いつになく
気がつかないまま起床時間に…
いつもなら
1時間〜30分ほど前に自然に目が覚めて
ベッドの上でもそもそと過ごすのだが…
今日は目覚めて時計を見るとちょうど6時で
いつもより寝坊してしまったと…
布団の中でもそもそとするのが
ほんのちょっとの幸せ?
目覚めてすぐ聞こえたのは窓の外の雨音
窓は二重サッシだから
雨音が聞こえるということは
おそらくそれなりの大雨だろうと…
目覚めるなりの雨
今日こそ休足日かもと
ハッキリしない頭の中で考えながら…
朝の7時になっても明るくならない
最近の日の出が遅いんだよなぁと
寝坊した自分の落ち度を言い訳するように…
朝のルーティンをこなしながら
窓の外の雨を見ながら
やっぱり今日こそ休足日だと観念しつつ…
初孫くんは
今日も雨風の強い中を
チャラ息子に送って貰ったようで…
裏口の廊下に今日の着替えと
スイミングバッグがそっと置かれていた
それを片付けたあと休足日だと観念しつつも
念のため雨雲レーダーを探ってると…
いつものスタート時間には少し遅れるけれど
2時間ばかりの間は穏やかな雲行き?
そうとわかったら休足日の方針を変更して
ゆっくりジョグの準備にとりかかることに…
だけど雨雲レーダーの予報どおり
窓の外は強い風で木々たちが
枝葉を大きく揺らしててまさしく台風並み?
もしこれで大雨なら
絶対に走らないだろうと思うほどの強さ
走ってる間は降ったとしても
小雨でとどまることを切に祈りつつ
雨風に立ち向かうことを固く決意
この子をお供にして…
幸いにもスタート時は
ちょうど雨が上がって…
だけど空を低く覆う雲たちの流れは速く
すぐにでも降り出しそうな気配も…
実際に1キロも走らないうちに
小粒の雨が当たり始める始末
それでもスタートしてしまったからには
よっぽどのことがない限りは
最後まで走り続けることに…
本当は今月中に一度や二度は
13〜15キロを走っておきたいと思うけれど
長期予報の見込みじゃ
年末に向けてますます悪天候になりそうで…
街中を出て自然が多い中のロングコース
強風雨の荒れ模様の中で走るのは
かなり厳しいと…
まだ街中の10キロコースなら
ある程度風も防げてなんとか走れるはず…
途中で不安的中の雨風に打たれながら
そんなことを頭に浮かべてると…
時折り吹く強い突風に足を取られ
歩道の中で右左とフラフラして
ヤバいと思いつつも…
何とか無事に10キロを終了
不思議にも
今日の坐骨神経痛は昨日よりもおとなしく…
寒いからヒドくなるんじゃなくて
また別に原因があるとしか思えないほど
今日はマシで…
それほど今日の寒さは厳しかったので
さすがに走ってるランナーには会わず…
一人だけ完全防備でウォーキングしてる
どこかのオジさんとすれ違ったが
すれ違いざまになぜか僕に大きく会釈を…
おそらく彼も
意を決してウォーキングしてたのだろう
こんな悪天候の中を愚かに走ってる僕を
自分の仲間だと思ったに違いない
その気持ち
僕にも充分に理解できて…
もうすぐ枯れちまう残り少ない人生
やりたいことをやらなくちゃ…
彼も僕と同じそんな想いなのだろう
きっと…
ジョグを終えてから
愛車を駆ってでかけた大型電気店
目当ての商品がなくて
残念に思いながら駐車場に戻ったとき
見覚えがあるようなないような
そんな顔立ちの男性と視線が合って…
向こうから軽く会釈をしてきたものの
マスク姿で誰なのかわからず…
怪訝そうな表情が彼にわかったのか
マスクを下にずらしてもう一度会釈を…
それでも彼が誰だか思い当たらず
首を傾げると…
○○です!と彼からの一言
現役時代に部下だった
2歳年下の男性で
当時はしょっちゅう顔を合わせていたのに…
あっ!全然わからなかった!
元気なのか?
そう言って軽く挨拶をして
その場を濁したけれど…
というのは
彼の顔つきがスッカリ変わってしまってて…
若い頃はスマートなスポーツマンの好青年で
仕事も無難にこなしてたと思うが…
30代半ばくらいのとき同じセクションで
数年間一緒に頑張っていたことがあって…
それはまさに地獄とも言えるほど
超多忙なプロジェクトで
大量で困難な仕事に忙殺されながら
お互い満足に家に帰ることも出来ず…
小さな子どもたちを抱えて
厳しい両親と同居していた彼の家庭環境
特に奥さんの不満なのだろうけど
そのせいですっかり破壊されたみたいで…
それは我が家も同じだった
幸いにも我が家は同居じゃなくて
二世帯住宅だったからまだマシで…
それでも彼の苦悩は
僕にも手に取るようにわかった
数年間のプロジェクトがなんとか無事終了し
お互い別々のセクションに別れてからも
僕の方は多忙で困難なセクションに回され
ますます家庭環境は悪化したけど…
彼の方はそうでもないセクションだったから
家庭も何とかおさまっただろうと
そう思ってたのに…
結局その数年後に彼は離婚して
子どもたちとも別れることになり
人生設計が大幅に狂っちまったのだろう
毎日お酒に溺れるようになり
ほぼアル中同然の状況で
女性問題で警察沙汰になりかけたことも…
その行動の異常さに見かねて
僕は彼の親族に相談して無理やり休職させ
数ヶ月入院加療という措置を取ったのだが…
退院後は一見元に戻ったようにも思えたけど
長らく蝕まれた心はそう簡単には…
すでに窓際に追いやられた彼に
僕も仕事の成果を求めることはしなかったが
たまに見かける彼の顔はマスクをしていても
アルコールにやられたままの表情で…
そのうちやがて新しい誰かと結婚して
新しい人生に踏み切れたかとも思えたものの
アルコール漬けの表情が抜けることはなく…
そんな彼もすでにリタイア
僕ももちろんとっくにリタイアして
何度か顔を合わせたことはあったのだが
今日久しぶりに見た彼の姿は…
すっかり太ってしまってて
顔は誰だかわからないほどヒドく浮腫んで
彼から正体を明かさなければ
おそらく僕は今でも気づかなかっただろう
それほどヒドい変わりようなのは
これまで以上に
浴びるほどお酒を飲み続けているに違いない
今日のマスク姿も
ひょっとして
お酒が残ったままの状態だったのかも…
両目の焦点が合ってないような
そんな感じがしたから…
果たして彼は大丈夫なんだろうか?
すでにお互い仕事を離れちまった以上
僕たちは上司でも部下でもなく
手助けをできるわけじゃないけど…
ヒトゴトながら心配でしかない
僕自身も何かと愚かすぎるけど
それ以上に彼は愚かで弱い人間なのだろう
きっと…
そんな彼に
何のアドバイスもしてやれないけど
無事に彼の人生が事故なく閉じることを
遠くから見守るしかないか?
そうなんだろうなぁ
見守るだけしか…