先月、とある縁により、お隣の多摩市主催の恒例イベントである「多摩市平和展」の特別企画(パネルディスカッション)に呼ばれ、オープニングで詩を朗読する(2名でかけ合い)機会を得ました。谷川俊太郎氏の詩『平和』です。(パネルディスカッションのタイトルは「平和な世界を絶えず求めて ―非核平和への想いを地域から発信する―」というものでした。)
含蓄の多い、奥深い詩なので、終戦記念日に紹介したいと思っていました。少し遅れましたが、本日ここにご紹介します。
平和 谷川俊太郎
平和
それは空気のように
あたりまえなものだ
それを願う必要はない
ただそれを呼吸していればいい
平和
それは今日のように
退屈なものだ
それを歌う必要はない
ただそれに耐えればいい
平和
それは散文のように
素っ気ないものだ
それを祈ることはできない
祈るべき神がいないから
平和
それは花ではなく
花を育てる土
平和
それは歌ではなく
生きた唇
平和
それは旗ではなく
汚れた下着
平和
それは絵ではなく
古い額縁
平和を踏んづけ
平和を使いこなし
手に入れねばならぬ希望がある
平和と戦い
平和にうち勝って
手に入れねばならぬ喜びがある