、始めるまえまで勉強が捗るのみと思っていた彼は、あまりにすすまない、すすめられないこの現状に苦笑せざるを得なかった。彼らの勉強というのも大変である。土日はつぶれるので、どこかで寝ないで仕上げる必要がありそうと彼は悲しくなった。

嘗ては隆起を極めたはずの大学受験の知識もいまや風化しているのは否めない。しかしこの仕事、自信があるフリをするのがコツであると彼は考えたのである。というのも、先生と呼ばれるからだ。動揺は決して見せてはならぬ。しかしどうもこの彼、そのうちボロが出そうだ。

手の運動としか思っていなかった因数分解も二項定理も、久しぶりすぎて全力で脳みそフル稼働させてしまった(笑)。ボケ防止にも良さそうなこのバイトだと帰り道でかれは思った。ツーバーズならずスリーバーズなのである。




というわけで、主語を三人称に置いてみたのは、好きな作家の万城目学のエッセイのパクりの手法、所謂「万太郎」なのはここだけの話ですが、なんだか不思議な雰囲気が醸し出されるものです。これもおもしろい。医大生・たきいです。いや、でした。






(sin4/3πの値がすぐに出てこなかった、受験生時代とはかけ離れてしまった自分にものすごく腹がたった人(笑))







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