東京新聞の2014年4月10日付朝刊の「本音のコラム」欄より、法政大学教授の竹田茂夫氏の投稿記事を紹介します。
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「米国の影の政府」
特定秘密保護法と武器輸出解禁を手に入れた安倍政権は、いよいよ集団的自衛権に乗り出した。ゼロ戦美化の大衆文化や首相の靖国参拝を背景におくと、国家主義的にも見える一連の政策は、実は米国中心の軍事システムへ日本を組み入れるためのものだ。
実戦の経験がない日本の防衛産業の役割は、新型戦闘機F35のように国際共同開発・共同生産で部品や素材を提供することにある。諜報(ちょうほう)の面でも、全世界のメール情報を収集する米国の国家安全保障局などの巨大組織の掌の中にある。
米国の諜報・軍事・防衛産業の実態は、ワシントン・ポスト記者らによる著書『トップシークレット・アメリカ』が明らかにしている。スパイ機関だけで16もあり、国防関連の組織は独自の機密をもって互いに競合し、その全貌は大統領さえつかめないという。諜報・兵站(へいたん)・警護では無数の民間軍事会社が、情報収集ではIT産業が国家に協力する。国家と民間は回転ドアで結びつく。
首都とシリコンバレーと、ウォール街にまたがる米国の影の政府、「深部国家」はビッグブラザーというよりカフカ的な不可視の集合体で、アフガニスタン、イラク、リビアと失敗の連続だ。
日本が組み込まれようとしているのは、このような危ういシステムなのだ。英国のイラク参戦のような大失敗は明らかではないか。
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