道しるべの向こう

ありふれた人生 
もう何も考えまい 
君が欲しかったものも 
僕が欲しかったものも 
生きていくことの愚かささえも…

本当のことを言おうか…⑤

2022-02-01 16:22:00 | 黒歴史



怒涛のような…
とでも言えばいいのか?

次から次へと
秒で移りゆく動画のシーンのように
目まぐるしく時が流れていった

まるで1ヶ月も経ったかのような錯覚

実際は
地元へ帰ってから
わずか2、3日のことなのに…

その間
何度も彼女と逢い
話し合いを重ねたけれど…

結局
どうしたらよいのか分からず
ハッキリとした結論も出ないまま…






しょうがない
駆け落ちでもするか?
それしかないか?


どうしても僕と結婚したいという
彼女の勢いに負けたかのように
無責任にも
つい口から出てしまった一言

駆け落ちでもするか…



○○と一緒に暮らすために
とりあえず学校も中退して
これからは働くことにするよ


そんな言葉に彼女は大きく頷くと
顔を崩しながら泣いて喜んだけど…

泣きながら喜ぶ彼女を見つめつつ
僕は自分の放った言葉に
まったくの実感を持てずにいた

正直
駆け落ちなんて
どうやったらできるんだろう?
と…

いくら彼女のことが好きでも
親との縁を切る勇気もないし…

いくらバイトの経験はあっても
持ち合わせのお金も殆どなく
働くといっても何のアテもない

でも
彼女が誰かとの結婚式まで
もう1ヶ月を切ってしまったことを考えると
駆け落ちという言葉しか
若造の僕には思い浮かばなかった


二人で頑張ろうね
頑張って生きていこうね


少女のような目をして
僕を励ますかのような彼女の言葉は
本当に嬉しかったけど…

翌日もまた逢う約束をして彼女と別れたあと
家へ帰る僕の足取りはとてつもなく重かった

馬鹿か間抜けみたいに
駆け落ちしたいと親に報告するのか?

それとも
黙って素知らぬ顔で
彼女と一緒に東京に戻って
暮らし始めればいいのか?

どうすればいいのやら
いろいろ思い悩みながら…

その一方で
そんなことすら
決めきれない自分に
本当に彼女と駆け落ちできるのだろうか?
そう思ったことも事実で…




ただいま…

小さい声でそう言ったあと
居間に入ってオヤジたちの顔を見た途端…

なぜか
僕は泣き崩れてしまうことに…

不安定に揺れ動く自分の心を
到底支えきれなくなっていたのだろう…

泣きながら
これまでのイキサツを話し…

どうか彼女と駆け落ちさせてくれと
頭を下げる自分に呆然としつつ…

(to be continued…)



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