
かつて高校球児だった、パパウコの話。
パパウコは、
野球部内の弱小ピッチャーやった。
パパウコがマウンドに立つと、
相手チームは喜んだと言う。
パパウコの高校の気前良さに。
パパウコは、
必ず打たれるピッチャーやったから、
本来は補欠に等しいんやけど、
甚だしい人材不足のこの高校野球部では、
不可能なことやった。
そんなパパウコが、
初勝利した。
パパウコの打たれる球を、
守備が全部取ってのことやったけど。
翌日、
別のピッチャーがマウンドに立っていたが、
ワイルドピッチの連続。
それなら、
パパウコの打たせて取るピッチングを第一とした監督は、
ピッチャーの交代を指示。
そして、
パパウコの肩に手を置いて、
「甲子園行くぞ!あいつらにお前の腕を見せてこい」と言った。
パパウコは、元気よく「はい!監督!」と答えて、
相手チームのベンチに行って、
腕をまくって、
右腕と左腕を交互に見せまくった。