
フク太夫と妻のツマブキの元に、
ホモクロが来た。
そして、
「わたしは記憶の奴隷です。いつも後ろを振り向きながら歩き続ける亡霊なのです」と言った。
この仰々しい前口上、
タユウは何を話し出すのか?と、
気を揉んだ。
ケイジロウとケイイチロウが生まれる前、
ホモクロにも、
十代の世界が存在していた。
そして、
高校生という世界もまた与えられていた。
ホモクロの教室に、
白崎君という、
大人しすぎて、
やさしい、
ホモクロ心臓急停止のかわいい系美少年がいた。
白崎君は、
学級委員なのに、
絶対に、
人の悪口言わないし、
人に命令もしない、
静かな性格の持ち主やった。
けど、
友達には恵まれていたという。
そんな白崎君の横顔を、
ホモクロは、
うっとりと眺めていたという。
白崎君は、
いつもいいアイデア出すのはエエけど、
全部自分でしてしまう。
そんな白崎君に、
ホモクロは苛立った。
放課後、
ホモクロは白崎君を呼び出した。
そして、
何も言わずに自己犠牲する姿をなじり、
もっとみんなを信用するように諌めた。
白崎君は教室の壁に背をつけて、
「ぼく一人で大丈夫」と言って微笑んだ。
そして目を閉じて、
「夏の終わりの臭いがする」と呟いた。
ホモクロは、
白崎君のそばに来て、
頬をそっと、
白崎君の胸につけた。
芳香剤の香りに混じり、
白崎君の微かな酸っぱい汗の臭いに、
ホモクロは、
半分白目になった。
全く抵抗しない白崎君に甘えて、
ホモクロは唇を動かそうとしたが、
動かなかった。
手で白崎君にお触りしようとしても、
手が動かなかった。
白崎君はホモクロにとって、
天使過ぎた😔‼️
白崎君はやさしく、
「ありがとう。ホモクロ」と言った。
同時に、
チャイムが鳴った!
ホモクロは涙を流して、
教室を後にした。
こうして、
ホモクロの青春に幕がおろされた。
ホモクロはこうしめたという。
「時が帰ることはありません。何もかもが色褪せて朽ちていく日常に、白崎君の記憶は、彼の胸の暖かさの記憶として、わたしの心に生き続けます。夏の終わりの記憶。青春の終わりの記憶。それがわたしにとっての宝物なのか?呪いなのか?その答えがわかることなく、今も、胸のうずきと痛みの中に蘇っては消えるのです」
そして、
ひと息ついたホモクロはタユウを見つめ、
「タユウ。泣いておられるのですね。ありがとうございます。タユウの涙で、わたしの心には、涼しき秋風が吹き渡ります」と言った。
後で俺がタユウに、
ナンデ泣いたのかと聞いたら、
情けなくて涙が出たとのこと。
タユウは言った。
「綺麗事ばかりぬかしやがって!犯罪やないか😡無抵抗の男に❗️日本男児の風上にもおけん!!乃木大将が泣くぞ🤬‼️」